第2話 喫茶店主ロベルタの仕事と人生について

 町から砂漠を走ること小一時間、町の姿も見えなくなり、辺りは地平線まで広がる砂漠とお構いなしに照り付ける太陽。陽の光を直接受けている二人は互いに会話することで暑さを紛らわしていた。ロボはキャタピラを走らせて、背中に座るルウはツナギから上半身を露出させタンクトップ一枚になって首元を手で仰いでいる。

「か……か……"かいじゅう"」

「"ウォッカ"です」

「また"か"じゃん。ずるいよロボ、検索してるでしょ」

「ズルではありません、セイトウな方法ですよルウ。ルウが脳からケンサクしているようにワタシも世界からケンサクしているのです。これでワタシが10戦10勝です、ルウは弱いですね」

「ロボットにしりとりで勝てるわけないでしょ、勝ってもうれしくないけど。あーもう、しりとり飽きたよ。何かないのロボ……アッツ!」

 背伸びをしながらロボに寄りかかろうと身体を傾けたが日照りの所為か高温になっておりルウの身体が跳ね上がった。

「いけませんよルウ、ワタシの身体は鋼鉄製です。現在のワタシのタイオンは80度近くに上がっています。触れるとヤケドを負いますよ」

「いつもはバスだったからこんなに外が暑いとは思わなかったよ……。ロボにクーラーついてないの」

「排熱ファンにカオを近づけてみてください。心地よいカゼと共にルウの顔がアカくハレあがるでしょう」

 ルウは無言でロボの背中を蹴った。

「はぁ……外は暑いしロボも熱いしトボロは遠いしお腹は空いたしもうイヤ。今なら働いたっていいわ」」

「それはホントウですかルウ」

「嘘に決まってるでしょ。働くぐらいなら熱さで死んだほうがマシよ」

 それきりロボとルウは無駄話をやめて風に身体を預け始めた。

 未だトボロの町の姿は見えてこない。



 あれからしばらくルウは眠っていたようだった。台座の手すりに身体を預けていたがロボが石を踏んだ揺れで頭をぶつけて目を覚ました

「んあ……寝てた?」

「おはようございます。ぐっすりとネムッていましたよ。ワタシからは見えていませんでしたが」

「見えてないなら寝ていたかどうかなんてわかりゃしないじゃない」

 高く上っていた陽も少し西に傾き始めていた。気温も少し低くなっていたようだが相変わらずロボの身体は熱を持っていて触れそうにない。

 また砂漠を走り続けているとロボが何かを見つけた。

「ルウ、あそこになにか建造物があります。ワタシのデータに情報がありません」

「私にも見えるわよ。こんなところに家なんて建ってたかしら……? ロボ近づいてちょうだい」

「リョウカイです」

 ロボは道から外れ、砂漠の中にひっそりと佇む一棟の民家に近づいた。近づいてよく見てみると意外としっかりしていて、砂漠の砂嵐にも負けない造りになっている。しかし人気がなく部屋の明かりもついていない。窓から中を覗いてみても人の姿はなくいくつかのテーブルとカウンターが並んでいるが、イスはテーブルの上に乗せられている。シーリングファンだけが静かに回転している。

「家っていうよりお店みたいね……カフェみたいな……。店員いないのかしら?」

「カンバンすら立ってませんね。入ってみますか?」

「そうね、おなかも空いたし。はいりましょ」

 ルウは入口の扉をゆっくりと押し開けると、カランと鈴の音が鳴った。ルウとロボが店に入っても店員は出てこない。呼び出し用のベルも置かれていない。店内は意外と広く20名程の席があった。カウンターの向こうのキッチンはコンロの上に鍋とポットが置かれたままになっている。冷蔵庫のコンプレッサーの音が空しく響いている。

「本当に誰もいないのかしら? すいませーん」

「はいはい。ごめんなさい、裏に行ってて気が付かなかったわ」

 カウンターの奥から頭に三角巾をして、エプロンとスリッパを履いた女性が出てくる。目元の皺や容姿から見て四十代程だろうか。日焼けした浅黒い肌と女性に似合わない角張った手を布巾で拭いている。

「あらあら、珍しい時間に珍しいお客さんの組み合わせ。今日はお仕事休みなの?」

「うっ……や、休みです……」

「いえ、ルウはムショクです」

 ルウがロボの足を蹴り上げる。

「へぇ働いてないのね。ってことは労働証も持ってないのね」

「そうよ、悪い? もしかして労働証みせないと相手にしない店なの?」

 ルウが右足を摩りながら店員に悪態をつく。しかし店員は気にもせず笑って返す。

「町の店じゃないんだからそんなことないわよ。誰でも店に入れば私の客よ。泥と油臭い女の子もロボットでもね。ただ……あなたお金持ってるの?」

「モっていますか?」

「……持ってない」

 ルウは作業着の全てのポケットをひっくり返すが少量の硬貨と工具しか持っていなかった。店の飲み物でさえ購入できないだろう。

「金がないならあたしの客じゃないね。出ていきな」

 店員はルウとロボを手で払い、再びカウンターの奥へ行こうとする。その姿をルウが慌てて止める。

「まま、まって。お金は持ってないけど代わりに手伝いとかするから。それでお願い!」

「手伝い? あんたみたいなガキに何ができるんだい」

「私じゃなくてロボがよ。荷物運びに配達になんだってできるわ!」

「ナンデモはできませんよルウ」

「ふぅん……、まぁいいわ。じゃああんたたち裏の倉庫の整理でもしてよ。棚の名札通りに並べてくれればいいから」

 店員はロボの全身を見てから、カウンターの裏を指さした。

「ワカリマシタ、ミス――」

「ロベルタ、ミスもミセスもいらない。じゃあこっちだからついてきて」

 ロベルタはカウンターの裏へ二人を案内すると廊下の端に地下へと続く階段があった。コンクリートの地下室は先ほどまでの砂漠とうって変わってひんやりと涼しさがあった。階段を降りていくと二つの扉があり、正面の扉の中へ入っていく。

「ここが倉庫、向こうにある資材と材料を分けてくれる」

「意外と広い地下ね……。それに涼しい」

「まぁ一応空調入れてるからね。暑過ぎると駄目になっちゃうものもあるのよ」

「じゃよろしく」と言ってロベルタは倉庫から出て行った。

 ルウとロボは倉庫内を見渡すが想像よりも広いことが伺え、段ボールやコンテナが乱雑に置かれている。

「んー、涼しくて気持ちいい。さっきまでの外とは全然違うわね。それじゃ、ロボ頑張ってね」

「エ、ルウはやらないのですか」

「当たり前じゃん。なんで私が倉庫整理なんかしなきゃいけないの。それに私が手伝うよりロボ一人でやった方が早いでしょ」

「そんなことはありません。ルウもやりましょう」

「気が向いたらね」

 そういってルウは壁を背にして座り込んでしまった。その姿を見てロボは排熱ファンでため息紛いを排出しながら肩を落とした。

 ロボはもともと特殊現場作業用として造られたということもあり、難なく荷物を運搬していく。背中の台に荷物を載せて他の荷物を持って移動する。人間には簡単に出来ない働きぶりだろう。

 一方ルウは相変わらず壁を背にしながら寝息を立てて横になっている。本当に手伝う気はないようだ。

 ロボは寝転んでいるルウを起こそうとはせず、ひたすら寡黙に仕事をつづけた。そして小一時間程で大体の荷物を整理し終えることができた。

「ルウ、オキテください。終わりましたよ」

「んあ……。あ、え? ああ、終わったの」

「ハイ。ルウが寝ている間に」

「そう……、流石ロボね。さっさと報告しに行きましょ。お腹すいたわ」

 ルウは体を起こすとロボを連れて倉庫から出て行った。

 カウンターまで戻るとロベルタがキッチンで調理をしていた。慣れた手つきで大きな鍋をかき混ぜながらフライパンで炒め物をしている。鍋からはスパイスが効いた良い香りがしてくる。恐らくはカレーだろう。

 カウンターの上にはロベルタが持ってきたであろうラジオが置かれており、ノイズ交じりのニュースが流れていた。

「終わったわよロベルタ。楽勝な仕事ね」

「そう。なら報酬をあげないとね。ロボ、あんた何かほしいものはあるのかい?」

「ワタシはジュウデンと少々のアブラで十分です」

「そう、んじゃあいま発電機持ってくるからまっててちょうだい」

 ロベルタはそう言って外に出ようとするが、再び慌ててルウが引き留めた。

「ちょ、ちょっとまってよ。私の分は?」

「……あんた寝てばっかで何にもしていなかったじゃないか。ロボは手伝ったから報酬を払う。あんたは何もしていないから何も払わない。当たり前のことじゃないか」

「うっ……。じゃ、じゃああのカレーは何よ!」

「あれは私の昼の分に決まっているだろう。働かないやつに食わせる飯はないよ。充電が終わるまで椅子にでも座ってな」

 ロベルタはそのまま外に出ていき、店内にがっくりと項垂れるルウが残された。ルウは力なく腕を垂らしてカウンターの席へ腰かけた。だが目の前のカレーの香りが鼻孔をくすぐる為すぐに後悔した。

「ダイジョウブですかルウ?」

「大丈夫じゃない……。お腹すいた……」

 カウンターに伏せるルウの腹から空腹を告げる虫の音が鳴る。香りにイラつきながらも動く気力もないようだ。

「持ってきたよ。今動かすから。んでこれ油ね、物置の奥に置いてあったからちょっと古いかもしれないけど」

「モウシワケありませんが、ルウにショクジを分けていたけませんか」

「だめだめ。働かざる者食うべからずがこの世の常。自分の主人だからって甘やかしちゃいけないよ」

「シュジンではありませんトモダチです」

「ともだちぃ? 人間とロボットがかい。まぁなんにせよ働かないと食えないことを覚えさせなきゃこのままだとこの子いずれ死んじゃうよ。私もこの子ぐらいの頃は同じような考え持ってたけどそこから――」

「緊急速報です。本日の午後3時――より――トボロの町近――辺において大規模な砂嵐――がかくに――」

 ロベルタの話を遮るようにしてラジオから警告音と共に砂嵐の注意報が流れ始めたが、ノイズが次第に大きくなりそしてノイズだけが流れるようになってしまった。ロベルタがラジオの周波数を変えたり軽く叩いたりしてみたが直る様子はない。

「ラジオにまで砂嵐が吹き荒れるようになったのかい。古い型だったし、買い換えどきかねぇ」

「……貸して」

 カウンターに伏せていたルウが起き上がって壊れたラジオを手にし、コンセントから抜いてカウンターの上で解体し始めた。手際よく解体していく姿にロベルタが初めて感心を露わにした。

「半田ごてある?」

「ああ、ええっと確かこの辺りに……あった。はいよ」

 取り出した半田ごてを無言で受け取るとゴーグルをしてから、カウンターを離れてボックス席の方へ持っていくと、半田付けを始めて火花を散らし始めた。

「へぇ、あの子ああいうの得意なんだ。」

「そのようです。ワタシのキドウもルウがしてくれました」

 半田付けを終えたルウがラジオを再び組み直してアンテナを立てる。その額や首元が少し汗ばんでいるのが分かった。

「はい、電源付けてみて。多分ちゃんと受信するはず」

 ロベルタは受け取って電源を入れてみると、ノイズが走り出す。つまみを回転するとノイズ音の上下の後に先ほどのニュースの音声が流れてきた。ちゃんと直せたようだ。

「おお、直った。凄いじゃんあんた」

「別に……町の人間ならこのぐらい誰でもできるでしょ。褒められるようなことじゃないよ」

「それでもあたしには出来なかったんだ、ありがとうよ。ほら食いな」

 鍋からカレーを盛ってルウの前へ差し出した。その行為にルウは困惑した。

「私何にもしてない」

「ラジオを直してくれただろ?」

「だからそんなこと誰にでもできるから……」

「誰にでも出来るからって直してくれたことには変わりはないだろう? そのお礼だよ。いいから黙って受け取りな」

「ヨカッタですね、ルウ」

「……いただきます」

 ルウは少し申し訳なさそうにしてカレーを口に運ぶ。ロベルタのカレーは甘く具材は大きめでルウは空腹のあまり勢いよく食べ続けた。

「味はどうだい。口に合うかい?」

「普通」

「そりゃよかった。普通が一番」

 ロベルタは腰に手を当てて大きく笑った。ロボも笑い声の音声を流したがルウに殴られた。

 自分のカレーを用意してロベルタはルウの隣の席に座る。

「隣失礼しても?」

「どうぞ」

 ロボ、ルウ、ロベルタの順で並んで一体は電力を、二人はカレーを食べながら談笑する。先程まで静かだった店内に笑い声が溢れ、ルウに少しながら笑顔が現れた。




「ごちそうさまでした」

「はい、お粗末様」

 カレーを食べ終えたルウ達はキッチンで皿を洗い、食後の体を休めるために店内でくつろいでいた。店の外は日も落ち始めており、風が前より強くなっていて窓や風を打ち付けている。窓ガラスはガタガタと音を立てて外の風の強さを表している。ルウはコーヒーを飲みながら、ロボは相変わらず充電にいそしんでいる。

「風が強くなってきたね……。悪いんだけど、雨戸下すの手伝ってくれない? あとちょっと行かなきゃいけない所があるからそこも」

「ならワタシがいきましょう。ルウは待っていてください」

「はいよー」

 ロベルタとルウは玄関を開けて店の外に出る。外の風にロベルタの髪が靡くというより乱されている。ロボの後ろに隠れるようにして一つ一つ雨戸を閉めていく。雨戸が占められるとガラスの振動音が無くなり、風の音と建物の揺れる音だけが店内に聞こえる。

 その後しばらくして店の裏側から車のエンジン音が聞こえてくる。そして音を立てながら店からゆっくりと離れていったのがわかった。

「……一人か。なんか今日はいろいろあったなぁ」

 カウンターから店内を見渡してみる。先程まで騒がしかった店内が再び静けさに包まれた。コンプレッサーの音だけルウの耳に届き、少しイラついた。

「ロボを使ってあの掃き溜めから抜け出してみたはいいもののこれからどうしよう……。トボロの町なんて子供の頃に行ったっきりだし、労働者格差酷いからなぁ。でもあいつらがいる町へ帰れはしないし……。お金もないし……」

 ルウは頬杖をつきながら、深い深いため息をついた。吐いたため息は空しく店内に響くはずだったが、突然のエンジン音にかき消された。エンジン音は店の外から聞こえてきており、壁越しでも鼓膜が破れそうなほどの爆音が外から鳴り響く。

「な、ななななに!?」

「いんやーまいったまいった。急に嵐に巻き込まれてのぉ。一メートル前さえ見えないもんだから店まで来るのに手間取ったわい。ロベルターおらんのか?」

 店の扉がバンと音を立てて勢いよく開け放たれ複数人の老いた男達がぞろぞろと入ってきた。先頭に立っていた男がカウンターに向かいながら恐らく、ロベルタに対して話していたのだろうが、反応がないことに気づきカウンターに上半身を乗り上げてカウンターを見渡す。

「なんじゃおらんのか……。ん、珍しいの、わしら以外にロベルタの店に客がくるなんて。お嬢ちゃん、ここはロベルタっつう女の店主が営む小さなカフェじゃ。まぁ今その店主が留守みたいじゃがの」

「そんなこと知ってるわよ。行くところがあるとか何とか言ってトラックで私の友達と一緒に嵐の中行っちゃったわ」

「恐らく畑を見に行ったんじゃろうな。んしたらばすぐに戻ってくるじゃろう。どうじゃお嬢ちゃん、わしらとゲームでもして遊んで待たんか?」

「なんで私がどこの誰とも知らない爺さん達と遊ばなきゃいけないわけ?」

 そういってルウは爺さん達から顔を背け、コーヒーを飲み干そうとする。

「ほう、負けるのが怖いんじゃな。子供はビビりじゃからのう」

「――やってやろうじゃない」

 爺さんのあおられたルウは口に付けていたコーヒーカップをカウンターに叩き付けると爺さんに向き合った。

「このあたしが明日にも死にそうな老いぼれ爺に負ける? そんなわけないじゃない。ボケた口を叩けなくしてやるわ……」

「ほっほっ、元気なお嬢さんだこと。じゃがわしは強いぞ? ポーカーで勝負じゃ!」

「おお、ムサシのポーカーを見るのも久しぶりだ。ならわしは将棋で相手をしよう」

「なら俺は――」

 わいわいとルウとムサシと言われた爺さんがテーブル席に向き合うように座り、その周りを囲むようにして他の老人達がはやし立てる。お互いにカードを手にしてにらみ合うルウとムサシ。

 先程まで静かだった店内が一気に騒がしくなる。騒がしさと反比例してルウが先ほどまで感じていた苛立ちや寂しさが薄れていった。




「あら? ムサシの爺さん達来てたんだ。こりゃわるいことしたね」

「ムサシ?」

「常連の爺さん達だよ。いつもは大型トラックで町の間の運送をしてるんだけど、この嵐の所為でトラック走らせられなくなったんだね」

「ルウはどうしているでしょうか」

 ロベルタとロボが戻ると、店前に数台の大型トラックが停まっていた。嵐で巻き起こる突風に吹き当てられ、フロントガラスやトラックの荷台部分が砂に覆い隠されている。これでは確かに少しの郷里ならまだしも町間の長距離を走るのは危険だろう。

「なんだか騒がしいね」

 ロベルタが店の扉に手を掛けると、中から歓声や悲鳴が聞こえてくる。

「なんの騒ぎだい!?」

 ロベルタが勢いよく扉を開けると店内の一角が騒がしさの原因だとわかった。老人たちに囲まれてルウが頭を抱えて悲鳴を上げているのが見える。全員帰ってきたロベルタに気づかないほど白熱している。

「ストレート、またわしの勝ちじゃ。お嬢ちゃん弱いのぉ」

「んがあああ、こんなの嘘よ。インチキでしょ! なんでいっつもブタなのよ!」

「ちょっと白熱するのもいいけど私の店で賭け事はしないでくれる?」

「おおロベルタ、戻ってきたか。何も賭けておらんよ、純粋にお嬢ちゃんと勝負していただけじゃ。まぁ勝負師の名誉なら賭けたっちゃあ賭けたかの」

「ちょっとロベルタ! この爺おかしいわよ。いっつも役が揃ってるんだもの!」

「そりゃそうだ。ムサシの爺さんはイカサマ師だからね」

 そういってロベルタはムサシの袖口を摘み上げると袖口からバラバラとカードが零れ落ちる。周りを囲んでいた老人たちもそっぽを向きはじめ散り散りにテーブルやカウンター席に座り始めた。

「あ……あんた私を騙したわね!」

「騙される奴が悪いんじゃよ。社会じゃ当たり前じゃ。勝つ奴と負ける奴の違いは知恵と勝利への貪欲さじゃ」

「そんなもっともらしいこと言ってるけどただ卑怯なだけじゃない!」

「なんとでも言えい」

「はいはい、喧嘩はそこまで。爺さんも子供相手に大人げない事するんじゃないよ。他の爺さん達もさっさと注文決めな」

 ロベルタが髪に付いた砂を払い落とし、エプロンを着けてキッチンに立つ。それを切っ掛けに次々と注文が飛んでくる。

「あーもう面倒だね。ちょっとルウ、ロボ手伝いな」

「ワカリマシタ」

「はぁー? なんで私が」

 ルウが悪態をついて手をワザとらしく上げる。

「泊まってくんだから今日の宿泊費の代わりに手伝いなさい。それともこの嵐の中突っ切っていくのかい?」

「サスガにワタシの身体でもそれは厳しいですルウ」

 ルウはガタガタと音を立てて揺れる雨戸や扉をチラリと見てぐっと奥歯をかみしめる。

「ぐっ……わかったわよ。やればいいんでしょ、やれば!」

 ルウは諦めたようでカウンターに手を叩きつけた。

「よろしい。んじゃああたしがちゃっちゃっと調理しちゃうからあんたたちはオーダーとってきて料理を運んでくれるだけでいいから」

 そういってルウにメモ帳を投げ渡してキッチンに向かう。三角巾を締め直して調理を始めるロベルタの背中は熟練の年季を感じさせる。

「嬢ちゃん、注文いいかい?」

「こっちも頼むよ」

 それぞれ頼まれる注文にルウとロボは対応する。ロボは事務的に記録と処理を続けるがルウは初めてのことで戸惑いながら注文をメモしている。

「ワカリマシタ、オムライスとコーヒー二つデスね」

「えっと、スパゲティと……紅茶で、デザートが……ゼリーだったっけ? え、プリン? まぎらわしいのよ!」

「客に文句言うんじゃないよ!」

「わたし達も客だったでしょ!?」

「今はうちの店員なんだよ!」

「ハンブン強制みたいなモノですけどね……」

 ルウとロベルタは言い合いながらも料理は完成していく。ロベルタが作り上げた料理がカウンターに置かれていく。ルウも流石に手馴れてきたようでさっきよりも手早く注文の処理が出来る様になっていた。

 ロボは処理をしながらムサシ達と談笑ができるまでになっていた。

「お前さんの型久しぶりに見たなぁ。HF2730は今頃極西の土地開発に向かっておるんじゃあないのか」

「HF2730は二〇年も前の型じゃろうが! 今極西に向かってるのはHS280型だぞ」

「確かにワタシは世間でいえば型落ちでしょうがルウ整備してくれたこのボディに誇りを持っています」

 ロボは両手を腰に手を当てて胸を張るポーズをとった。

「ほう、あのお嬢さんがお前さんを動かしとるんか。そらあすごいのお。わしも昔はエンジニアに憧れたもんじゃが学がなくてのぉ――」

 気が付けばロボも座り込み老人の昔話に耳を傾けはじめている。

「ちょっとロボォ!」

 ルウは結局一人で老人たちの注文を処理することになるのだった。



 注文ラッシュを終え、老人たちが食後の談笑に耽っている。ムサシは腹を撫でながら爪楊枝で歯を弄っている。ロボは相変わらず老人の長い長い昔話の相手をしており、ルウは疲れからかカウンターに突っ伏している。ロベルタは慣れた様にコップに水を注ぎ一息ついている。慣れたことなのだろうか、ルウとは違い疲れた様子はない。

「いやーロベルタの飯はいつ食っても普通の味だな! 不味くもねぇが美味くもない」

「うるさいよムサシの爺さん。……特別じゃあなくていいんだ、普通でいい。どこでも味わえるような味があたしの店のウリなんだよ」

「そりゃあいいな。普通の味がいい、普通の味ってのは中々食えないからな。だろ、嬢ちゃん?」

 ムサシがルウの背中を叩いて話しかける。ルウは咳き込みながら反論する。

「美味い料理の方がいいに決まってるでしょ」

「それが分からねえからまだ嬢ちゃんは嬢ちゃんなんだよなぁ」

「なによ」

 ルウとムサシは再びカウンターでいがみ合い始めたが、すぐさまロベルタが止める。そしてルウの前に作りたてのオムライスが置かれる。

「あたしの店で喧嘩はご法度だよ。それにルウはあたしの友達だからね、あたしの友人同士が喧嘩してるのなんて気分悪くなる」

「わたしとロベルタが友達ぃ?」

 ルウは訝しげにロベルタをみる。

「あら、ロボットとは友達になれるのにあたしとは友達になれないの?」

「そういうわけじゃないけど……」

「ならいいじゃない、一緒にご飯だって食べたんだしもう赤の他人ってわけじゃないでしょ?」

「……いいわよ」

 ルウは恥ずかしがりながらもカウンターに顔を伏せて答える。

「なら俺とも友達じゃなお嬢ちゃん」

「それは違うわ」

 



「はぁ嬢ちゃんその歳で無職かいな」

「ソウデス。ルウはムショクです」

「わしなんてその歳でこのトラックをブイブイ言わせてたのぉ。はよ定職に就いた方がいいぞぉ。町にも入れんくなるし飯も食えん。社会は定職についてない人間には生きられん世界じゃからのぉ」

「うるさいわね……私は自分の好きなように生きたいのよ。誰かの下について人と同じ服を着て人と同じことをするなんて考えられない! 私は私なの。他人と同じじゃないわ」

 夜も更けて嵐がどんどん強くなっていく。修理したはずのラジオも砂嵐の所為かノイズが走るようになってしまった。店内にいた老人達はムサシを覗いてトラックに戻って寝てしまった。残ったムサシはコーヒーに酒を注ぎ足しながらルウとロボ相手に談笑をしている。アルコールが回っているのか顔が赤く火照っている。

「でもその考えは分からなくないわね」

「え?」

 ロベルタが洗い終えた食器を布で拭きながら答える。

「あたしもルウ位の頃同じようなことを考えたもんさ。まあ今となったらこんなナリだけどさ。あたしも煤と油まみれになるの嫌だったなぁ」

「ほうロベルタの昔か。聞きてぇ聞きてぇ!」

「ムサシの爺さん飲みすぎだよ。さっさとトラックへ行きな、明日早いんだろ」

 ぎゃあぎゃあ騒ぎ立てるムサシを店の外へ押し出す。ムサシは足取りもおぼつかずロベルタの肩を借りながらトラックへ乗り込んだ。

「ムサシの爺さん絡み酒だからなぁ」

「それより、ロベルタも私みたいな時があったの?」

「ああ、そうだよ。あたしが一三の時だったかなぁ。学校卒業してそのまま言われるがままの仕事について二年くらい働いたんだけど合わなかったんだよ。環境っていうのかな? 毎日職場に行って同じ作業着を着て油と煤に汚れて家に帰って寝るだけの生活。こんなの私じゃない! って思っちゃったらもうダメ。仕事は手に付かないしなにも面白くなくなっていった。もっと女の子らしい事をしたかったんだ。デザイナーとかコックさんとか服屋の店員とかもやってみたかった。まあこれがルウとの若干の違うところかな」

 ロベルタは注いだコーヒーを一口飲んで一呼吸置いた。

「だから仕事辞めて一年ぐらいぶらぶらフリーター生活をしてたんだけど、それもなんかしっくり来なかったのよね。だから適当に家を借りて適当にカフェでも開いたんだ。客がくる当てなんてなかったし店だって町の中の家は高くて借りられなかったしね。こんな生活続かないと思ってたけど、将来のことを考えることだってできなかった。でも少しづつ客が来るようになって、ムサシの爺さんみたいな常連だってできた。そんなかでさ、ある客が金がねぇってんで種をくれたんだ」

「タネですか。花、野菜の?」

「そう」と頷きながらロベルタはコーヒーを飲み干す。

「でも野菜で市場に流出してるのなんて人工野菜でしょ。私本物を見たことないし、栽培するのなんて町の上層部でしかできないって聞いてるわ」

「あたしもそう思ったんだけど金の代わりになるもんがこれしかないっていうんだから仕方なくもらってやったのさ。まぁ本物の種なのかもわかんないけどとりあえず育ててみようって思って小さいプランターでも買って挑戦してみたんだよ」

 ロベルタは二杯目のコーヒーを注ぎ、ルウにはホットミルクが注がれた。ロボは油を関節部に垂らしている。三人の会話だけが店の中で聞こえてくる。

「んで結果は?」

「駄目だった。芽も出てこなかった。すぐに枯れちまった。でもそれがなんでか凄く悔しかったんだよね。くっそーって思って店そっちのけで勉強を始めたんだよ。どうにかして実らせてみたかったんだ。気づけば畑まで作って没入してた。女の子らしい仕事がしたかったのに結局畑仕事で土まみれになってたんだ。結婚も逃したし、笑えるだろ?」

 ロベルタは自嘲気味に微笑んだが、ルウはそれに笑い返すことはできなかった。ロベルタの腰に当てられた手はルウの手と比べると大きさも皮膚の厚さも違い、日焼けして女性とは思えないほど骨ばって傷だらけだ。その手から考えられないほどの苦労をして来たのだろうと想像できた。

「私には無理な人生ね。努力って言葉がまず嫌いなんだもの」

「努力っていうより私の場合負けず嫌いなだけだったのかもね。闇市でひたすら植物の種を漁っては埋めて栽培を続けた。どうしても芽を出したかった。土を変え水を変え強く照り付ける日照りをどう遮るかを考え、畑弄りをつづけた。そしたら芽を出すまでまず五年掛かった、そこから10年掛けてようやく実が成ったんだ。この時の嬉しさと達成感……生まれてきた意味が分かったような、それ位だった」

「栽培に成功させたの!? たった一人で!?」

「スゴイ……」

 ルウとロボは驚きでカウンターから身を乗り出している。ロボに至っては驚きからアイランプを点滅させている。

「何か一つを成し遂げ達成した時の嬉しさ、こんな簡単なことに気づくのに30年以上掛かってしまった。若かった身体ももうとっくにばあさんになっちまったんだよ……。それでも今は楽しい人生だと思ってる。ムサシの爺さん達に畑の野菜たち、それに新しい友達も出来たことだしね」

 ロベルタはルウとロボの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。ロボは変わりないがルウの固い髪が掻き乱される。ルウはうっとおしそうに押し退けるがロベルタはまた笑ってかえす。今度は自嘲ではなく心からの笑いだろう。

「これであたしの話は終わり! さ、ガキはさっさと風呂入って便所行って寝な」

 ロベルタはコーヒーを飲んで話を切り上げた。店の奥にあった浴室にルウを案内すると、すでに準備してあったのか浴槽には湯が張ってあり脱衣所のカゴにはルウには少し大きめのパジャマが置いてあった。

「あたしのガキの頃もんだけどあんたには少し大きいかもね。ツナギと下着は洗濯して乾かしておくから同じカゴに入れときな。熱かったら水ぶちこみな」

「……あんがと」

 ルウは作業着と下着を脱いで浴室に入る。浴室と浴槽は狭く一人で入るのが精一杯だった。ロボは脱衣所で正座しており、脱ぎ散らかされた作業着と下着を畳んでいる。

「んー久しぶりのお風呂ね。スラムだと雨降らなきゃ髪も身体も洗えないものね。気持ちいいー」

「ルウは普通の女性と違って裸を見られても気にしないのですね」

「見られて恥ずかしいものなんで持ってないし、ロボットに見られたって何にも思わないわよ」

 浴槽の端に足を伸ばし乗せてくつろぐルウ。水気のなかったルウの髪と素肌に潤いが戻っていく。シャンプーを髪に垂らし洗っていく。一度目は油と汚れの所為で中々泡立たず、二度目でようやく泡立ち髪と頭皮の汚れが落ちていく感覚がする。

「あぁー身体の汚れと臭いが取れていくわ」

「ルウは出会った時から臭かったからですからね」

 ロボに石鹸が投げつけられ「臭くないわ!」とルウが叫んだ。

 ルウの頭と身体が爽やかな匂いに包まれたら再び浴槽でくつろぎ始めた。

「ねぇロボ……なんで私がここまで仕事したくないか聞きたい?」

「ええぜひ聞きたいですとも」

「全然聞きたそうじゃないじゃない……」

 ロボは正座してルウの姿を見ながらアイランプを光らせる。その後ろにロベルタが静かに佇んでいることにルウは気づいていない。

「あたしの両親さあたしが八才の頃に死んじゃったんだよね。原因は過労死、情けない話だよね」

「……」

 ロボは返事をしない。だがルウそれでも話し続ける。浴室には蛇口から零れる雫が水面に落ちる音が波紋の様に浴室に響き渡る。

「うち貧乏だったからさ、お父さんもお母さんも私を育てるために必死で働いてくれた。けど毎日の様に働いて家にも帰ってくることだって少なくて、たまに帰ってきても寝てばっかでさ、遊んでくれたことなんて殆どなかった。そしたら最初はお父さんが、次にお母さんが続く様に倒れちゃって、入院費も払う金だってないし結局そのままぽっくりね。あたしが言うのもなんだけどさー、本当に情けない話だよね。仕事できなくなったら社会に排除されるっていうのにさ。本当に……情けない」

「……それでシャカイに反抗するように?」

「そんなわけないじゃない。私は情けない両親みたいになりたくないだけ……あと単純に働きたくないだけ」

 ルウはそういうと湯の中に顔を沈めてしまった。ロベルタはそれを見て腕を組みため息をついた。

「ルウ……泣いているのですが?」

「……」

 それっきりルウは風呂上がってから寝るまで一言も会話をすることなく、寝についてしまった。ベットに潜ったルウの頬に一筋の涙が伝ったのが見えたが、ロボはそれについて問うことはなく、その姿を見ながらロボはずっと隣に居続けた。




 翌朝の朝早くにルウとロボはロベルタに連れられて畑に向かっていた。昨日の砂嵐が嘘の様に砂漠は穏やかになっていた。助手席に座るルウは昨日の夜から口数が少なく、今朝の食事中も無言で頬張っていた。

「着いたよ、ここがあたしの畑だ」

 トラックが停まった先は砂漠のオアシスの隣に一棟の家屋があった。屋根は半透明のガラス張りになっていて、防砂加工された窓がある。ロベルタに連れられてルウとロボは共に入っていく。

「……スゴイ!」

「これが……本物の野菜?」

「そう、これがキャベツ。向こうが芋、こっちの赤いのがトマトってやつさ」

 家屋の中は土が耕されておりしっかりとした畑が形成されていた。ルウやロボは本物の野菜を見るのは初めてで、栽培されているキャベツやトマトをまじまじと見つめている。室内も空調設備が効いているのだろうか、中は外の砂漠とは違い比較的涼しかった。

「すごい、本当に栽培できてるのね……。学校の教科書で見たのとまったく同じ……」

「ワタシも見るのは初めてです……。これほど瑞々しいものとはオモイませんでした」

「たべてみるかい?」

 そういってロベルタは一玉のトマトをルウに手渡した。トマトはルウの両手ほど大きく、赤い表面が陽の光に反射して輝いて見える。ルウはトマトを食べたことがないので恐る恐る一口噛みついてみた。

「……おいしい! ちょっと酸っぱいけど」

「それがトマトの味だよ。美味いだろ? ここまでたどり着くのに何十年も掛かった。けど良かったよそう言ってくれてこんなおばさんになってまで続けていたかいがあるってもんだよ」

 ロベルタは壁に掛かってきたホースを使って水を撒き始めた。シャワー状になって撒かれた水は葉や花に弾かれ陽の光に照らされ小さな虹ができる。

「あたしはあんたがなんで働かないか知らないけどさ。人生一度しかないんだ好きな事をやりゃあいいって思うよ。それでちゃんと生きて人様に迷惑かけなきゃ別に仕事をしなくたっていいさ。あんたが思うあんたが好きな様に生きな。あたしはあんたを応援はしないけど、疲れたり腹でも減った時はいつでもうちの店に来な、飯でもおごってやるよ」

「ロベルタ……」

 ロベルタは笑いながらそう話す。ルウはもう一本のホースを見つけると手にしてまだ水を撒いていない場所へ掛けてみる。乾いた土が水に濡れ黒く湿る。それを確認してまた別の所へ水を撒く。単純なことだがルウにはどこか楽しく思えた。

 ロボはロベルタに教わりながら成った果実を収穫している。赤く実ったトマトを背中の台に載せた籠にひとつづつ置いていく。力の調整が難しいのだろうか潰してしまわないように慎重に掴んでいる。

 そして水撒きと収穫を終えた時、ルウは生まれて初めて達成感というものを感じることができた。

「ありがとうよ二人とも。何時もより早く終わらせることができたよ。これ少ないけど給料ね」

 そういってロベルタはポケットから銅銀貨をルウに手渡した。手渡されたルウは驚き戸惑い、ロベルタに返そうとする。

「い、いらないわよ。私何もしてないもの」

「だから店を手伝ってくれたし今日もこうやって畑を手伝ってくれただろう? まぁ仕事嫌いなルウは働くっていう感じはしなかったのだろうが、これも立派な労働のうちなんだよ。いいから貰いな、これからの旅ににも必要になるだろ?」

「あ、ありがとう……ございます」

「いいってことよ」

 そういって笑いながらルウの肩を叩く。ルウは貰ったお金を大事にポケットにしまった。

「ロボあんたはルウから給料貰いな。それと、ルウを頼んだよ」

「リョウカイしました」

 ルウとロボは畑から去ると旅立つ準備をした。ロベルタから貰った水筒と弁当をロボの腹部に収めてロベルタに握手と最後のあいさつをする。

「いろいろと世話になったわ。ありがとう」

「なに、あたし達はもう友達だろ? いつだって頼りな」

「ええ、また……店に寄らせてもらうわ」

「ツギ来たときはもっといい油をオネガイシマス」

「あっはは! ちゃんと用意しておくよ」

「それじゃあ」

「ああ、気を付けて」

 ルウはロボの背中に載ってロベルタに手を振って背を向けた。ロボは走り出して再びトボロの町に向かう。ロベルタは走り出した二人が地平線の先に消えるその時まで手を振り続けた。

「ねぇロボ。わたしトボロの町がちょっと楽しみになってきたわ」

「そうですか、それはヨカッタ」

 トボロの町まであと少しの距離だ。

 ルウとロボは目の前に見えてきた町の輪郭に少しの期待感を抱きながらトボロの町に思いを馳せた。

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ポンコツロボットとニート少女 まつやに。 @Matsuyani4423

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