ぽんぽん。

 いつものバス停にて――


「うんぁ~……」

 イブキが憂鬱な天気を吹き飛ばすように叫び声を上げ――


「あたまポンポンしてほし~な!」

 イブキが自分の頭部を摩りながらそんな事を呟く。


「ん~? はい。頭ポンポン」

 月夜が隣にいるイブキの頭を片手でポンポンと軽く叩く。


「ん~……いいかも~……」

 と、気持ち良さそうに目を細めるイブキ。


「――って、ちっがうよっ!」

 月夜の手を払いのけ抗議するイブキ。


「オトコのヒトにだよっ! オンナのこにあたまポンポンされてもうれしくないよっ!!」


「うれしそ~だったじゃない」


「うっ! あ、あれは……のってあげたんだよ」


「ふ~ん。でもイブキの身長って丁度、頭ポンポンするには最適だよね? ウチもさっきやってみて思ったけど」


「そ~なんだよっ! さらにかおがちっさいオンナのコはされやすいハズなのにっ! なんでだれもしてくんないんだろ~?」


「そりゃ――」


『野球部のライナ~を蹴りかえす女子にはおいそれと近寄らないでしょ』

 と、思ったが口にしない月夜だった。

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