光なき今日を生きる

 僕は自分自身の人生に絶望している。毎日布団に潜り込んでインターネットばかり見ている。それだけが外の世界と自分をつなぐツールだ。外出は怖くて、元妻と一緒の時しかできない。だから部屋に閉じこもりっぱなしだ。髭も剃らず、髪も散髪に行けないからボサボサで、ホームレスの方がまだ、こざっぱりしているだろう。こんなことではいけないと思うが、動けない。これは鬱状態だからなんだろうか、それともずぼらな性格なんだろうか。どっちでもいい、とにかく動くことができない。


 だから、僕は現実逃避している。面白くもない小説を書き散らかして、新人賞に応募したり、totoをインターネットでを買って、大金が当たることを祈ったりしている。

 はたから見れば愚かな行為だ。新人賞を取れるはずもなく、ましてやtotoに当選するなんて夢のまた夢だ。

 そう、夢。寝てばかりいるから夢をよく見る。夢の中の僕は活発で人生を楽しんでいる。嫌なことが起きそうな時は目覚めてしまえばいい。

 人生を楽しむ。そんな感情、今の僕にはとても持てない。人生は苦しい。早く死んでしまいたい。そんな想いしかない。


 なんでこんなことになってしまったのだろう。何がいけなかったのだろう。よく考える。要因はいくらでも考えられる。生まれつき持ってしまった素因。育てられ方。そして、自分自身のこれまでの行き方。全て褒められたものじゃない。僕は自分の心が弱いって自覚していた。でもそれを克服しようとする努力を怠っていた。いつも逃げていた。困難に直面すると、人に頼っていた。他人依存症だ。だから心が弱いまま成長し、年を取ってしまった。だからパニック障害になり、社会不安症になり、最終的には躁鬱病になってしまったのだ。自業自得ということだろう。


 それでも、自殺しない限りは生きていかなければならない。一体どうやって生きれば光が見えるんだろうか。

「積極的に外に出ればいい」

 と他人は思うだろう。簡単に言ってくれるな。それができなくて困っているんだ。ましてや他人との交流なんてとてもできない。手が震え、全身汗びっしょりになってしまう。でもそれらを克服しなければ、外に出て働けない。働けなければ、死ぬしかない。ノリトレンのストックはまだある。また服薬自殺をしなければならない。

 どんどん話がダークな方向に行ってしまった。

 とにかく、どこかで踏ん切りをつけなくてはならない。しかし、緊張で手が震えて履歴書もかけない男を誰が雇ってくれるのだろう。先日、奥歯のブリッジが取れてしまい、やむなく歯医者さんに行ったのだが、問診票を書くのに、手が震えてしまって、名前を書くのが精一杯だった。かなりまずいと思った。人前で字が書けないのだ。薬の副作用だろうか? それとも別の病気? 今度、精神科に行った時に聞いてみよう。


 そんな現状だから、外に働きに行くのも難しい。だから僕は絶望するんだ。一筋の光もないこの世の中で、どうやって生きていけばいいんだ。僕はまた他人に依存する。

「誰か、助けてください」

 しかし、返事はない。絶望の沼に体が引きずり込まれていく。この文章を書いたら、僕は眠る。そして夢を見る。夢の中には希望があるから。現実社会にないものが夢の中にはあるのだ。

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