おじさん。

いつものバス停にて――


「スイッチのVRにできるコンセプトアイテムかぁ〜……たしかにガメンをヘッドマウントディスプレイのようにセットできるモノがあれば、あとはソフトたいお〜だけでVRになりそ〜なハ〜ドだけど……」

イブキがテクノロジ〜系ニュ〜スの中にあった、そんな記事に瞳を輝かせ期待を膨らませる。


「こんな2、3ゼンエンでかえそ〜なVRキットだけでVRにタイオ〜できんならすっごいけど……やるかな〜?」

そんな事を呟くイブキの隣では、


「やっぱりオジサンよね〜」

月夜のそんな声に『ギョ』とした表情になるイブキ。


「ウチ、オシサン大好き~」

 スマホ画面を見ながら、ウキウキした様子でそんな事をいう月夜。


「むう……」

 イブキは月夜側の耳をデッカクしながら、分かり易く聞き耳をたててながら、四〇代の男性の腕に寄りかかる月夜の姿を想像する。


「おっ! これなんかいい感触しそ~!」


「カンショク?」

 イブキはほぼない男性との接触経験を総動員しながら、月夜が突き出た男性のお腹を『プヨプヨ』触っている姿を想像する。


「このアブラがいいのね~」


「アブラ? アブラ……アブラ……」

 イブキは日差しの強い日に頭髪の薄い頭が脂光しているのを思い出した。


「醤油をかけて――」


「ショ~ユっ!?」

 イブキの脳内の月夜は男性の頭に醤油をかけはじめるっ!?


「――で、パクっと」


「たべちゃうのっ!?」

 もはや規制がかかるレベルに達する脳内イメ~ジ。


「食べないの?」

 月夜は見ていたスマホ画面――おいしそ~に脂が乗った刺身の画像を見せながら、


「あれ? おじさんは??」


「これオジサンってゆ~魚」

 首を傾げながら、怪訝そうな表情でそういう月夜だった。

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