めるへン。

いつものバス停にて――


「くっ! ロシアかぁ〜……」

イブキがスマホを見ながら、悔しそうな声を洩らした。


「なに? ボルシチでも食べたいの?」

イブキの声を聞きとめた月夜がそう尋ねてくる。


「ちがうよ! ほらコ〜ラかわ」

そういってイブキはドス黒い川の画像を見せる。


「コ〜ラの川?」


「そそ。じこでジュ〜スコ〜ジョ〜のタンクがこわれてコ〜ラがあふれだしたんだって」


「へぇ〜……」


「およいでみたいよね〜コ〜ラのなかを」


「いや。そんな事ないケド……」


「え〜! ジュ〜スでできたかわとかド〜ワみたいじゃん!」

イブキが瞳を輝かせながらメルヘンチックな事を言う。


「でも、ベトベトしそ〜だし、ハエとか虫が寄ってきそ〜だし、なにより――」

月夜はスマホ画面を指しながら、


「結構、汚そうじゃん」

月夜はメルヘンチックとは真逆の事を言いながら、スマホ画面を指すのだった。

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