第百三十七章 帰還

「どうされたのですか、リスタ様?」

「ふあっふ!?」


 ウノの声で私は我に返る。一瞬、脳裏にニーナの映像が過ぎった。今のは幻覚? でもそれにしては、やけにクッキリと……!


「えっとね。今、これを作った女の子が泣いてる姿が頭に浮かんだの」

「確かリスタ様は鑑定スキルをお持ちでしたよね? 無意識にそれが発動したのでは?」

「けど普段の鑑定と全然違ったよ? あんなこと初めて……あ、いや……」


 違う。私は以前にも似た現象を体験している。前回イクスフォリア救済時、前世の母親カーミラ王妃が持っていた人形に触れた時、過去の映像が同じように頭の中で再生されたのだ。


 そのことを告げるとウノは真剣な表情で頷いた。


「魔神化することで、もっていた特技に磨きが掛かったのでしょう。リスタ様は鑑定の上位スキルを会得されたのです」

「鑑定の上位スキル!? マジで!?」

「物に残された思念を頭の中で映像化して読み取る力――それがリスタ様の新しい能力かと」

「そ、それってサイコメトリーみたいな!? やったあっ!! 何だか格好いいじゃない!!」

「特技というより特殊能力ですね。映像化出来るのは、おそらく神の脳波によるもの。仮にジョーカのスキルを用いても、真似ることは容易ではない筈です」


 十八番おはこの治癒魔法は聖哉に真似された! でもこの能力があれば、私は私の存在意義を保てるわ!


 嬉しくなって心の中で小躍りしていると、ウノが微笑みながら言う。


「それではこのスキルを『覗き見能力』とでも名付けましょう」

「!! いや何よ、その嬉しさ激減する名前は!? すこぶる犯罪者っぽいけど!?」

「そ、そうですか。すいません。私、そういったセンスが無くて……」

「ま、まぁ、名前は後で私が考えるよ。それよりさっき見えた映像……ニーナちゃん、何で泣いてたのか気になるわ」

「ではもう一度、スキルを発動なされてみては如何でしょう? 理由が分かるかも知れません」


 私は頷くと、押し花を握りしめて目を閉じた。鑑定する時の要領で、手に持った押し花と自分の感覚をリンクさせる。すると脳裏にまたもニーナが泣く姿が映し出された。暗い部屋で父親の名を連呼し、さめざめと泣いている。しかし……


「……どうでしょうか、リスタ様」

「うーん、ダメ。姿はハッキリ映るけど、どうしてそうなったかまでは分からないみたいね」


 私は半ば諦めて苦笑いしたが、ウノは私に真摯な瞳を向けていた。


「単に物に宿る思念を読み取るだけなら、人間の中にも僅かながら出来る者がいるかも知れません。でもリスタ様は女神。更にその先がある筈です」

「『その先』?」

「リスタ様が知りたいと強く願えば、残留思念から派生したその者の感情、或いは過去の体験を映像として読み取ることも可能かも知れません」

「そ、それが『その先』ってことなの?」

「はい。リスタ様ならおそらく到達出来るでしょう。『覗き見の向こう側』へ」

「!? いやそんな『スピードの向こう側』みたいに言われても!!」


 犯罪度が増しただけのような気がする。そんな私の微妙な気持ちとは裏腹に、ウノは興奮した様子で両手を胸の前で握っていた。


「さぁ! 心の中で女神の力を高めるのです!」

「わ、分かったわ! やってみる!」


 私は手に持った押し花に意識を集中する。


「うーん、うーん!」

「もっと真剣に!」

「じゃあ……ふおおおっ!!」

「何が『ふおおおっ』ですか! もっともっと強く! そう、血を吐くくらいに……ゴフッ!」

「う……う゛おりゃあああああああああああああああああああ!!」


 私は押し花が潰れるくらいに力を込めた。や、ヤバい! 気張りすぎてお尻から何か出そう! でも頑張るのよ、リスタ! ニーナちゃんの泣いていた理由を知る為に! くっほおおおおおおおおおおお!! 光り輝け、私の女神力! ムーン・プラズマパワー・バストアップ! 月に代わって覗き見よおおおおおおおおおお!


 まさに血を吐くような気持ちで気合いを入れ続けると、ふとウノの声が聞こえなくなった。そして私の脳裏にさっき見えたのとは異なる映像が映る。


 辺りは同じように薄暗い。だが私の眼前にあるのは巨大な漆黒の水晶。ルシファ=クロウが封印されている魔封岩だ。更にそれを囲っている者達の姿も見える。複数の悪魔神官、ローブをまとったロザリー、ケオス=マキナ。そして……


「お父さん。やだ……やだよ……」


 ニーナの声が聞こえた。ニーナは父親と手を取り合っている。二人とも目に涙が滲んでいた。それでも父親は気丈に言葉を紡ぐ。


「ニーナ。いいかい、これは順番なんだ。誰かがやらなきゃあならない」


 黙りこくるニーナ。代わってケオス=マキナの声が響く。


「そうよ、そうそうー。公正な選定を経て決まったのだからー。仕方ない、仕方ない、仕方ないわー」

「……別れの挨拶は済んだか?」


 ロザリーの言葉にこくりと頷くニーナの父親。ロザリーは鞘から、ゆっくりと剣を抜いた。


「お前の命は決して無駄にはしない。これでルシファ=クロウの復活が早まるのだから」

「その通りよー。必ず平和な世の中が訪れるわー」


 魔封岩の前でニーナの父親は屈み込み、頭を垂れた。ロザリーが剣を高く振り上げる。


「お父さんっ!! いやあああああああああっ!!」


 ニーナの叫び声と同時にロザリーの無慈悲な剣が振り下ろされる。生命を断ち切る嫌な音と共に、私の意識は現実へと戻った。



「……大丈夫ですか、リスタ様?」


 心配げに尋ねるウノに返事をするのも忘れ、私は激しく震えていた。


 ――た、た、た、大変だわ!!





 ウノ邸から少し離れた場所に開けた草原があった。冥界の奇妙な草が群生している、だだっ広い平地だ。聖哉とセルセウスがそこで修行しているのを知っていた私は、息せき切って駆けていた。


 やがて聖哉が近くの大木に、もたれかかっているのが見えてくる。


「ああっ、聖哉!!」


 慌てて駆け寄る最中、ゴツゴツしたものを踏んでしまった。どうやらセルセウスが草原に大の字で倒れていたらしい。だが今はそれどころではない。


「大変なの!! ロザリーがルシファ=クロウ復活の為に、人間の生け贄を捧げているのよ!!」


 私は叫ぶが、聖哉は身じろぎ一つしなかった。


「その前にどうしてお前にそんなことが分かる?」

「私の魔神化の能力! ニーナちゃんに貰った押し花から残留思念を読み取ったの!」


 まだ魔神化したままだった私は両手を広げてアピールするが、聖哉は疑わしげな表情だった。


「単なるお前の妄想ではないのか?」

「妄想ちゃうわ! 鑑定スキルが向上したのよ! 物から持ち主の感情や過去を読み取れるようになったの! ウノちゃんが言ったんだから間違いないわ!」

「フン。それが本当ならばこれからは薬草女改め『水晶玉女』と呼んでやろう」

「そんな呼び方どうでも良いわ!!」


 それより何より、早く門を出して捻曲ゲアブランデに行きたかった。ロザリーに会って確かめる為だ。だが聖哉は木陰に座ったまま立ち上がらない。


「お前の見たという映像が真実だったとして、さして驚くことでもあるまい」

「へっ!?」

「魔封岩の前でロザリーと悪魔が話し合っていた時、『あと百ほど』と言っていた。日数にしては長い。ややもすると生け贄の数かも知れんと推測はしていた」

「わ、分かってたなら、どうして!?」

「あのゲアブランデはメルサイスが作った歪んだ幻影。過程はどうあれ、ルシファ=クロウが蘇り、マッシュを倒せるなら皆、救われるではないか」

「そうかも知れないけど……!!」


 聖哉と話していると、セルセウスが私を睨みながら歩いてきた。


「痛ってえな、リスタ! お前、踏んだら謝れよ!」

「あんなとこで呑気に寝そべってる方が悪いでしょ!」

「寝そべってねえよ!! 修行でヘバってたんだよ!!」

「修行……そ、そうよ、聖哉! 修行はもう済んだの?」


 聖哉を振り返るも、座ったまま手元の藁半紙に何かを書いている。


「え。何してんの?」

「余った時間を有意義に使っている。神域の勇者がいきなり攻めてきた時のシミュレーションを考えているのだ」

「そ、そう。それは確かに大事かも知れないけど……今、『余った時間』って言ったよね? じゃあもう修行は終わってるんだよね?」


 私が急かすとセルセウスがジト目を向けてきた。


「お前、何焦ってんだよ? 聖哉さんも言ってただろ。あの世界は幻みたいなもんだって」

「何だかイヤなのよ! 幻だからって見知った人間が殺されるのは! セルセウス! アンタだって神なんだし、そう思うでしょ!」

「うーん。まぁ確かに幻とはいえ、人が死ぬのは気分は良くないかなあ」

「でしょ! なら行きましょう! こうしている間にもロザリーは町の人を生け贄にしてるかも知れないわ!」


 言った後、私は聖哉を見詰める。そしていつもの決め台詞を期待してジッと待った。


レディ準備は……」


 そう言いかけたが、聖哉は木陰に置いてあったティーポットからカップに紅茶を注ぎ始めた。


「ちょっと!! 今レディ・パーフェクトリーって言いかけてたよね!?」

「うむ。レディ準備は……」


 しかし聖哉はカップに口を付け、紅茶をゆっくり二口ほど飲んだ。


「……パーフェクトリー完全に整った

「!? 区切らずにサッと言えよ!! 『紅茶飲んでからパーフェクトリー』って何その新しいパターン!!」


 イライラしつつ、私は隣のセルセウスの背中を押す。


「ホラ!! アンタもさっさと用意しなさい!!」

「ええー。俺も行くのかよ?」

「当たり前でしょ! 聖哉も早く……って、また紅茶飲んでる!? もうううううう!! チャッチャと行動しなさいよおおおおおおおおおおお!!」


 かつてない程の緊張感の無さに憂いつつ、私は聖哉とセルセウスをけしかけて、捻曲ゲアブランデに戻ったのだった。






 門はロザリーのアジトに出した。捻曲世界になったことで出現位置を制限されていた私の門だが、流石に一度行ったことのある場所には自由に出せるようだ。早速、ロザリーを見つけて生け贄のことを詰問してやろうと思ったのだが、ぐるり見渡してもロザリーどころか誰の姿もない。


「おいおい。ありゃあ何の騒ぎだよ?」


 セルセウスが呟く。アジトから離れた向こうの大通りには人と悪魔が溢れており、何やら集まってガヤガヤと話している。


「行ってみましょ!」


 大通りは賑やかで、こんなに多くの人や悪魔が住んでいたのかと驚く程だった。寒々しいイグルの町が熱気に溢れ、騒然としている。


 やがて街路に左右に分かれた人々の間を、屈強な体に鎧をまとった悪魔の兵士達が歩いてきた。


「デモンズ・ソードが帰って来たぞ!」

「英雄の凱旋だ!」


 悪魔達が人間と手を取り合って喜んでいる。やってきた悪魔兵士達は竜人にやられたのか怪我をしている者が大半だったが、それでも笑顔を見せていた。そして、通りに一際異彩を放つ六本腕の悪魔が現れた時、人と悪魔達はより一層黄色い声を張り上げた。


「イレイザ様!! イレイザ様!!」

「万歳!! デモンズ・ソード万歳!!」


 私は驚きながら、聖哉の肩を突く。


「ね、ねえ! イレイザって、ひょっとして魔王軍四天王の……!」

「うむ。四天王と言いつつ、戦帝に早々にやられた雑魚だったと記憶している。だが、この世界では英雄扱いか。奴の能力値もそれなりに向上しているようだな」


 六本腕で縦横無尽に武器を振るう凶悪な悪魔――そんなイレイザですら、気兼ねなく町の人間達の握手に応じていた。セルセウスが呟く。


「あんなヤバそうな悪魔が……ホント人間とうまくやってるんだな」

「うん。何か変な感じよね……っと! こうしちゃいられないわ! それより今はロザリーよ!」


 私は喝采を送っている悪魔や町の人にロザリーの所在を尋ねた。どうやらロザリーは魔封岩のある建物の裏手にいるらしい。私達が教えられた場所に向かうと、ロザリーは立ち並ぶ石碑の前で一人、祈りを捧げていた。


「……ロザリー。アンタ、こんなところにいたのね」


 話し掛けると立ち上がり、ゆっくりと振り返る。


「イレイザが遠征先で勝利を収めて帰ってきた。そのことを死んでいった英霊に報告していたのだ」

「それって罪滅ぼしのつもり?」

「何のことだ」

「私、知ってるんだから! アンタが町の人をルシファ=クロウ復活の生け贄にしてることを!」

「……流石は女神だな。隠し事は出来ぬようだ」


 事実を突き付けても、ロザリーは全く動揺しなかった。逆に射抜くような隻眼を向けられ、私の方が狼狽えてしまう。


「ルシファ=クロウの復活には大量の生命エネルギー『マナ』が必要だった。だが悪魔や竜人の持つマナは人間より密度が薄い。いくら竜人を討伐しようが、このままでは復活まで数十年掛かってしまう。故に数ヶ月に一度、町の中からくじで公平に生け贄となる人間を選んだ」


 ロザリーは数十を超える石碑に視線を移した。感情が潰えたような隻眼を見て私はゾッとする。


「も、もしかしてこのお墓って全部……!」


 ――目的の為に他人の命をないがしろにするなんて……まるで竜王母みたいじゃない! こんなの完全に私の知ってるロザリーじゃないわ! 環境と置かれた立場が変われば、人ってこんなにも変わっちゃうの?


「せ、聖哉! 何とか言ってやってよ!」


 しかし聖哉もまたロザリー同様、泰然自若としていた。


「別に良いではないか。どうせこの世界は幻。逆によくやったと褒めてやろう」


 そして聖哉はロザリーの肩をポンと叩く。セルセウスも何故だか聖哉を真似て、キラリと笑ってロザリーに親指を立てた。……いやお前ら、マジで何なん!?


 ロザリーはそんな聖哉に対して、小さく頭を下げた。


「理解してくれて感謝する。大義の為に多少の犠牲は仕方がなかった」

「何が大義よ! こんなの絶対、間違ってるわ! とにかく生け贄なんて物騒なこと、もう絶対にするんじゃないわよ!」

「これ以上は必要ない。イレイザが今回の遠征で百体以上の竜人を葬った。およそ人間数人分の生命エネルギーだが、ヒビ割れた魔封岩を壊すには充分だろう。後は悪魔神官がマナを注ぐ儀式を終えれば、ルシファ=クロウは復活する」

「ルシファ=クロウ復活……だからそれ、本当に大丈夫? ロザリー、アンタ、悪魔達に騙されて良いように使われてるんじゃない?」

「何度も言っているだろう。アナタが知らぬこの十年で人と悪魔の絆は血よりも濃く結ばれたのだ。事実、私とケオス=マキナは幾度も死線を乗り越え、竜人共を討ち取っている」


 噂をすれば、向こうからケオス=マキナが現れて、ロザリーに親しげに手を振った。


「姫ー、早く早くー! 待ちに待った儀式が始まるわよー!」

「ああ。今、行く」

 

 笑顔で快く返事をした後、仲良く連れ添い歩く二人の後ろ姿を見ていると、確かに堅固な信頼関係が成り立っているように思えるのだった。





 

 魔封岩が設置されている石造りの建物の中には既に、遠征から帰って来たデモンズ・ソードの兵士達、それにイレイザ、更にはフラシカなど人魔連合の幹部達も集まっていた。


 人と悪魔の群れを前にして、ロザリーが厳かに告げる。


「我らが念願のルシファ=クロウ復活の儀がまもなく執り行われる。多数の竜人を葬り、マナを集めたデモンズ・ソードに……そして自らの命を賭して復活の時を早めてくれた人間達に、今一度、感謝の祈りを捧げよう……」


 しばらく人も悪魔も目を瞑り、押し黙った。やがてロザリーが隻眼を開く。


「それでは儀式を始めよ」


 ロザリーの合図で悪魔神官達が魔封岩を囲った。天を仰ぎ、両手を広げている。今からイレイザが遠征で倒したという竜人達の生命エネルギーを魔法でかき集め、注入するようだ。


 ……だが。悪魔神官が呪文を唱え始めたその時。大きな音を立てて、建物の扉が開かれた。


 皆の視線が集中する。そこに立っていたのは傷ついた一体の悪魔。遠征から帰ってきたデモンズ・ソードの兵士だった。


「控えよ。今は儀式の最中だ」


 イレイザが厳しい声を発する。しかしまるで耳に入っていないように、覚束ない足取りでこちらに近付いてくる。


「ふは……ふはひひひ……!」

 

 悪魔兵士が不気味な笑い声をあげたと思った刹那、私の隣にいた聖哉が猛ダッシュ! 鞘に入ったままの剣を頭部に向けて振り払った! 鈍い音と共に悪魔兵士が吹き飛び、建物の入口近くまで戻される!


「せ、聖哉!? いきなり何で!?」

「黙れ。下がっていろ」


 私達の周りにいた悪魔達が聖哉を睨む。有無を言わさず同胞が弾き飛ばされたのだから無理もない。だが聖哉はその悪魔兵士から目を離していなかった。


 扉近くまで飛ばされた悪魔兵士は、ゆっくりと立ち上がるとまたしても、くぐもった声で笑う。そして次の瞬間、体を眩く発光させ、激烈な音を立てて爆裂した!


「うひょおっ!?」


 誰よりも大きな声でセルセウスが悲鳴を上げる。ケオス=マキナとイレイザが声を荒らげた。


「あ、あの悪魔、体に爆薬でも仕込んでたってのー? どうなってんのよ、イレイザ! アンタの部下でしょー?」

「考えられぬ! 我がデモンズ・ソードの兵が謀反など!」


 二人が言い合っている最中、ロザリーは片方の目を大きく開き、聖哉を見詰めていた。


「何故だ? どうしてあの兵士が危険だと分かった?」


 ――た、確かに! もし聖哉が気付かなければ私達、爆破に巻き込まれていたかも! 一体どうして分かったというの?


 聖哉は鋭い目のまま、語る。


「急に『ふはひひひ』などと笑って歩いてくる者にろくな奴はいない。なので、あらかじめ吹き飛ばしておいたのだ」

「えっ……あっ、ああ……そういうことなのか……!」


 ロザリーが呆気に取られているが……いやそりゃそうだよね! 相変わらず推理でも何でもないもんね! つーか、変な笑い方しただけで吹き飛ばすとか、どんだけヤバい人なのよ! まぁその機転のお陰でみんな助かった訳だけど!


 気分を変えるようにロザリーが大声で叫ぶ。


「入口を厳重に警備! これより何人たりとも、外部から入らせるな! 復活の儀を急ぐのだ!」


 建物の外では恐ろしいことが起こっているのかも知れない。それでもロザリーは何よりも優先し、魔封岩にマナを捧げようとしていた。

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