第52話 土産物屋?
翌朝、といっても昼近く、しっかり朝ごはんも頂いて、お弁当を持って、食糧もろもろを積み込んで、やっと出ていく気になった御一行。
「ジャポンのプリンは美味しいわね~プリンス」
「まったく…この種類の多さもビックリでさぁ~」
「よく寝たー」
エドモンドが大あくびして伸びをしている。
「緊張とかはないんですね…彼らには」
「そんな可愛げな連中じゃないから、ここにいるのよ」
「話さなくていいんですか?」
「なにを?」
「ジャポンへ来た目的です」
「おいおい知るわよ。嫌でもね、観光で来たわけでもないでしょうし…」
「皆、お尋ね者ですしね」
「ハハハそうね…異常にポジティブだしね」
「マスター、カミキリムシ混ざっても元気ですしね」
「ハハハ…それについては申し訳ないと…」
「笑ってないで早く行こうぜ、北に向かうんだろ?」
「そうよ…寒いわよ」
「冬支度のついでに買い物していきましょうよ」
プリンセス天功がB・Bの手を引く。
(本当に…ありがとう)
そう思ったかどうかは定かではない。
UFOレプリカは、静御前に預けた。
道路交通法違反車両らしい。
本国と比べ、規制が厳しい社会のようだ。
その代わりに、ジャポンの電気自動車を用意してもらった、ついでにクレジットカードしかもブラックだ、使用限度なし、オヤジが歓喜していた。
至れり尽くせり…なぜ静御前は、俺達に便宜を図るのか?
B・Bは何も言わない。
ただ逃げてきたわけじゃない。
少なくともB・Bだけは違う。
今は聞くべきときではないのだろう…今は…。
「エドモンド、名物は一通り買っておくのよ、解った?」
お買い物は多忙を極めた。
服…お土産…屋台…お土産…。
「思うのだが…みんなお土産を買っているが、誰に渡すんだ?」
自らも、三角のタペストリーを抱えていたエドモンドが立ち止まって首を傾げた。
「…………さぁ?」
「心配いりやせんぜダンナ、アッシが適当に売りさばけば問題ありやせん、ほら例えば、ダンナが持ってる三角の旗、伝説のスモウレスラーが使ったふんどしだとか言えば大丈夫でさぁ」
「ふんどし?とはなんだ?HAL」
「昔の男性用下着です」
「下着…派手すぎないか?」
「オヤジさんが言いたいのは、おそらく、まわしです」
「まわし?スモウレスラーのコスチュームですぜ」
「はい、まわしです」
「じゃあそれで」
「いいかげんだな…相変わらず…」
土産物漁りにも飽きてきた正午過ぎ、観光地を後にして国道を走る御一行。
「思うのだが…鎖国同然なのに、なぜ観光地があるのだろうか?」
エドモンドが首を傾げる。
「バカね~、そこで買い物してきた私たちが言えること?」
B・Bが呆れたように言い放つ。
「あれじゃねぇですか、なんとなくってやつ、家業を受け継いだとか…なんか、そういうノリで」
「そういうノリで生きてるのかしら…あそこの界隈全部が、それにしても食べにくいのはフォルムだけじゃないわねコレ、水分必須よ」
プリンセス天功は、名物ひよこをモゴモゴ食べている。
「バナナが有名なのだろうか?絵が描いてあるが」
エドモンドはプリンセス天功と土産物を繁々と眺める。
「木は無かったわよね」
答えは知っているが、特に答える必要は無いと判断しているHALは、黙って運転している。
(オール電化はコントロールしやすい)
そんなことを考えていた。
「お腹が空いたわ」
B・Bがふいに口を開いた。
「弁当ならあるが」
「バカね…旅といったらドライブインよ」
ビシッと指さす先に『コインパークTOP』の赴きある看板。
「コインパークってなんだ?」
「行くのよ、行けばわかるわ」
雑草が程よく生い茂る駐車場に車を停めて、店内へ入る。
自動販売機が並ぶ無人の店内。
「なるほど」
B・Bは即座に理解した。
そして迷うことなく、蕎麦・うどんの前へ進みカチャンと小銭を入れる。
ウィーンとなんかギクシャクした音がして、ゴトンとプラスチックの容器に適温の天ぷら蕎麦が出来上がっている。
「おぉー」
一同感動である。
ズルッとすすると、絶妙に美味い。
「なかなかよ」
毒味役が大丈夫だと言うのだから問題ないと、割と何を食べても大丈夫な面々が思い思いに自動販売機のボタンを押し結果、傾いたテーブルの上は、さながらインスタント食品バイキングのようになった。
なぜだろう…そこそこ美味く感じるのは…不思議な感覚だ。
5感のほかに触覚による感覚を得たエドモンドにも理解できない感覚。
「これが郷愁というものなのか…」
「残念ながら字が違う…強襲だ!!」
店内に入ってきた聞き覚えのある声と見慣れ姿。
「
パサパサのハンバーガーを咥えたままのエドモンドのマヌケな声が店内に響いた。
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