29話
浜辺に着く前に悠人くんの手を無理やり離し
みんなの元に走っていく
麻里や優希にどこ行ってたの?と怪しまれたけどなんとか誤魔化した
残りは線香花火だけになって
みんなで一斉に火をつける
「あれやろ!最後まで残った人が1つなんでもお願い聞いてもらえる!ってやつ」
陽平くんがそう言うと
みんな「いいねー」と陽平くんの提案に乗る
「あっ」
最初に落ちたのはみぃこ
次に快くん、麻里、私も落ちる
残るは優希と悠人くんと陽平くん
「あー!」
優希のも落ちる
「ん?え!?見てみて!」
陽平くんのは落ちずに黒く固まった
「これ勝ちじゃん!落ちないもん!」
と1人ではしゃぐ
「なわけないでしょー!失格だわ!」
と麻里がそう言うと
「えー!落ちないから勝ちでしょー!」
と騒ぐ陽平くんをみんなで無視して
一番最後だった悠人くんに「お願いは?」
とみんなで聞く
「じゃあさ、こいつ頂戴」
といって左隣に居た私の首に腕を回し自分の方に寄せる
「わっ!」
当然しゃがんでいた私はバランスを崩し
悠人くんに体重をかける形になった
みんながポカーンとする中
快くんだけがクスクス笑ってた
「やっぱ悠人はりかちゃんが好きだったかー」
「え!?」
快くんにどういうこと!?と聞くと
「最初会った時から悠人が好きそうな子だなーっておもってたから」
「俺も!俺も!」
と陽平くんも入ってくる
「悠人分かりやすいし」
って快くんは言うけど
どこがだよ!
なに
これって悠人くんが私のこと好きって事!?
嬉しいけど分かりにく過ぎでしょ!
「おめでとー」とみぃこも優希も拍手してくれる
恐る恐る麻里を見ると
笑顔で「おめでと!」と言って抱きついてきた
今度こそ砂浜に倒れる
麻里も一緒に倒れてわたしが下敷きになる
「え、麻里、いいの?」
心配そうに麻里に聞くと
「まぁね!だって会話続かないし、それに!ジュース買ってくれなかったし!あの辺から冷めてたかな?」なんて笑いながら答える
「だから、りか頑張ってよ!」
と言って起き上がり私に手を差し出す
麻里の手を掴んで私も起き上がる
「てことで先帰るわ」
悠人くんが私の荷物を持って歩き出す
え?
って顔してると「早く行きなよっ!」
と麻里に背中を押される
とりあえず走って悠人くんの側まで行き着いて行く
振り返るとみんなが笑顔で手を振ってたから
一応振り返したけど
え
なにこれ
2人で先に帰るってこと??
なんで!?
流れに流されるまま駅に着いた
ホームで電車を待ってると
いきなり悠人くんのスマホを渡される
「ん?」
画面を見ると通知がいっぱい
全部お兄ちゃんだった
「さっきからうるせーんだよ」
お兄ちゃんからの通知が止まらない
確かにこれはうざい
悠人くんのスマホで勝手にお兄ちゃんに電話をかけてみる
「もしもし!?まだ帰ってこねーの?」
お兄ちゃんはすぐに出た
私が黙ってると
「おい悠人聞いてんの?おーい」
うるさいから返事をしてあげる
「悠人くんじゃありませんけど。」
「へ?」
突然まぬけな声になった
「あ!りか?え、なんで?だって悠人の…」
返事するのもめんどかったし
通話中のまま悠人くんに渡す
「は?」って顔しながらも受け取って
「もしもし」と言う
「うん。あー。は?嘘だろ?てか今駅だし。あと?あと20分くらい。じゃね」
電話を切って「泥棒入ったらしーよ?本当か知らねーけど」
悠人くんが私にそう言う
「あ、」
そーいえばお兄ちゃん言ってたな
すっかり忘れてたわ
電車がやっと来て
ようやく座れる
一日中立ちっぱなしで足はもう限界
2人席だとギリ肩が触れる距離
ダメだ。顔上げれない
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