うま。

 ある日――


「モグモグパクパクかぁ~……」

 喧噪の支配する教室の中で窓際の自分の席で頬杖をついたまま外を見ながらそんな事を呟くイブキ。


「なに言ってんの?」

 いつの間にかすぐ横に立っていた月夜が呆れた顔で言う。


「ん~?」


「いや……いきなし変な事呟くんだモン」


「あ~キョ~ソ~バのなまえだよ。さいきんウマをそだてるゲ~ムやっててキョ~ミホンイでキョ~ソ~バのなまえをしらべてみたらさぁ~」

 イブキがスマホ画面に馬の変な名前一覧を出しながら、


「はぁ? なんでそんな名前にしたのかね?」

月夜が小首を傾げ中空に『?』マ〜クを浮かべる。


「さぁ? 月夜みたいになんでもいっぱいたべるウマだったんじゃない?」

冗談ぎみにそう言うイブキに、


「そっか〜。イブキがもし馬だった『ヒンニュ〜インパクト』とか『ムネナシテイオ〜』とかになってるね」

と、手痛い反撃を喰らうイブキだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る