おそれ。

 いつものバス停にて――


「そ~いえば」

「ん~?」

 イブキがスマホで『男性は女性のこの仕草に弱い!』といった見出しの如何わしい記事を読んでいると月夜がなにかを思い出したといった感じで話しかけてくる。

「も~すぐハロウィンだね」

「あ~カボチャをどれだけとお~くにとばすコトができるかをきそうおまつりだっけ?」

「それはアメリカのデラウェア州のカボチャ祭り。ハロウィンは10月31日に仮装しておかしをもらうお祭りだよ」

「あぁ……へんなカッコして「とっととよこせ、オラ、とっとと――」って言うんだっけ?」

「『トリック・オア・トリート』ね。それじゃただの強盗だから」

「そういえばさ――むかしね、ハロウィンのカボチュをかおっぽくするじゃん?」

「ああ。ジャックオアランタンね」

「あれがニガテだったな~くらいトコでみるとケッコ~きみわるくって……」

「あぁ――ウチもピエロとかこわかったな~。あの狂気じみた笑顔が……」

「ほかにもマンホ~ルのフタとか、イブキさんがうえにのったときにはずれたらどうしよ~とかおもってたよ」

「あ~わかる、わかる。想像系は一度おもちゃうとずっと付き纏うよね~ウチも水族館のガラスが割れたらど~しよ~とか今思うとありえない事考えて怯えてたな~」

「月夜はいまもオバケにがてじゃん~」

「あ~あ~あ~あ~聞こえな~い」

 月夜は手の平で耳をポンポン叩くと聞こえないフリをして誤魔化した。

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