いつまでも手を止めるな! ――「超ズボラ勉強法」の極意・その2の2
「じゃあ、準備もできたことだし始めよっか」
「お、おう」
問題集を見つめながら俺が気合を入れていると、夏子がスマホをピッピといじり始めた。
「お前、何やってんだよ。俺がこれから勉強しようって時に」
「うん、タイマーをセットしてたんだ」
「タイマー?」
「うん」
うなずくと、夏子は右側の問題のページを指さした。
「この問題の時間設定をね。1分でできなかったら時間切れ」
「じ、時間切れ!?」
「うん。ちゃんと時間制限しないとね」
「ま、待ってくれよ!」
俺は慌てて夏子に聞く。もしこのページができてないって判断されたら、俺はさらに前の内容に戻らなきゃいけないんだ。こっちも必死に食い下がる。
「時間制限って、よく考えればできるかもしれないだろ!」
「ううん、この本の計算問題が1分で解けないなら、何分たっても解けないよ。正直、このくらいの問題なら30秒でもいいくらい」
「で、でも、途中で計算間違いしたりしたら時間かかるだろ? そしたら1分で終わらないかも……」
「それは、まず途中で計算を間違う時点でちゃんと身についてない証拠。それが原因で制限時間をオーバーしちゃうなら、そんなのは当然不正解扱いだよ」
「き、厳しい……」
てか、厳しすぎるだろ! 鬼! 悪魔!
夏子は容赦なく告げる。
「今度はさっきみたいにずっと考えこむヒマはないからね。1問1問集中してがんばってね?」
「うっ、うう……」
俺は力なくうなずいた。
今回は1問あたりにかける時間についてお話していきたいと思います。
まず、わからない問題にいたずらに時間を費やすのは厳禁です。以前もお話しましたが、解法がまるでわからない問題と向き合っている時というのは、本人は一生懸命考えているつもりであっても、実際にはさほど頭が働いているわけではありません。これについては問題点3のところで詳しく説明しているので、そちらを参照してください。
これを防ぐために、問題を解く時には1問ごとに制限時間を設けましょう。前回準備するようお願いしたタイマーを使い、時間になったらアラームで時間が切れたことが必ずわかる状態にしておきます。
これによって、1つの問題に無駄な時間を注ぎこむ危険を回避することができます。
設定する時間についてですが、通常の計算問題や一行問題などであれば1分程度でよいでしょう。文章題や証明問題など、ある程度長い問題については2、3分くらいで設定しても構いません。
逆に、社会や理科の一問一答、英単語などは30秒で十分だと思います。自信がある人は10秒くらいに設定してもいいでしょう。
なお、入試問題の数学の大問のような、1問で5分、10分とかかりそうな問題については、あらかじめ解答時間を設定するのではなく、タイマーを30秒に設定して、手が止まった時点でスイッチを押すのがよいでしょう。30秒で続きがわからなければそこで強制終了というわけですね。
また、英語や国語の長文問題などは、文章を読む時間と問題を解く時間を分けて実施しましょう。
英語長文は本のサイズなどにもよるのですが、おおむね2行で30秒を目安に、必要であれば各自調整するといいでしょう。国語であれば1ページにつき2、3分といったところでしょうか。
タイマーをセットしたら問題を解いていくわけですが、具体的な解き方については極意その3に譲ることにします。皆さんはタイマーを活用して、まずは問題の処理時間を意識していきましょう。
心配はいりません、問題を解く前にタイマーをセットするだけの簡単な作業です。
このようにして無駄な時間を省くことによって、皆さんはより多くの問題を解き、演習量を増やすことが可能になります。
勉強というものは、どれだけ時間を費やしたかではなく、どれだけ手を動かしたかで決まるのです。「じっくり考えている」などと称してただ無為な時間を過ごすのではなく、どれだけ多くの問題を解き、どれだけのノートをつぶしたか。たくさん勉強できたか否かは、そこで判断するように心がけてください。
次回から、極意その3「問題の正誤を記録し、最低3回繰り返す」の話に移ります。「超ズボラ勉強法」の核心部分とも言える話です。どうぞお楽しみに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます