◇378 -本拠地への帰還 華-1
ウンディー大陸から潜水艦でシルキ大陸へ入った冒険者達───大規模な商業ギルド マルチェ のマスター【ジュジュ】、皇位を与えられた有能情報屋【キューレ】、ホムンクルスであり
テラの異質極まりない雰囲気をキャッチしたシルキ民───大妖怪と呼ばれる
さすがは飛行───障害物もなく道も筋も関係なしの空移動───は速く、噂の首都が冒険者達へその壮大かつ美しい姿を現す。
シルキ大陸───通称【和國】の首都。
華の都-
三大陸の首都、ドメイライト、バリアリバル、デザリア、と堂々肩を並べられる程の広さと、どの大陸にもない和國ならではの美しさに冒険者達は見惚れてしまった。
◆
ウンディーの冒険者───だけではなく、ノムーの騎士もイフリーの軍も、三大陸の民間人も、シルキ大陸の街がこんなにも美しく風情ある街並みだとは予想もしていないだろう。そもそも、シルキ大陸の存在自体が煙かかっているので街など想像する事さえ出来ない。しかし今、冒険者達の前にあるのはシルキの街の門で、門を守る門番が鋭い視線を向けている。
「
ジュジュは着陸する前に上空で防具を変更したため、龍組風の防具ではないもののやはり外国から来た存在には鋭い警戒の視線が向けられる。門番が門番の仕事を確りとこなしている証拠だが、鋭い視線に対し相応の視線を返している
「勿論そのつもりだ。待っててくれ」
軽く言い、螺梳は屈強そうな門番の前へ歩み寄り「知人を街へ招きたい」と一言。すると門番は深々と頭を下げる。
「
「え? 何て言ってるか全然わかんない」
「にゅあん、冷たいニャ~」
空を泳いでいる最中にリナは自前の酒を浴びるように呑んでいたので、完全に出来上がっていた。躓く呂律に雪女のスノウは呆れ果てていると門がゆっくり開かれた。シルキ大陸の───少なくともこの街の───門は古典的とも言える開閉式。街と外の境界線───結界魔結晶の効果範囲───を示すだけのアーチゲートではない。
「ヒェー、やっと帰ってきたって気分。私達は城に戻るけど、ラスカルはどうする?」
雪女のスノウは冷気のように息を吐き出し、無い左腕を触る仕草を見せた。
妖華
傷こそ色々なやり方でどうにでもなるとして、切断されたパーツは特種な種族でなければ生える事はまずない。モモの左手があり、スノウの左腕がないのは、切断された後の対応、処置の違いにある。パーツさえあれば再生術でどうにでもなり、スノウやモモは人間ではなく各性質が違う
ふたりの様子と、千秋が操る怪鳥の背で眠る夜叉と眠喰を見て螺梳は答える。
「俺も一旦戻ろう。宿屋はすぐにわかると思うから、ここまででいいか?」
「あぁ、色々助かった」
冒険者パーティのリーダージュジュが返事をし、螺梳達とはここで一旦別れる事に。千秋は帰る場所があるらしく、怪鳥に乗り飛び去っていった。
「さて、とりあえず俺達も宿へ行こう。上陸してまだそんなに経ってないが疲れたし、一旦落ち着ける場所で休もう」
◆
「エミリオさんとお友達だったんですか?」
千秋は大きな背に抱き付くように寝転がり、怪鳥へ問い掛けるも返事などない。今千秋を乗せ飛んでいる怪鳥は生きているようで生きていない。体温の無い羽毛は氷よりも冷たく感じる。
和國───シルキ大陸の者にしては雰囲気がどこか異国な千秋。衣服こそ和國らしいものだが、顔立ちや雰囲気は着込んでも隠せない。
「この大陸で力と知識をつけてイフリーへ帰るから、付き合ってね」
怪鳥は返事の代わりに力強く翼を扇ぎ、千秋の意思を尊重するかのように高く飛んだ。
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