フクロダVSアーネ2


 俺の庭で戦いが始ろうとしている……とは思ったのはいいが…………俺はどう戦えばいい?


 フクロダさんは魔法が半減されてるけど、フクロウ人間になってパワーは上がっている。

 ニコは薬、歩美は格闘、金山はエアガン、俺は何も持ってないし、特に取り柄もない。

 あるのは歩美の格闘の実験台にされた丈夫さぐらいだ。


「ウルルン起きなさい!」


「くっ……このアマァ! よくもやってくれたな!」


 おお、ウルルンが怒ってるよ……。

 あっちは殺気を放ちながらシリアスな雰囲気……。

 

「耀助、今更だけど……ウルルンって可愛い名前だね、プフッ!」


「兵藤、名前のことは言わないでやって。可哀想にあんな名前で苦労してるんだね……」


「やっぱり自分もスズキだから……」


「下の名前で呼ぶな!」


「あ……あの……」


 こっちは緊張感ねえな~。

 歩美と金山は駄弁って、ニコはそんな二人にオロオロして……。

 フクロダさんだけが真剣な目でアーネを見ている。


「あんた達少しは緊張感を持ちなさいよ!」


「てめえら! 俺の名前で笑うんじゃねえ!」


 アーネとウルルンが怒ってツッコミを入れた。

 うん、これは怒っていい。


「もういいわ! あんた達はあいつらの相手しなさい! ノーマルディアは私がやるから!」


「なら私はあの女の子をもらうわね。強い子に興味あるし」


「ちっ! なら俺はあいつらか……」


 スネーリアは歩美、ウルルンは俺達にロックオンした。


「ニコ、あなたは耀助さん達をフォローしてください」


「はい」


 ニコは俺達のサポートに回るようだ。


「さあ行きなさい!」


「「了解、マスター」」


 アーネの指示で使い魔が達が動き出した。


「行くぞお!」


「ニコさん、援護よろしく」


「はい!」


「じゃあ、よろしく!」


「「「ええ!?」」」


 歩美と金山が立ち向かうが、俺は家へと逃げ、その行動に三人が驚いた。

 人として情けないが、これにはわけがある。


「ちょっと耀助!?」


「道具取ってくる!」


 そう、さすがに取り柄のない俺に道具なしは辛いから武器を持ってくるしかなかった。


「ああもう! じゃあ行くわよ!」



 ***



 スネーリアっていう蛇女がアタシに向かって来た。


「あらあら、さっきの威勢はどうしたの」


「うお!? ちょ!?」


 スネーリアの尻尾が鞭のようにアタシを襲い、避けるのに精一杯。

 これじゃアタシが攻撃する余裕がない。

 

「おらおらどうしたあ!」


「くそ!」


 金山の方も、エアガンで乱射しているが、狼男は避けるか、爪でBB弾を切り裂いている。


「さっきは油断したが、慣れれば大したことねえな!」


「うわ、ヤバイかも……」


 まずい、どんどん狼男との距離が近くなり金山がピンチだ。


「よそ見してていいのかしら?」


「しまっ……!」


 アタシが金山を気にしている隙に、蛇女の尻尾が私の腕に絡み付き、引っ張られた。

 そして蛇女の胸元に当たり、自分の体ごと尻尾で縛り上げた。


「さ~て、そろそろ……」


 蛇女が口を開けて鋭い牙がアタシの襲ってくる。

 アタシは縛られなかった両手で口をつかんだ。


「うぎぎぎぎ……!」


「あら、本当にバカ力ね。でもいつまで続くかしら」


 蛇女の噛む力が強くなった。

 というか口開いたままどうやって喋ったの!? なんて思ってる場合じゃない!


「歩美さん!」


「動かないで頂戴、その薬を投げたらこの子に当てるようにするから」


「くっ……!」


 ニコちゃんが薬を当てようとしているが、蛇女の脅しに身動きが取れない。

 ヤバイ……このままじゃ痺れて戦闘不能に……もう……ダメ……。


「耀……助……」


「歩美!!」


 諦めかけた瞬間、耀助の大声が聞こえた。

 声をした方は蛇女の真後ろだった。


「うおらぁぁぁぁぁぁばっふぁ!」


 背中に色々な武器を背負って来た耀助は手に持った木刀で後ろから殴ろうとしたが、尻尾で一掃された。


「ぐっ、痛っ……」


「バカね、そんな大声じゃバレバレよ」


 あの蛇女……耀助を傷つけた上に、せっかく憧れだったヒーローに助けられるヒロインみたいなシチュになると思ったのに……。


「何……してくれてんのよぉぉぉぉぉぉ!」


「なっ!?」


 アタシは怒りのまま、蛇女の口を力いっぱい開けた。


「相変わらずすごいな……」


「耀助! 棒頂戴!」


「お、おう、棒、棒…………ほれ!」


 アタシは耀助からを受け取って、蛇女の口に棒を縦に入れた。

 これで棒が引っ掛かって噛まれない。


「ふふ、考えたようだけど、甘いわね」


「何!? ていうかあの蛇、口開いたままでどうやって喋ってんの!?」


 耀助がアタシとおんなじ疑問を抱いていた。


「知ってる? 蛇って丸呑みするために想像以上に口を開くのよ」


 蛇女がそう言うと、ゴキゴキと音を立てると、口が最初の顔の縦幅より大きく開いた。

 というか頭自体がでっかくなってる気がする。

 口に立てたも、このまま丸呑みするくらい大きい。


「あがががが(どうかしら)」


 さすがにこんなに開いてちゃ何言ってんのかわからない。

 ……だが甘いと言った蛇女に言いたい……。


「そっちこそ甘いわ」


「あが(何)?」


「突っ張り棒ぉぉぉ!!」


「!?」


 そう、耀助に渡された棒はホームセンターとかに売ってる収納に便利な突っ張り棒だ。

 アタシはすぐ口の大きさまで伸ばし、その長さに固定した。


「あ……が……」


 口が最大まで開いた蛇女はまさに開いた口が塞がらない状態になっている。

 苦しそうにして、自分の手で突っ張り棒を外そうとするもぎっちりと引っ掛かり、外れない。

 突っ張り棒に気をそらしたのか、縛られた尻尾がほどき、動けるようになった。


 フフフフフフフ……さあ~て、ここからが本番ね。

 

「覚悟しなさい蛇女あ!」


 アタシは一度距離を取って、猛ダッシュで再度近づいた。


「ローリングソバット!」


「が……!」


「からのボディーブロー!」


「あっが……!」


 アタシは走りながら回転しながら足の裏で胸に一撃。

 足が地面についたら、片足を軸に回転し、その遠心力を利用して腹を殴り、蛇女が吹っ飛んだ。


「よっしゃラストォォォォォォ!」


 相手が痛みで苦しんだ所をさらに畳み掛ける。

 アタシは尻尾を踏み台にしてジャンプし、蛇女の頭上に飛んだ。そしてーー。


「かかと……落とし!!」


 蛇女の脳天にかかとを叩き込んだ。


「が…………」


 脳天を叩き込まれた蛇女は白目を向いて、その場に倒れた。


「よっしゃぁぁぁぁぁぁ!」


 勝った! 私は化物に勝ったんだ!

 最近は耀助が格闘の相手をしてくれなくなったからなまったと思ったが、全然いけた!


「すごいじゃん歩美! あの化物を倒すなんて!」


「そうでしょ! すごいでしょ!」


「これでお前も化物と言っても過言じゃごぶ!」


「過言だよ!」


 ムカついたアタシは耀助の顔を殴った。

 やっぱり女の子扱いしてくれない……。

 まあ、こんなモンスターまがいの奴を倒したから無理もないけど……。


「あれ? 金山とニコさんは?」


「え? そういえば勝負に夢中になったからわかんない」


「おーい、耀助、兵藤」


「……戻りました」


 アタシ達がちょうど話していると、ニコちゃんと泥だらけの金山がこっちに来た。


「聞いてよ! 僕達二人でウルルンを倒したよ!」


「「マジで!?」」


 アタシと耀助は金山が言ったことが信じられなかった。


「一体どうやって?」


「えっとーー」



 ***



「待てやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


「助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」


 エアガンのBB弾が尽きて僕はウルルンから逃げ回っている。

 いつの間にか家の裏側にいて、僕はその場で転んだ。


「痛っ!」


「はあ、はあ……とうとう追い詰めたぞ! 覚悟しやがれ!」


 どうしよう……殺気だって殺る気満々だ。

 このままじゃ殺られる。


「この! この!」


 ヤケクソになった僕はその辺の物をウルルンに投げた。

 竹ほうき、折れた物干し竿、石、ありとあらゆる物を投げた。


「ああ、うっとうしい!」


 だがウルルンは避けるか手で払うかして、全然効いてない。

 もうなすすべがない……と思ったその時、僕はある破れかけのビニール袋を投げつけた。


「ん?」


 ウルルンがそれを掴み、中身を見てみるとーー。


「……肉?」


 それは肉の塊だった。

 結構高そうな牛肉みたいだが、色が少し濁っている。


「……………………ジュル」


 あれ? ウルルンがよだれをたらして肉を凝視してる。

 もしかして食べるの?


「3日ぶりの肉、塊の肉!」


 食べた!

 ウルルンは色が悪い肉を貪っている。

 相当肉に飢えてたんだな……。


「ゲフ……さて、腹も膨れたしーー」


 食べ終わったウルルンは再び僕に狙いを定めた。

 もうこれまでか……。


 ゴロゴロゴロゴロ!


「覚悟し、あぁあぁ~~~!」


 ウルルンの腹からこちらからも聞こえてくるくらい大きな音がした。

 そしてウルルンは青い顔をして、腹を押さえ、内股になり、情けない声を上げた。


「は、腹が……」


 ああ……腹壊したんだ……。

 そりゃあんな濁った色した肉を食べたらそうなるよね……。


「だが、これぐらいなら我慢でーー」


「えい!」


「ぐあ!」


 突然ウルルンが腹から尻を押さえて痛そうにしている。

 尻には注射器が刺さってある、ということは……。


「だ、大丈夫ですか? 金山さん」


「ニコさん!」


 ニコさんがウルルンの後ろから現れた。


「お、遅れてすみません……歩美さんがスネーリアを倒したのでこちらに加勢しにきました」


「マジで!? 」


 耀助から強さは聞いてるけど、そこまで化物じみてるとは……。


「ありがとう! それであの注射器には何の薬が入ってるの?」


「はい、即効性の下剤です」


「ぬあぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ!!」


 ウルルンが再び腹を押さえて、顔色が青を通り越して紫になって叫んだ。

 下痢に下剤のオーバーキル……ニコさんって案外エグいな……。


「もう……限界……」


「あー……ここじゃあれだから森の奥でして。ついてってあげるから。あ、ニコさんはそこにいて」


「え? はい……」


 僕は、ウルルンと肩を組んで森の奥へと向かった。

 だがウルルンは下痢に必死で気づかなかった……。

 僕のもう片方の手にシャベルを持っていることを……。



 ***



「ーーそれで、あいつが全てを出し終えた瞬間にシャベルで後頭部を殴って倒したってわけ。今頃、自分が出したクソの近くで気絶してると思うよ」


「「うわ~」」


 ウルルンあっけね~。

 きっとウルルンのクソは森の肥料として役に立つだろう。


「それで耀助、あの裏にあった肉は何だったの?」


「あ~、あれは前に商店街の福引きで当てたんだよ。でも帰る途中ドブに落としちゃって、それで後で捨てようと思って裏にビニールで包んで1ヶ月間放置したままだった」


「「「うわ……」」」


 フクロダさんが来てすっかり忘れてた……。

 一応洗ったから死にはしないと思うけど、まさか放置した肉が役に立つとは……。


「理由はどうであれ、俺達は勝ったんだ!」


「「「いぇーい!」」」


「い、いえーい」


 俺達はハイタッチをして喜んだ。

 ニコが遅れているが気にしない!


「あとは、アーネだな」


「フクロダさんどこ行ったの?」


「あっちから二つの魔力の反応があります」


「おーさすが魔法使い」


 さて、フクロダさんを助けにいきますか!


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