【モヤっとします】げきおこほん。

 いつものバス停にて――

 ピピっ。

「よ~かいメダルセットオン!」

 イブキが自身のスマホにむかってそんな事を叫ぶ。


 ププっ。

 そんな機械音とともに――


『私にはいろんなことができますが、妖怪を召喚することはできません…』

 と、表示された。


「なにやってんの?」

 その様子を見ていた月夜が声をかける。


「んっとね~……さいきんSiriちゃんのハンノ~がおもしろくていろいろはなしかけてんだ」

 ニコニコ顔でそういいながら手にもったスマホをふる。


「おなじコトいってもね~ビミョ~にリアクションがちがうんだよ」


「そうなの?」


「うん! たとえば――」

 イブキがそういってホ~ムボタンを長押しすると――『ピピっ』という電子音が鳴り音声入力モ~ドになる。


「よ~かいメダルセットオン!」


 続いて――『ププっ』という電子音の後に、


『すいません、呼び出せません…妖怪のしわざかもしれません』


「――ね。さっきとおなじコトいったのにリアクションがちがうでしょ」


「本当だっ! へぇ~おもしろいね」

 そこでふとなにかを思い付いたみたいに、


「あっ! そ~だっ!! ねねウチに貸してみて」

 そういって月夜は――


「オ~ケ~Google」

 割と良い発音でアップル製のスマホに音声入力してみる、


 ププっ。


『おもしろい冗談ですね。座布団を差し上げるほどではありませんが、おもしろいです』


『おもしろいは愉快という意味ではなく興味深いという意味ですよ』


「月夜、月夜! Siriちゃんオコだよっ! あやまったほ~がいいよ!!」


「う、うん。ごめんなさい」


 ププっ。


『いいですよ』


「よかったね。ゆるしてくれたよ」


「……う、うん……ってかなにこれ?」


 月夜としてはなんか釈然としない展開になった。

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