第42話 生ものには気を付けないと

 歓迎の宴を終えた翌朝、酋長っぽい男は御一行を島の洞窟へと案内すると言い出した。

 南国のメイドさんらしき娘が、運んできたもの…。

NEROネロ PUNITIVE FORCE討伐部隊』の特攻服と特攻旗が用意されたいた。

 酋長っぽい人曰く、なんでもジャポンの正装だということだ。

「フォーマルウェアということか?」

「ダンナ違いますぜ、どっちかというと、命を掛けた戦いに挑むときの正装でさぁ」

「死装束ね」

 プリンセス天功がサラッと嫌なことを言う。

「手際の良さが気になるわね~」

 B・Bが特攻服に袖を通しながら疑い深い視線を酋長っぽい人に投げている。

「ハメられたんじゃないでしょうかね」

 冷静に言うHALであるが、特攻旗を括り付けられているのである。


「はぁ~」×4

 HALの確信を突いた一言に、ため息を零す4人であった。

 いかにも、な洞窟を進む4人と1機。

「薄々、感づいてはいたのよ」

 最後尾でB・Bがボヤく。

「まぁ…準備万端って感じでしたからなー」

 その前でオヤジが、首を横に振る。

「飲み食いしちゃったしね~断り難いよね~」

 プリンセスが後ろのオヤジをジロッと睨む。

NEROネロってなんだ?HAL」

 先頭で松明替わりにライトを照らして進むHALにエドモンドが聞く。

『NERO…Nightmare悪夢のようなEnigmaticRobotech機械化技術のorigin起源

「なんだソレ?」

 エドモンドが聞き返す。

 この時点で2名脱落…オヤジとプリンセスだ、緑に光るコケに夢中である。

「オーバーテクノロジーを搭載した最初のナニカってことよ」

 B・Bが簡単に訳す。

「オーバーテクノロジー…そんなものが存在するのか?」

 エドモンドが真顔でB・Bで聞き返す。

 どうやら、オーバーテクノロジーに囲まれて生活していることにまったく気づいてないようだ。

「アンタねぇー」

 呆れるB・B。

「ねぇねぇ、コレなんだと思う?」

 プリンセスがHALの目の前に、差し出したもの…ゴテゴテした金属製のベルト。

「どこにあったんですか?」

「ん?あの箱の中に入ってた~」

「ダンナ、コレ、コレでさぁ」

「……THE宝箱ね……」

 B・Bがボソリと呟く。

「怪しくないか?あからさまに…新しいぞ箱…」

「うん…罠ね…開けちゃったけど…」

「大丈夫…みたいよ~、なんともないけど」

「アッシも…特に…」

「じゃあ…何かあるのは中身の方よね…アッ!!」

「えっ!?」

 B・Bとエドモンドが言葉を失った。

 ゴテッとしたベルトは、エドモンドの腰に巻かれていたのだ。

「いつの間に…」

「いや~、なんとなく私じゃ大きすぎるし~、オヤジじゃなんか…それで、つい」

 シュッと音がして、ベルトがエドモンドの腰にフィットする。

「オートですね」

 HALだけは冷静だ。

「取れないぞ!!」

 エドモンドがガシャガシャと外そうとしても、ベルトは取れそうになかった。

「まぁ…お約束よね…」

「呪いのベルトですからね、教会でお祈りしてもらわないといかんですぜ」

「なぜ…呪いだと断言できるんだ」

「そりゃダンナ、こんなダンジョンに、隠されてるんですぜ、伝説か、呪いかの2択でさぁ」

「そうよね~、アハハハハハ」

「着けた本人が笑ってんじゃねぇ!!」


「あれがNEROネロかい?」

「そうじゃ…後を付けて良かったじゃろ」

「あぁ…これ以上、呪われたくねぇしな」


 影から姿を現す、リッパ―とアナハイム、そしてお連れの方々。

「HAL!!」

 B・BがジロッとHALを睨む。

「アドレナリンの分泌量が危険値に達してなかったので攻撃の意思はないと無視しておきましたが…問題でも?」

「問題しかないわよ…今さらだけど」


「オマエ…あの時の?」

 エドモンドが首を傾げるのは無理もない。

 リッパ―の身体の1/3はカニのような装甲で覆われ、露出した肌には、ウロコが生えている。

「食あたりしたみたいでね…」

 と不敵に笑うリッパ―(改)。

「ホホホ…人魚の肉が身体に馴染まんかったようだ」

 アナハイムが他人事のように笑うダンジョン最深部であった。

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