第32話 病院編 1

※グロい部分は意図的に話を曲げてわからないようにしております。


 いきなりですが入院してる病棟で隣のベッドにいた爺さんが死にました。

 結構な年だったので死因はわかりません。

 朝方に機械の警報的な大騒ぎがあって連れて行かれてそれでアウトでした。

 人間などそんなもんです。

 結構簡単に死ぬものです。

 なんでしょうね。

 この無駄に多い人生の経験値。

 さてさて、私がいたのは内臓系の重病人がいる病棟です。

 同室には垂直感染(母子感染)のB型肝炎患者、重篤な胃潰瘍、そして死んだ爺さんがいました。

 全員重病人です。

 今朝爺さんが死んだので三人になりました。

 さて私はこんな状態でひたすらゲームをしてました。

 もう寝ないでゲーム三昧です。

 でもゲームってぶっ続けで16時間ほど休みなしにやると死にたくなりますよね?

 なんだか人生から取り残されたみたいな気分になりますよね?

 まあ間違ってませんけど。

 そしたら今度は勉強です。

 勉強も限界が来るまでやります。

 勉強もしすぎると死にたくなりますよね?

 なんか永遠に勉強が続いて一生良いことないまま人生が終わる気がしてきますよね?

 まあ間違ってませんけど。

 あーれれー。不思議ー。

 人間ってどちらに転んでも苦痛でしかないのね。

 そういうわけで、何かをしても何もしなくてもストレス絶賛増産中。



 ひたすらゲームをやり続ける私に同室の老害……じゃなくてオッサンたちは不満を持ってました。

 若者は勉強すべきとか外で遊ぶべきとか思い込んでる連中です。

 知るかボケ!

 わしゃあ外が嫌いなんじゃ!


 ※埼玉県民です。


 みんな不幸なら争いはないんじゃ!

 なまじ希望があるから争いが起きるんじゃボケ!


 ※埼玉県民です。


 こうやってわけのわからない罵倒でお茶を濁す生活です。

 人生ってクソだよね。


 私がいるのは都内某所。

 わりと有名な病院です。

 一階をウロウロしていると有名なお相撲さんに遭遇する病院です。

 そこに入院しました。

 入院期間は病状により変化。

 外出は倒れる可能性があるので禁止。

 学校は完全にお休みです。


 入院は詳しいことはグロいので省略しますが、いろいろと腸の補修をしました。

 腸の穴の補修とかが終わると今度はやることがなくなりました。

 とりあえず毎日薬を飲む生活です。

 あと16時間ゲームして16時間勉強する生活です。

 いつ寝てるの?

 疲れたら寝る。

 体力が回復したらあとは倒れるまで活動する。

 それでいいのです。

 死に向かってるような気がしますが『受験生だから」ですまされます。


 ですがこの生活にオッサンたちがブチ切れたのです。


「いいかげんにしないか!」


 上から目線でキレてます。


「いやぷー」


 私は最高にムカつく態度で反論しました。

 説教はたくさんです。


「いい若い者がそんなんでいいのか!」


 知らんわそんなもん!

 自分でも最早どこに行ってどこに辿り着くかわかりません。

 でもやる気はありません。

 私がなぜここまでやる気がなかったのか?

 それは簡単です。

 まず死ぬ系の病気だったため就職がダメになりました。(細部を端折った説明)

 大学も絶望的です。

 それどころか計算上では卒業も危うい状態に。

 人生オワタ!!!

 底辺高校で留年とか完全にオワタ!!!

 なので完全にやる気を失っていたのです。

 ひゃっほー!!!

 一見するとただの自暴自棄なのですが、あやしいお薬の摂取など本当の自暴自棄を見てきたためゲーム程度ですんでいるのです。

 むしろ理性的な私を褒めろ!

 褒めて褒めて褒めまくれ! ファッカー!!!


「だいたいな。私の若い頃は……」


 この人の若い頃はいじめで火炎放射をするバカどもに周りを囲まれていたのでしょうか?


「だから人生を無駄に」


 人生自体が無駄です。

 もうオワタのです。


「青春を……」


 絶望以外のファクターのない青春ですね。

 よくわかります。

 こうして面倒くさいお説教が続きます。

 だいたい私は外出を許可されてません。

 倒れてしまうからです。

 そのままのたれ死にです。

 運動もまだできないんじゃないかな?

 運動の「う」の字も言われてません。

 本当はゲーム三昧もダメなはずです。


 でもやめない!!!


 ひゃっはー!

 それに私はこのオッサンの本性も知っているのです。


 それは夜のことでした。

 私はゲームに飽きたので勉強してました。

 倒れるまでやる予定です。

 オッサンたちはどこかに出かけてました。

 0時を回った頃でしょうか。

 おっさんたちが帰って来ました。

 赤らめた顔でご機嫌で。

 飲みに行ってたのです。

 B型肝炎と胃潰瘍が。

 アホか!

 お前ら自殺したいのか!

 ハッキリ言って私に偉そうに説教する資格はありません。

 みなさん! これがダメな大人ですよ!


「ういーっす! お土産買ってきたよん!」


 オッサンはそう言って勝手にカーテンを開けました。

 エロ本読んでたらどうすんだよ!

 そんな私にオッサンたちは焼き鳥を渡しました。

 どうやら口止め料です。

 アホかこいつら。

 十二指腸潰瘍で食えるわけねえだろ。

 こちらはがっつり食事制限中ですよ!


「げへへへへ」


 もうダメダメ。

 こんなオッサンに説教されてたかと思うと殴りたくなりますよね。

 でも私の方が精神的に大人です。

 我慢してやります。

 私はブチ切れていながらも笑顔を作りました。

 ファッキン!

 でも不思議なものです。

 多少ムカついていますがオークさんたちに囲まれる生活よりは大分マシです。

 我慢できます。

 私まで暴力的になることはありません。

 ひゃっふー!

 さてこのオッサンどもはまだいいのです。

 多少うざいですが基本は無害です。

 焼き鳥は食べられないので冷蔵庫に入れておいて見舞いに来た人に渡してしまいます。

 ですがこの数日後にとんでもないやつが入院してくるのです……

 それは完全にボケちゃった爺様だったのです。

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