ゆめ。

いつものバス停にて――


「ふむふむ――」

月夜がなにかを真剣な表情で読んでいる。


「ふむ〜……アンブレラがシャインぼしゅ〜してるとおもったら……シンサクのつりだったかぁ〜……」

イブキがゲ〜ム系のニュ〜スにのっていた記事の後追いをしたあとにそう呟く。


「ねぇ、イブキ」

なにかを一心に読んでいた月夜がイブキに話しかけてきた。


「ん〜?」


「今朝、みた夢おぼえてる?」


「うん」


「どんな夢?」


「ゲ〜ムのうまいカレシがキョジンになってガッコ〜こわしてくれたユメ」


「それ……夢じゃなくてアンタの願望じゃ……。って、そ~じゃなくって、う~ん……そうだ! なんか食べ物食べてる夢みたことない?」


「ん~……? あるよ」


「なにたべてた?」


「んとね……ケ~キとかあまいものけ~」


「え~っと……甘い物は……親や恋人の愛情を求めている……だってさ」


「え~なになにそれ」


「隠された欲望がわかる精神診断なんだって」

 月夜はスマホ画面をみながら答える。


「月夜は? 月夜はなんだったの?」


「ウチ?」


「うん」


「ウチは――」

 そこで言いにくそうにしてから、


「甘い物、高級な物からジャンク、スナック菓子とかいろいろ……」


「へェ~。で、そのハンテイケッカは?」


「なんだろう?」


「へ?」


「載ってないんだ……ウチがみた夢……」


「……あぁ、そうなんだ……」

 なんと声をかけていいかわからず、そう答えるのが精一杯のイブキだった。

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