女の文学論(七)

 それを聞いた曹節は青ざめて、

「それ以上言うのは止めなさい」

 しかし、清河長公主はなおも訊ねた。

「どこがどう大人扱いしていないと言うのですか。言いなさい」

「陛下はまだ私たちの寝室を訪れていないんですよ」

「晴玉っ!」

 叱ったが、もう遅かった。

 事態は動き始めたのである。

「それはどういうことでございますか……?」

 訊ねたのは王異だった。

 恐る恐るだが、訊ねずにはいられなかった。

「そのう、公主さまは、そのう……」

「面倒だから晴玉でいいわよ。この部屋は公主だらけだし」

 曹節と清河長公主は苦笑した。

「それではお訊ねします。晴玉さまはまだ陛下に抱かれていないのですか?」

「王さん!!」

 あけすけな内容の質問に、さすがの辛憲英も王異を咎めた。

 だが、曹華から返ってきた答えは二人の想像を超えていた。

「私だけではないわ。上の二人のお姉さまも。陛下は私たちに指一本触れていないの」

 劉協は愕然とした。

(嘘をつけ! 現にこうして手を握っているではないか……)

 だが、曹華の言っていることの内容は間違っていない。

「晴玉。あなたって人は……。人前でそんな話をするものではないわ」

 曹節が強い口調で言った。

「え? そうかしら」

 曹華は悪戯な猫のように澄ました顔をしていた。

「そういう男女のことは人前で口にすることではないのよ」

 しかし、王異は引き下がらなかった。

「嫁いでからもうじき一ヶ月になるのですよね? それなのにまだ誰とも床に入っていないと言うのですか……?」

「ええ」

「王さん、その話はもうお止しになった方が……」

「いいえ。これは聞かずにはいられないわ。それは間違いないのですか? 単なる噂話に過ぎないのではないですか……?」

「証拠を出せ、と言われても困るわ。私は四六時中陛下を監視しているわけではないのだから。で

も、そこにご本人がいらっしゃるのだから聞いてみたら?」

「え?」

 曹節は驚いた顔をした。

「どうなのですか? 仰ってくださいませ」

 王異は身を乗り出して訊ねた。

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