たいしょほ〜

 いつものバス停にて――


「にゅ~……Zzzzzzzzzzzzzzzzz――」

 妙な声を洩らしたと思ったら、近くのバス停に『コテン』と寄りかかり静かな寝息を立て始めるイブキ――器用に立ったままスマホは顔の前で保持したまま寝るという離れ業を見せる。


「ちょっとイブキ」

 それに気づいた月夜がイブキの肩をユサユサっと揺すって起こす。


「ん~……あと……あと……ご……ごじかん」


「5時間って結構ガッチリ寝る気マンマンっ!? こんなとこでぇ!!」


「Zzzzzzz――だって、キノ〜あんましねれなかったんだモン……」

揺り起こされ瞼をうっすらと開けたまま、光の灯らない虚ろな瞳で機械的に口を動かすイブキ。


「あぁ……深夜にあるよね! 明日あるから早く寝ないと――って、思えば思う程寝れなくなっていく現象」

 イブキの肩に置いていた手を離し一指し指を立てて、そんな事を言う月夜。


「あれって一回リラックスするためにカモミ~ルや音楽聞くのも手らしいよ」


「ん~……イブキさんはひらきなおってテツゲ~した……Zzzzzzzzzz」


「それ、もはやゲ~ムしまくって眠いだけでしょ!!」

 真剣に付き合った分だけ怒りが倍増した月夜だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る