第12話 まじめに取り組んでます
たまには職員に戸惑う事もあります。
男性職員Fは私と担当フロアが違いますが、ある
一緒の夜勤日にメールが来ました。
Fより
「今日のクリスマス会の仮装なんですけど、
どの位やればいいですかね?」
はい、施設には行事があります。その年のクリスマス会のイベントリーダーになっていた私は職員全員に仮装をする様に申し渡していました。
貧乏くじを引いた夜勤者は明けでイベントに参加する事になります。
私
「なにするの?」
F
「ミニスカナースです。もうピンクのヅラもかいました。」
(女装しろ、とは言ったけどわざわざ買わなくても‥‥)と思いつつも。
私
「メイクする位でいいんじゃない?」
F
「それは大丈夫です。母親から失敬してきました。後でメイクしてもらっていいですか?」
私
「いいよ〜。衣装は大丈夫?」
F
「大丈夫です。妹から失敬してきました。」
私
「妹さんナースだっけ?」
F
「違います。普通の白いミニスカ持ってきました。」
私
「で、ピンクのヅラで、帽子は?」
F
「作りました。それより問題があるんです。それを相談したくて。」
私
「なに?」
F
「他の人には言わないでください」
私
「だから何を?」
F
「すね毛は剃った方がいいですか?」
私
「剃らなくていいんじゃない?」
F
「でも、白いストッキングはいたらトグロ巻くじゃないですか?できればカンペキにしたいんですよ」
私
「じゃあ、剃れば?でもいいの?生えかけはチクチクするよ?後悔しないなら存分にやりなさい!」
私は激励の言葉を送りました。
F
「わかりました。剃ります。良かった、相談して。見苦しいのは良くないですよね!」
私
「見苦しいから楽しいんでしょ?」
F
「いや、俺、脚に自信あるんで大丈夫です。」
Fがクリスマス会の仮装コンテストで入居者様、ご家族様からの盛大な拍手を頂き、優勝者として輝いたのは当然の事でした。
他にも女装をした職員はいましたがみんな仕草も女らしく頑張ったのです。
しかしFはいつも通り無愛想に、ガシガシと歩き、ダランと立って変わらないままでいた事で
すばらしい「キワモノ」ぶりを発揮したのです。
その後もFは女装要員として輝き続けたのでした。
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