銃弾の音がした

@bignight

第1話

銃弾の音がした まずホテルの従業員がやってきてホテルの扉を蹴り開けた 続いてギャラリーがどっと押し寄せた 皆さん落ち着いてくださいと従業員の声 警察だ 警察を呼べ 救急車だ なんだ何があったんだ 落ち着いてください 様々な声が飛び交い辺りは喧騒に包まれる 救急車のサイレンの音がして救急救命士がタンカを担いで中に入ってきた こりゃ助からんかもしれんなとは救命士の声 まぁやるだけやってみますわ ギャラリーが

タンカが急病人を運んでいった ギャラリーはしばらくそこに留まっていたが一人また一人と居なくなった 警察の車がホテルの前に止まった 警察は借主の居なくなったホテルの部屋に入るとまず立ち入り禁止のテープを貼り、現場検証を始めた あたりには頭蓋骨の破片と血と脳みその塊とそこに入っていた荷物が闇鍋のようにごった返している そして拳銃の玉が壁に食い込んでいる

続いて警察は聞き取り調査をした

急に銃弾の音のような爆発音がしたんです とは隣の部屋の人の証言だ 何か揉めたりとかそういうのはなかったですね

ええ、ちゃんと鍵は掛かってました 最初はノックしたんですがね、中からは何の反応もなかった だからこうして蹴り開けるしかなかったんですよ マスターキーも試してみましたが中からはチェーンが掛けられる そしたら蹴り開ける以外にどうしようもないじゃないですか

自殺だった 遺書はない ただ部屋には彼が死ぬ直前まで使っていたであろうマックブックとevernoteがあった evernoteには実に色々な言葉が書き散らされていたがここにそれを書く余裕はない

彼が死んだ理由はだから誰にもわからない 分かりようがない 誰も関心を持たないものだから

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