第2話 ボーイ・ミーツ・ガール
部室内は元々の窓の数が少ないせいか、若干薄暗く妙に涼しい。中央に大きなテーブルが備え付けられていて、その周囲には椅子が数脚ほどまばらに置いてある。部屋の隅には、扇風機がカラカラと音を立てて回っていた。
「どうぞ、座って。今お茶出すから少し待ってね」
佳純は新にそう告げると、そのまま部屋の奥へ向かう。新は近くの椅子を引っ張り出して、腰を着けた。
よく周りを見渡すと、目を引くものがいくつかある。机の上には校内を写した大量の写真が散らばっているし、壁には、過去のバックナンバーがいくつかあった。――見出しが「世界パワーストーン大辞典」やら、「神敷基地の秘密」なのはどうかと思ったが。
「やっぱ気になる?」
突然話しかけられて、新は身体をビクッとさせた。その様子を面白いと思ったのか、佳純はクスクスと笑っている。
新は少し眉をひそめて、
「これって……学校に関する記事じゃないですよね?」
「……気づいちゃった?」
佳純は数回瞬きをして、近くの椅子に座り、ふうっと、息を吸う。
「霧峰くん、知ってる? この世には不思議が満ち溢れていることに……」
唐突に佳純は恍惚な顔をにじませる。
「例えば、私たちの身近にも、様々な伝承や都市伝説があるでしょ。例えば……そうね、有名どころで言えば、コックリさんとか、口裂け女とか。あと、私たちの学校にも七不思議とかさ、学校の裏手にある神敷基地の噂とかあるね。で、私はそういうのを研究したくて――この部活にはいったの!」
バンッと佳純は机を叩いた。大きな目がさらに輝きを増していた。
「えーと……つまり、ここは超常現象とか、都市伝説を研究するところ……?」
「うーん……まあ、端的に言えば、そうなるのかな」
「でも、ここ新聞部ですよね」
「まー、いろいろあったけど、実質的に乗っ取ったようなもんだね」
「マジすか……」
新の言葉を聞いて、佳純も若干苦笑した。
そのとき、バタンとドアが開いた。
「すみませーん。あのーちょっと調査依頼をしたくて……」
透き通った声が佳純との会話を遮った。
しかし、不意に後ろから向けられたその声は妙に新の耳になじんでいた。
「玲菜!?」
「新!?」
二人の声がこだまする。
新の目線の先には、長年の幼馴染である音無玲菜がいた。
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