30話

電車に揺られてるとふと思った


「悠人くんさ、なんでお兄ちゃんと住んでるの?」


ずっと聞きたかった

けどなんか聞いちゃいけない気がして聞けないままで


でも一応付き合ってるんだよね?

彼女だし、いいよね?


これで付き合ってなかったら恥ずかしいけど…


「あー言ってなかったっけ?」


悠人くんが私の方を見る


「う、うん」


急にこっち向くから顔が近くなってビックリした


「てか、くんいらねーし」


「へ?」


「悠人くんじゃなくて、悠人でいい」


あ、そーゆー事ね


「ゆ、ゆうと」


はずっ

今絶対顔赤いよ


「俺ん家さー一回離婚してんの、で親父が再婚して新しい女と3人で暮らしてんだけど、なんかその女がムカつくんだよ。だから家出して陸と住んでんの」


いや、私が頑張って名前呼んだのにスルーですか!?


てかなんか重っ


「そーなんだ…大変だね」


「別に。高校卒業したらどうせ一人暮らしするし」


なんとなーく話を変えようと「高校卒業したら大学行くの?」と聞いてみる


悠人は少し考えて


「まー今んところ考えてんのは慶應かなー」


「ふーん…え!?慶應!?」


「うん」


驚きすぎて顎外れそう


「そんなに頭良かったんだね」


私がそう言うと

「そーでもないよ」

と普通に返された


いやー私には無理だわ


「なんか私、悠人の事全然知らないね」


ふと思った事が口から出てしまった


「何?知りたいの?」

ちょっと意地悪そうな顔で笑う


「いや、そーゆー訳では…」


「聞けば答えるよ。だいたい」


なら聞いちゃおっかなー

せっかくだし


「校則大丈夫なの?茶髪とピアス」

と聞くと

「いいんじゃね?」

と普通に返ってきた



「怒られないの?」

「なんも」


すごい


北高すごい!

南高なんて髪巻くだけでも言われるのに…


「じゃあじゃあ…」


それからいっぱい質問した

時折見せる笑顔がかっこよくて

胸が締め付けられる


これが恋なのかな?って思った

恋なんてしたこと無いから分かんないけど

多分そうなのかな


恋したら教えてくれるセンサーがあればいいのに…なんて思った


結局質問に疲れて途中で寝てしまった


降りる駅についても降りない私を

悠人が家までおぶってくれた


自分のベッドで目が覚めたときは本当に焦った





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