フクロダさんの過去2
師匠の死後、私はあの全焼した森に師匠の墓を作った後、各地を転々とし、魔法の修行に励んだ。
師匠が死んでから私は貴族に……王に怒りを殺意を感じていた。
だが師匠は生前「怒りで動いてはいけません。復讐からは何も生まれない」と言っていた。
だから私は師匠の言葉通り、復讐をしない……殺意を生まないために魔法の修行に没頭した。
「ホー、ホー、ホー」
私はその時に相棒のフクロウ、ホーちゃんと出会った。
師匠の墓を作り、旅に出ようとした瞬間、まだ小さかったホーちゃんが私の頭に乗っかったのだ。
それからなぜか私に懐き、ずっと一緒で旅をして、師匠がいなくなってから、ホーちゃんは私の心の支えになっていた。
それから数年が経ち、私は十九歳になった。
魔法を極めに極めて、一人でドラゴンを倒せるくらいに強くなった。
私は師匠の墓参りに向かうべく、「フライ」を使ってホーちゃんと共に飛んでいた。
その経路として王都を通ろうとすると、王都から煙が上がっていた。
なんだろうと、王都に寄ってみると、王都て戦争が起きていた。
私は王都に恨みを持つ者として、この戦争を見逃そうとした。
「ホー!」
「ホーちゃん!?」
すると、ホーちゃんが王都に向かってしまった。
私は後を追うと、ホーちゃんは王様の住む城の一番上の部屋の窓に入ってしまった。
私も入って行くとーー。
「貴様! 何をしたのかわかっておるのか!」
「もう民はあなたに着いていけない! あなたの考えが民がどれだけ苦しんでいるのかわかっているのか!」
そこには鎧を着た若い男が、明らかに王様の姿をした老人に剣を向けている光景があった。
あれが王様……師匠を死に追いやった……。
「ええい黙れ黙れ! 平民は貴族のために死に、貴族は王のために暮らすものだ! たかが平民が死に絶えるだけで、絶対的支配者の王である私に逆らっていいはずがない!」
王の完全な自己中心的な言動に私は今まで貯まった苛立ちがこみ上がって来た。
「貴様の顔覚えたからな! 金と権力を使って絶対に地獄を味わわせーー」
「ふん!」
「ぐべあっ!?」
私は横から王の顔をまるでボールのように思いっきり蹴った。
王は壁際まで吹き飛び、顔には履き物の跡がついていた。
師匠の言いつけを破ってしまったが、この王は多くの人に恨みを持つ悪人、それに殺してないからきっと天国の師匠も許してくれると思いたい。
このいきなりの状況に鎧の男は唖然としていた。
「き、君は?」
「王様に恨みを持っていた者です。何か知りませんがお手伝いします」
こうして私は王都侵略の手伝いをすることに
なった。
王都侵略はドラゴンを倒すよりも容易く、数時間で制圧を完了した。
私が上で出会った鎧の男、王に反乱するリーダーは王の妾の子らしく、妻である王女とのいざこざを理由に、母親と共に王に城を追い出され、王都から離れた辺鄙な村で暮らしていた。
彼は民の味方をする人格者で、民を苦しめ、自分を捨てた父である王に復讐のため、反乱を起こしたらしい。
私は王を倒したことにスッキリし、私はホーちゃんと王都を去った。
反乱軍のリーダーはお礼がしたいと言ったが、王権などややこしくなるため、断って立ち去った。
それから数年後のこと、私は住んでいた森とはそう遠くないシウラの森で暮らし始めた。
そこで家を建て、魔法の特訓を続け、いつの間にか森の動物に懐かれて、使い魔にして暮らしていた。
そんなある日のことーー。
「おお! ようやく見つかった!」
シウラの森に男達が現れた。
彼らは王都制圧の時にいた反乱軍の人だった。
あれから数年、反乱軍のリーダーだった彼は、貴族の反乱を押しきり、民との協力を得て、王女はすでに他界し、他に親族がいないため。唯一の王と血の繋がりがある彼が正式に新たな王になった。
今は法律などを新たに作り直し、民にも住みやすい世の中を作るようにしている。
そして彼らは王都制圧の恩人として、私を探していたらしい。
私は王都に向かった。
王都に来てすぐ、私は今の王に会った。
王都の街中を見ると、住んでいた民は明るくなり、私は王都制圧を手伝ってよかったと思った。
私は城に呼ばれ、王に歓迎された。
そして食事をし、その最中に彼は世間話のようにこう言った。
「この国の再建ために協力してくれませんか?」
彼の話は新たな国のために、貴族の暴走や民の助け、国のために王の命令で動く「魔法兵」の新たな人員になってくれないかという勧誘だった。
私は少々考えたが、使い魔の様子を見るための休暇を条件に了承した。
それから数日後、二十一歳の私は王都で魔法兵での生活が始まった。
どういうわけか、ホーちゃんも一緒に着いて来た。
王都の寮に暮らし、仲間と暮らすことになったが……師匠と動物しか関わったことのなかった私は、他人ばかりの魔法兵の皆と上手く喋ることが出来なかった……。
他の人から「何だコイツ?」という目で見られ、私は孤立していた。
そんな私に話しかけたのはハーディスだった。
彼は前の王の頃から魔法兵をやっていた古株で、ただ黒髪の忌み子を倒せればいい事で特に反乱することはなく、今の王に従った。
そして私はハーディスと一緒に魔法兵を頑張った。
私が一人で倒したやつの何倍もあるドラゴンを皆で倒したり、貴族の陰謀に裏で阻止をしたり、ハーディスに気づかれないように罪のない忌み子を逃がしたり、魔法学校の生徒の危機を救ってアーネに目をつけられたり、後輩が出来て懐かれたりと思えば色々あった。
だが、私が魔法兵をしていたのは約一年くらいだった。
魔法兵を辞めたきっかけは前王の支持者であり、革命軍のリーダーであるニコの父親のクーデターだった。
私は黒髪であるニコをきっかけにハーディスと喧嘩、そして魔法兵を辞めて、ニコとシウラの森に連れて暮らすこととなった。
私はニコを育て、今までろくに世話をしなかった使い魔達の世話をして過ごした。
やはり私にはこの生活が一番落ち着くと思っていた。
それから十年後、三十一歳になった私にある悲劇が起きた。
長年連れ添ったホーちゃんが私を庇って森のモンスターに襲れて死んでしまったのだ……。
師匠が死んだ時も、魔法の修行の時も、魔法兵にいた時も、辛い時、悲しい時もいつも一緒で私の心の支えだった……………………私はホーちゃんを生き返らせるべく、禁忌を犯した。
生き物を生き返らせるのはこの世界では大罪とされていたが、私はホーちゃんを生き返らせることでいっぱいだった。
森を出て、国の大きな図書館で資料を読み漁り、私はニコや使い魔達を世話を雑にするほど、私は失敗のないよう、実験を繰り返し、研究に没頭していた。
そして、ようやく完成した魔法陣。
私は魔法陣の中心にホーちゃんの死体を置いた。
私は魔法を発動させた。
「魂よ。元の場所に帰れ『リバース』」
魔法陣が光り、私はこれでようやくホーちゃんとまた生活を送れると思っていた…………が……。
光りが静まると、ホーちゃんの姿はなかった。
ふと見物していたニコを見ると、ニコは驚いた顔をしていた。
私は何だと思い、自分の手を見てみると、私の手が、人間の手ではなく、鳥の足のようになっていた。
そう……私は魔法を失敗してしまい、ホーちゃんの体と合体してフクロウ人間になってしまったのだ。
背中に羽、手足が鳥の足、そして顔がフクロウの人からしてみれば化物だ。
原因は魔法陣の中に私も入ってしまったから……生命を生き返らせる魔法に死んでいる者以外がいたことによる魔法の暴走である。
私は絶望した……生き返らせたいホーちゃんと合体してしまっては元に戻さない限り、もう生き返らせることが出来ない。
絶望で動けずにいる私をニコと動物達は慰めてくれた。
だが私は……死を覚悟していた。
王都の城では国で禁術を犯した場合、反応する宝玉があるのだ。
その宝玉から煙が飛び出し、その煙は消えず、禁術を使った術者の上に浮かび上がる。
フクロウ人間になった翌日、その煙が私の家の真上に雲のように浮かんでいる。
それから数時間後、王都の騎士達が我が家に来て、私は正座をしてずっと待っていました。
私は一人、手錠をかけられ、騎士達に連れられて王都に向かった。
そして王都に着き、そのまま処刑場に直行し、処刑人に罪状など長話を聞かされ、処刑に魔力を封じられ、ノーマルディア・エルトン・ヘルヴレイムという名を剥奪され、私は次元の穴へと落とされた。
私はホーちゃんのこと、残してしまったニコや動物達のこと、それらを後悔しながら落ちて行くのだった。
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