そつぎょ〜

 いつものバス停にて――


「う〜ん……」

卒業シ〜ズンのこの時期、どこかの大学生一団が袴を着て歩いているのをじっと見ているイブキ。


「月夜はさ〜」

色とりどりの着物を見つめながら口を開く。


「ん〜?」

月夜が土鍋プリンの画像に見惚れていると、イブキが振ってきた。


「だいがくのそつぎょ〜しきにきるならス〜ツ? それともキモノ?」

月夜イブキの視線のさきのいる大学生の集団に気づいた後に、


「ウチは着物かな〜」


「あっ! やっぱし」

と、嬉しそうに応じるイブキ。


「イッショ〜にいっかいしかないモンね」


「着付けメンドイけど綺麗な着物きれるなら我慢できるよね〜」


「月夜なんてカミまできあいいれてユイそ〜」


「そ〜ね。やりなら綺麗に結ってもらうかも」


「いいな〜。イブキさんもウィッグでもかぶちゃおうかな〜」


「地毛伸ばせばいいじゃん」


「ダメ〜。イブキさんのうまくヘアケアできるジシンないもん」


「え〜! イブキならできるよ〜」

そういって月夜イブキに頭をポンポンと撫でる。


「う〜ん……」

少し迷った後に、


「やっぱしダメ。てつやでゲ~ムはいしんしてると、カミにモロにでちゃうんだよね。そ~かんがえると、なるたけケアしやすいよ~にみじかいほ~がいいもん」


「ふ~ん……まあ――」

 月夜は再びイブキの頭をポンポンしながら、


「大学卒業の前にウチの学校――もしくは進級しないとね」


「うっ!」


 夢いっぱいのガ~ルズト~クの中に唐突に現実的な事を放り込んでくる月夜だった。

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