第4話 So Long ! さようなら ! -2020.04.01-cor,

4.


=== 間宮修造 ===


 

妻に里子との不倫がバレてしまった。気をつけていたのに

どうしてバレてしまったのだろう。どうして知ったかは妻から

聞いていない。聞いてみればよかったのだが、いろいろと

藪蛇になりそうで聞くに聞けなかった。




しかし妻の遥は冷静だった。泣きもしなければ怒りもしな

い。淡々と僕に、この先どうしたいのかと、問いかけた

のみ。





僕の妻は特別美人というのではないが、容姿と性格がそれは

それは素晴らしくマッチングしていて、側にいるだけで

その場にいる者が関心を持たずにはいられない特別な何かを

備えている女性なのだ。








友人、同僚、知人達に紹介すると、必ずと云っていい程

皆から羨ましがられたものだ。



 そのような魅力を持ちながら、尚且つ共働きも厭わず家事全般こなし

てくれる勤勉さも持ち合わせていて、性格も素晴らしい。

僕のシングルマザーの姉に僅かではあるが支援もして

くれている。




こんな良い妻に対して不倫などした僕は屑と云われても

しようがない。妻にはなんの不満もなく、浮気など考えた

事もなかったが部下の里子から旦那のことでの悩みに関する

相談事があり、いろいろと相談に乗っているうち、

誘われる形で深みに嵌っていったのだ。






妻とは僕からの熱烈アプローチで結婚した。これまで妻から

おおっぴらに好きだとか、愛してるとか云われた事がなかっ

た。そのせいかこの次こそは断らなければと思うのに里子か

ら好きだと云われる度、熱い忘れていた熱情が呼び起こされ

誘われると断れなかった。




そんな弱い自分のせいで、とうとう見つかってしまった。

こんな事を続けていれば、いつかはと判っていたことなのに。



里子の旦那にだっていつバレるか。妻の本心がどこに

あるのかは判らないが、里子にも里子の旦那にも何か連絡

をするようなことは今のところなさそうだ。




夫婦生活は流石に断られたが、昨日の今じゃ仕方のないこと。

騒ぎ立てずいつもと同じように生活してくれているのだから

良しとしなければいけない。





自分がこの先、余所見せず良き夫良き父親でいれば平穏で

いられるのだ。里子にも妻にバレたから、もう関係はおし

まいにしようと云うつもりだ。










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