0-1黒猫屋へようこそ(2)
黒猫屋は雑貨屋ではあるが、昔っから商売っ気がない。
祖母は近所の住む友達を店に呼んでお茶をしたり、他愛もない話をしていた。
店に並ぶ商品は、黒猫をモチーフにしたネックレスや指輪などありふれたものばかりだ。
店内は黒猫のグッズばかり。
照明も明るく店内は綺麗で外見だってオシャレだ。
なのに普通の客があまり来ない。
理由は簡単だ。
黒猫屋は普通の人には見えない。
祖母が招き入れた人だけが黒猫屋に入ることが出来る。
その能力は孫の彼女にも受け継がれていた。
黒猫さんがこの店に居る限り、普通の客など来るわけがない。
黒猫屋に来る客と言えば、憎悪に魂を穢された人間しかいない。
それは黒猫さんがそういう人間を呼び寄せているからだ。
あいつが憎い
あいつに消えて欲しい
あいつに死んで欲しい
あいつを呪い殺したい
数え切れないほどの欲望を黒猫さんは好む。
店に並ぶ彼女が魂を込めてハンドメイドした黒猫をモチーフにしたアクセサリーや小物は、黒猫さんのせいで埃を被ったオブジェと化している。
契約ついでに強引に売りつけるという荒技を彼女はしている。
リピーターにはならないが、それでも構わない。
売れ残りの商品はネット販売でそこそこ稼いでいるので、食うには困らないし、黒猫さんが居る限り彼女の生活は変わることはない。
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