ぱいうぉ~。

 いつものバス停にて――


「カップヌ〜ドルのエビがいらないかの議論ねぇ〜……アレルギ〜とかなら仕方ないケド、入っててもいいと思うけどねぁ〜……」

月夜が愛用のグルメ系ニュ〜スアプリを見ながら、カップヌ〜ドルの中にある具材でエビの是非を問う記事を読みながら、


「へぇ〜……あの赤い色を出すためにインド洋で採れるエビを使ってんだ〜」

また無駄な知識を増やしつつ感心する月夜の隣では、


「エンゼルパイとチョコパイせんそ〜?」

イブキも月夜と同じアプリでそんな記事を読んでいた。


「ふ~ん……そんなコト起こってんの?」

 イブキの呟きに珍しく月夜が興味を示す。


「いまのトコ、エンゼルがわがユ~セ~みたい」


「ふ~ん……」

 イブキの言葉に脳内でデッカイこん棒を振り回して暴れるチョコ菓子の軍勢を想像する月夜。


「ユ~セ~のエンゼルさんはカント~ほ~めんにおおいんだってさ」


「ふ~ん……」

 月夜は歴史教科書に載ってる徳川家康の姿絵を想像して顔の部分をチョコ差し替えて想像する。


「チュ~ブやコ~シュ~じゃチョコパイがユ~セ~なんだって」


「ふ~ん……」

 月夜は顔がチョコの鎧武者が『風林火山』という旗を背負った姿を想像する。


「う~ん……」

 月夜の脳内で盛大な合戦が繰り広げられ――


「なんか――」


「ん?」

 いつも間には右手に『エンゼルパイ』、左手に『チョコパイ』を持った月夜が顔をしかめつつ。


「どっちも食べればいいじゃない!――って、気がしてきた」

 そんな身もふたもない事を言いながら2つのパイを交互に口に放り込む月夜だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る