たいぼ~

 いつものバス停にて――


「おぉ! ついに出るんだ」

月夜が瞳を輝かせて洩らした呟きに、


「ん? なになに? ゼンジド〜メシセイゾ〜キでもでるの?」

月夜の様子にイブキはそう返す。


「違うわよ! ウチの好きな本の新刊が5年ぶりにでるの」


「ヘェ〜……でも、ひさびさのシンカンでもそこまでうれし〜なんって、すごくスキなんだね」


「それもあるケドね……」

と、少し陰りの混じった表情で、


「未完のまま作者さんが急死しちゃって、プロットを元に別の人が書いたモノだから雰囲気が合うかど〜か不安なんだケドね……」

期待と憂いを帯びた複雑な表情でそう言う月夜に、


「ふ〜ん……そ〜なんだ……」


「まっ、全自動飯製造機も負けないぐらい魅力的だケドね」


「……せっかくイイはなしっぽかったのに」

 そういって呆れ顔になるイブキだった。

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