みらいぞ~

 いつものバス停にて――


「うぅ……」

 イブキがお腹を押さえながら、フラフラ揺れる身体を傍らにあるバス停によりかかって支えている。


「ア、アブラがあばれてる……イブキさんのカラダのナカでアブラがゾンビウィルスのようにあばれてる……もう……もう、あのおみせの『テン』のジはシュンゴクサツくらったあとの『テン』のジにしかみえなくなってきたよ……」


「んふ~ん♪ 今日もいいコッテリ具合だったわ~さすが天一ね。無料券もこれで8枚!」

 イブキとは違いテカテカに肌の艶が増した月夜がそんな事を言いながら、手にした無料券を大事にしまう。


「うぅ……イブキさんも、もたないかも……」


「なに言ってんのよっ! この脂を消化できるように内臓を鍛えとけば、ムネもおっきくなるわよっ!」


「ホントにっ!?」

 今までの不調がウソのように復調するイブキ。


「ホント、ホント」


「よ~し! じゃ、キョニュ~をめざしてキョ~もあのアブラコテコテにいどむかっ!!」

 こうして月夜の無料券のためにありもしない未来像を追いかけるイブキだった。

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