すとろ〜

 いつものバス停にて――


「ふんふんふん――」

イブキが自慢の大型スマホを自撮り機能にしてプリっと可愛いらしい唇にグロスを塗っている。


「あら、いい色じゃんイブキ」

月夜がイブキの桜色になった唇をみて、


「でしょ、でしょ! イブキさんはるバ〜ジョンだよ!」

イブキがナチュラルメイクを施し、少しだけ色っぽくなるようにラメのはいったグロスが可憐さと色気という相反するモノを同時に兼ね備えていた。


「月夜もつかってみる?」


「ん〜……」

月夜はむつかしい表情になり、


「ウチ、ストローもらい忘れちゃったから」

そういって飲みかけのペットボトルを見せる。


「あつくぬらなきゃダイジョブでしょ」


「味かわるイヤだし」


「そっか〜……」

そこでイブキはなにかを思い付いた表情になり、


「じゃ――のみくちにクチをちかづけてハイカツリョ〜ですいだせば!」


「おまえの中のウチのイメ〜ジがドンドン化物じみてきてるな」

呆れ顔でそう言い返す月夜だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る