かぶと。
いつものバス停にて――
「再販後のペヤング工場フル稼働でも生産おいつかずっ!? へぇ~……みんなそんなに好きなんだぁ~」
月夜がグルメ系ニュ~スにのっていた、記事を読みながらしみじみと洩らす。
「――その打開策として、廉価版を販売っ!? なにこれ? 廉価版ってど~ゆう事だろ? ソ~スが半分しか入ってないとかな? あぁ……麺の量がちょっと少ないのかぁ……その分、価格が安いなら2個食べればいっか。ふむふむ……『ペヨング』って名前になるのか……」
「月夜、月夜」
イブキがおもしろいモノを見つけた時のような好奇心に満ちた表情をしながら話しかけてくる。
「これみてよ~。かいがんにカブトムシいっぱいだって~」
イブキがそう言って差し出すスマホ画面には、
「ブエノスアイレスのマル・デ・アホ市にあるビ~チが一夜のうちにカブトムシで埋め尽くされる異常事態が発生っ!?」
「そそ。すっごいよ~」
「えぇ~……これ画像に【閲覧注意】のタグ付いてんじゃん。ウチ……ムシとか……ウジャウジャ系はちょっと……」
「えぇ! カブトムシいっぱいだよっ! もし、だんしショ~ガクセ~がここにいたらカブトムシのなかにル〇ンダイブしちゃうよっ!!」
「いや……さすがに、そこまでアホな子はいないでしょ男子小学生でも……アホ……あっ!
」
月夜がなにかに気付いたような表情になる。
「ん?」
「この街の名前、マル・デ・アホ市って……」
「そこにくいついちゃうんだっ!!」
自分と喰いつきポイントが違うとショックを受けるイブキだった。
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