ヒュードラン
翔馬
序章 始まりの襲撃
ーー
「ハァ、ハァ…」
少年は母親と思われる女の人に連れられて走っていた。
「母さん…どこへ行くの!?みんなを助けなきゃ」
「もうこの町は無理よ。神霊師がいない今、
二人の後ろからは、ドタドタと
「レイト、あなたは生きなきゃいけないの。あなたはあの人の血を受け継いでいるのだから。そう、これからが始まり、あなたは信頼できる人を見つけなさい」
そう言われ、少年は壁に叩きつけられたと思った瞬間、壁がくるりと回り、隠し部屋に入った。レイトと呼ばれるその少年は突然のことに呆然とした。
「母さん!母さん!早く!」
レイトは壁の向こうにいる母親に呼び掛けた。
「私はいけないわ、あの人の代わりにあなたを守らなきゃいけないもの。レイト、もし信頼できる人を見つけたら、本当の名前を伝えなさい。レイト: :ロディア、それがあなたの封印の鍵よ。その人を守るために強くなりなさい」
そこから先はもう聞こえなかった。
「母さん…どうしたらいいんだよ…」
ズガン、ドゴンと
********************
「こりゃ酷いな。生きている奴、一人もいねぇんじゃねぇのか?クレイ」
数刻後、町にある集団が到着した。町の状況を見てリーダーと思われる男が隣にいた少女に呟いた。この集団の中にいる唯一の少女だ。
「ここら辺に
クレイと呼ばれた少女はその男の呟きに答えた。
「マリスたちは町の中を見回ってきて。私はあの城を確認するから」
クレイがそう言うと、マリスと呼ばれた男はわざとらしく驚いた。
「クレイがいないと生死判断できねぇんだけど」
「それぐらい自己判断でしょ。マリスたちなら大丈夫」
「そっけねぇーな」
クレイとマリスはそこで話を止め、集団は町へ散らばり、クレイは町の中心にある城へと向かった。
「町には誰も生きてはいないと思うけど…」
クレイは完全に散らばった集団を見つめて呟いた。そして、町の象徴である城を見る。
「巨大な力…誰かが“
********************
「ここがレッドタウンの城…」
城の中にも
「彼女が“
クレイがその通路を丹念に調べていると、ある場所を触った途端壁が回転して、中に引き込まれた。
「痛った~…ここは隠し部屋?」
倒れたときに打ち付けた頭を抑えて周りを見回す。そして不思議な
「何?誰!?」
その影はクレイと同じぐらいの少年だった。
「見つけた、“
「クレイは何者?」
クレイが人だとわかったからなのか少年に張りつめていた緊張が少し解けたようだ。
「私は神霊師集団『ブラスト』の一員。この町に
「俺は…レイト:ロディア。なぁ、神霊師ってことは
クレイが神霊師と言ったのが引き金だったのか、レイトは町の様子を問いつめた。
「町の人たちも、
「みんな…死んだ?母さんがやった?…ダイシールドなんとかって何だよ!」
「“
「お…俺が
突然の告白にレイトは動揺する。まあ突然自分が
「真実だよ。現に君の
クレイはレイトに近づき、ある種の力を送った。
「グッ…何をしたの?」
クレイが送った力を受け取ったレイトは少し痛みを受けたようだが何とか堪えた。しかし、顔は苦痛に歪んだままだ。
「私の力を送った。覚醒するかなと…どう?変化なし?」
「わからない…っ!!」
次の瞬間、レイトの身体に変化が起こった。茶色だった髪は白く光り、黒い目は血のように赤く、極めつけは膝から足首にかけて白色の龍の鱗が現れた。レイトの
「白い鱗と髪、瞳は血のような深紅、それにこの
「…クレイの回りに何か見える」
深紅の目は
「これが
「クレイは黄金色?綺麗…」
「そこまではっきり見えるなんて…やっぱり主の血は違うか…」
「なあ、さっきから主とか言っているけどどういうことなんだ?俺の父さんがドライトとか…」
「
クレイがその名を言ったとき、レイトの中で何かが弾けた。それは
「そうだ。ねぇ、クレイ。君の本当の名前も教えてほしい」
レイトはクレイの目を見つめながら無意識に呟く。
「!!…私の名はクレイ:ドラキール:アレク。
レイトのそんな姿を見て、クレイも本能のままに本来の虹色の髪と目、肩から肘にかけて龍の鱗を現し、レイトの手を取る。
「クレイ:ドラキール:アレク。僕は誓う。如何なる闇も切り裂く光を君に与えると…」
「レイト:ドライト:ロディア。私は誓う。如何なる敵も打ち砕く力を君に与えると…」
誓約の言葉を二人が述べた瞬間、二人を光が包んだ。
ーー二人の物語はここから始まったーー
ヒュードラン 翔馬 @shomatsukaze
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