第4話 ◇不倫がバレる
4.
妻に里子との不倫がバレてしまった。
気をつけていたのにどうしてバレてしまったのだろう。
どうして知ったかは妻から聞いていない。
聞いてみればよかったのだが、いろいろと藪蛇になりそうで
聞くに聞けなかった。
しかし妻の遥は冷静だった。
泣きもしなければ怒りもしない。
淡々と僕に、この先どうしたいのかと、問いかけたのみ。
僕の妻は特別美人というのではないが、容姿と性格がそれはそれは
素晴らしくマッチングしていて、側にいるだけでその場にいる者が
関心を持たずにはいられない特別な何かを備えている女性なのだ。
友人、同僚、知人たちに紹介すると、必ずと言っていいほど
皆から羨ましがられたものだ。
そのような魅力を持ちながら、尚且つ共働きも厭わず家事全般こなして
くれる勤勉さも持ち合わせていて、性格も素晴らしい。
僕のシングルマザーの姉に僅かではあるが支援もしてくれている。
こんな良い妻に対して不倫などした僕は屑と言われてもしようがない。
妻にはなんの不満もなく、浮気など考えたこともなかったが、職場の部下
ある山田里子から旦那の悩みに関する相談に乗っているうち、誘われる形で
深みに嵌っていったのだった。
-
妻とは僕からの熱烈アプローチで結婚した。
これまで妻からおおっぴらに好きだとか、愛してるとか
言われたことはない。
そのせいか、この次こそは断らなければと思うのに里子から
好きだと言われる度、熱い忘れていた熱情が呼び起こされ
誘われると断りきれなかった。
そんな弱い自分のせいで、とうとう見つかってしまった。
こんな事を続けていれば、いつかはと分かっていたことなのに。
里子の旦那にだっていつバレるか。
妻の本心がどこにあるのかは分からないが、里子にも里子の旦那にも
何か連絡をするようなことは今のところなさそうだ。
夫婦生活は流石に断られたが、昨日の今じゃ仕方のないこと。
騒ぎ立てずいつもと同じように生活してくれているのだから
良しとしなければいけない。
自分がこの先、余所見せず良き夫良き父親でいれば平穏でいられるのだ。
里子にも妻にバレたから、もう関係はおしまいにしようと言うつもりだ。
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