そせ~

 いつものバス停にて――


「んふふふふふ――」

 月夜がものすっごい幸せそうな表情でそんな声を洩らしながら、グルメ系情報アプリを見ている。


「吉野家から『松茸牛丼』で天丼のてんやからは『松茸と海老、秋鮭の秋天丼』――いい! とってもイイじゃないっ!! あぁ~……松茸……じゅるり」

 月夜が二つの丼画像を見ながら、テンションを上げている。


 その隣では――


「ツイッタ~であるショ~ヒンのパッケ~ジにかいてある、いちぶんがワダイに?」

 イブキが暇つぶしに読んでいた、雑学系ニュ~スの中にあった、そんな記事に興味を惹かれひらいてみる。


「ど、どぜう? なんだろ? このホソナガ~イやつ??」

 出てきた画像に首を捻るイブキ。


「どれどれ?」

 月夜がイブキのスマホ画面を見ると、


「なんだ。だたの泥鰌じゃない」

 月夜の目に真空パックされた細長い魚――泥鰌の画像が見えた。


「ドジョ~? ふ~ん……ドジョ~ってゆ~のかコレ」


「そそ。――で、これがなんなの?」


「んとね……このドジョ~? がねいきかえんだって」


「ん? ゴメンよく聞こえなかった。もう一回言って」


「いきかえるんだって」


「ホントにっ!? だって真空パックされてんだよっ!? ミッチリ、モッコリ……」


「なにテレてんの?」


「な、なんでもないわよっ! そんな事より、こんな状態で生き返るのっ!?」


「みたいよホラ」

 そう言いながら、パッケ~ジの注意書きを見せる。


「ホントだっ!」

 パッケ~ジには確かに『ごく稀に生き返る場合がございます』の一文があった!


「よっぽど活きのいい締めをしたんだろ~なぁ~……おいし~のかな? じゅるり」


「……月夜。これおサカナさんのエサだよ」

 そういって釣具店の画像を見せるイブキだった。

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