しゃっくり。



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 いつものバス停にて――


「――ひっく」

 イブキがスマホをいじりながらバスを待っていると、隣からそんな異音が聞こえた。

「――っく、ヒック!」

 再び聞こえた異音。

 イブキがそ~っと隣の様子を伺うと――

「ヒック!」

 スマホでオシャレ系ニュ~スを見ていた月夜がそんな声とともに身を少し震わせる。

『月夜がしゃっくりしてる。ここはおどろかしてとめてあげるのがセ~ギだよね』

 イブキの表情から感情を読み取ると、そんなトコだろう。

 隣の気配を探りながら、そろりそろりと移動して――


「「わっ!」」


 イブキが脅かそうと背後から忍び寄ったトコを突然振り返った月夜に逆襲を喰らい、、胸の辺りを押さえながら倒れ込む。

「バレバレなのよイブキは――ヒック!」

 そのイブキを見下ろしながら月夜が言い放つ。

「び、びっくりした。もう、せっかくしゃっくりとめてあげよ~とおもったのに……ブツブツ」

「そ~いうのは当人にバレてないから驚いて止まるのよ。当人にバレてたら意味ないの――ヒック!」

「だからってギャクにおどかすコトないじゃん」

「ウチもこんなにうまくひっかかると思わないかったもん――ヒック!」

「じゃ、こんなホウホ~はどう?」

 そういってイブキは自分のスマホから『医師直伝しゃっくり止め』という記事を出す。

「ふ~ん……ちょっと見せて」

 月夜が記事を読む。

「呼吸をするとき肺を伸縮させる筋肉――横隔膜がなんらかの原因で痙攣を起こし――詳しい症状とかはいいや、ええ~っと……治す方法は――っと、ヒック!」

「みずをいっきのみとか?」

「それは今朝やってダメだった――ヒック!」

「深く息を吸って止めるか――ヒック! す~――」

 月夜は大きく息を吸い込み、限界まで貯め込んだあとにゆっくりと吐き出した。

「は~――ヒック! だめ、治んない」

「次は人差し指で両耳を三〇秒塞ぎ――」

 月夜は記事の内容のままにやってみるが、

「これもダメ治んない。次は舌引っ張るか――」

「はいは~い。イブキさんが月夜タンひっぱってみる」

「タンって、牛タンみたいにゆ~な! それにこれも効きそ~にないし、はぁ~あしゃっくりって何回もすると死んじゃうんだっけ?」

「それはないでしょ」

「へ? そ~なの?」

「うん。月夜がしぬカクリツよりもジンルイがメツボ~するカノウセ~のがたかいもん」

「……ウチはゴジラかなんかのか!――ヒック!」

 しゃっくりに負けず月夜が突っ込んだ。

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