第1話 誰が為の創世記 (前)

 かつて旧約聖書は、神の言葉そのものだと考えられていた。現代では、主に紀元前六世紀のバビロン捕囚以降の律法学者の手によって、編集されたと考えられている。異国の地において自分たちのアイデンティティを保つため、それ以前の素朴なヤハウェ信仰から、神との契約である律法を生活の基盤とする思想に発展した。ユダヤ教の誕生である。


 旧約聖書は創世記から始まる。

 創世記と名付けられているだけあって、神が六日で天地を創造したことが語られている。その後、神はアダムとイブを造りだし、アダムの子孫のノアの一族が神からの啓示により、箱舟に乗り、大洪水から免れたことなどが記されている。今の人類はこのノアの子孫ということだ。


 そのノアの子孫のアブラハムに対し、神はまたもや啓示を授け、カナンの地、今のパレスチナに移住させた。アブラハムの家を訪れた御使い(天使)はソドムとゴモラという町を滅ぼした。これが創世記の前半の内容である。


 創世記の後半は、そのアブラハムの孫のひとり、ヤコブ(後にイスラエルと改名)に関する事細かいエピソードに費やされている。前半のスペクタクル映画から安手のホームドラマに変わってしまっている。


 ヤコブとはどのような人物だったのだろう。

 旧約聖書の出エジプト記では、モーセによるエジプト脱出の苦労が長々と語られているが、創世記のアブラハムの移住に関する記述は驚くほど少なく淡々としていて、移住後の一族の生活がメインになる。

 アブラハム夫婦には子供がなく、アブラハムは女奴隷にイシュマエルという子供を産ませたが、神と二人の御使いがアブラハムの家を訪れ、アブラハムに妻との間に来年次男が生まれると告げている。その男の子がイサクである。ヤコブはイサクの息子、双子の弟である。アブラハムの妻はイサクが生まれると、女奴隷を追い出した。

 アブラハムの甥のロトはソドムという町にいたが、御使いによって逃がされ、御使いはゴモラという町とともにソドムを滅ぼす。ロトには二人の娘がいた。娘たちとソドムを離れたロトは、あろうことか、二人の娘との間に子どもをもうける。


 アブラハムの次男イサクは、リベカ(アブラハムの二人の兄弟の血筋)と偶然の出会いから結婚し、ヤコブとエサウが産まれた。二人は男の双子である。リベカにはラバンという兄がいた。ちなみに、このイサクとリベカの結婚にまつわるエピソードだけで62節もあり、天地創造から人類誕生までの56節を上回る。

 ヤコブは弟だったが、あるとき猟から疲れ切って帰ってきた兄エサウが煮物の中の赤いものを優先的に分けてくれるよう頼み、ヤコブはそれを兄に与え、代わりに長子の権利を得た。


 イサクは神の啓示によりエジプトに行くのをあきらめ、さらに住民とのトラブルで近くの谷に移住し、羊飼いと水の権利で争い、もうひとつ井戸を掘り水争いを解決し、イサクに移住を命じた権力者とは仲直りした。イサクは歳をとり、長男のエサウに獲物をとっておいしい料理を作るよう頼んだ。それを聞いたイサクの妻も次男のヤコブに家畜をとってこいと命じ、ヤコブは自分で料理を作った。


 ヤコブはエサウのふりをして父に料理を出し、父は喜んで祝福した。狩りから帰り、料理を持ってきたエサウはそれを聞いて悔しがった。エサウはヤコブを憎み、ヤコブは母の兄、つまりハランにいる叔父のラバンのところに逃げた。途中、ヤコブは御使いが階段を上り下りする夢を見て、神から祝福の言葉を与えられる。


 目的地に近づくと、ヤコブは羊を集めている土地の人達にラバンを知っているか尋ねた。彼らは知っていた。ヤコブがその人達に、まだ日が高いからもう一度羊に草を食べさせたらどうかと提案すると、彼らはそうしない理由を語った。そこに羊を連れたラバンの娘ラケルがやってきた。ヤコブが自分がラバンの甥だとラケルに言うと、ラケルは走って父に知らせに行った。娘から話を聞いたラバンも走ってヤコブのところへ行き、ヤコブを自分の家に案内した。

 

 これでもかなり省略したが、土地の人との会話といい、ラケルやラバンが走ったことなど、まるでヤコブに見えない同行者がいて、その場で観察したことをそのまま記述したような臨場感を感じる。天地創造の曖昧さとは対照的である。


 それからもヤコブの話は長々と続き、ほとんど創世記の主人公扱いだ。


 ヤコブがラバンの家に一月滞在した頃、ラバンはヤコブにただ働きをさせるのはおかしいので、望みの報酬を聞いた。ヤコブは下の娘ラケルをください、その代わり七年間ただ働きしますと答えた。ヤコブは七年間働いた。

 それでラバンは祝宴を開いた。しかし、ラバンは寝室にラケルではなく上の娘レアを送り込んだ。朝になってようやく相手がラケルではなくレアだと知ったヤコブは、ラバンに抗議した。ラバンは風習だと答え、さらにもう七年間働くよう要求した。

 ヤコブはラケルを娶るため、もう七年間ラバンのもとで働いた。ラケルには子供ができなかったが、レアはヤコブの子を次々と産んだ。その中にはユダヤという言葉の語源となるユダもいた。つまり後にイスラエルと改名するヤコブの、子供のひとりがユダ。ナザレのイエスを裏切ったイスカリオテのユダとは別人。


 子供のできないラケルは姉をねたみ、ヤコブに子供をせがんだ。ヤコブは、子どもができないのは神様が決めているから仕方がなく、自分は神様じゃないから無理と答えた。そこでラケルは女召使いにヤコブの子を産ませることにした。ラケルの召使いが子供を産むと、今度はレアも自分の召使いにヤコブの子供を産ませた。


 レアの子供が母のために野原でとってきた恋なすびを、ラケルが欲しがった。レアはラケルに、夫だけではなく、息子のとった恋なすびまでとるのかと非難した。ヤコブが帰ってくると、レアは恋なすびをさしあげるので今夜は私のところに来てくれるように頼んだ。それでレアはみごもった。その後もレアは身ごもった。その後、ラケルもついにヤコブの子ヨセフを産んだ。


 子供が大勢できたヤコブは叔父のラバンにもう故郷に帰らせてくださいと願い出た。ラバンは報酬で引き留めようとした。ヤコブは、ぶちとまだらの羊をすべてと羊の中で黒みがかったものをすべて、それからまだらとぶちの山羊を報酬として要求した。ラバンはその要求を認めた。ヤコブがおそらく何らかの交配技術を使ったので、家畜は縞やぶちやまだらのものを産んだ、それでヤコブは豊かになった。するとラバンの息子たちが不満を感じ、ヤコブが父のものを奪っていると苦情を言うようになった。


 ヤコブは夢の中で、神から故郷に帰るように告げられた。ヤコブは妻子を連れて故郷に帰った。帰郷直前、ラバンが羊の毛を刈っている隙に、ラケルは家の守り神の像を盗んだ。逃亡に気づいたラバンは、ヤコブに追いついた。

 しかし、夢の中で神から、ヤコブを許すよう告げられた。それで逃亡については許したのだが、守り神を盗まれたことは許せない。ヤコブに何故盗んだのか聞いた。ヤコブはその事を知らなかった。ラケルが隠していたので、守り神は探しても見つからない。ヤコブとラバンは和解し、誓いの記念に石塚を建てた。


 故郷への旅の途中、ヤコブは御使いを目撃した。目撃しただけで、御使いは何もしなかった。ヤコブはそこを神の陣営だと思った。ヤコブは兄エサウと会うことにした。ヤコブは寝込みを何者かに襲われた。格闘の末、ヤコブは勝った。相手はヤコブに名前を聞き、神と人よりも強いのでイスラエル(神に勝つという意味)と改名するよう勧めた。ヤコブも相手に名前を聞くと、相手は答えなかった。


 ヤコブは久しぶりに兄と再会し、シケムの町のそばに宿営した。そこで娘のディナが土地の男に犯された。相手の男はその父とともに話し合いにやってきた。娘と結婚させてくださいと言われ、ヤコブの息子たちは条件として相手の一族に割礼を要求した。相手方は割礼を受け入れ、痛みがとれないうちに、ヤコブの息子たちは相手を滅ぼした。


 神がヤコブにベテルに行けと告げたのでヤコブはそこに着いた。神はヤコブの名をイスラエルにした。その際、

「神は彼と語っておられたその場所から彼を離れてのぼられた(創35:13)」

 とあることから、宇宙の外から声だけを送ってきたのではなく、神はヤコブの前にいたことになる。イスラエルの件を語ったことから、格闘した本人か、あるいは、その場のやりとりを知っていた存在だろう。


 ヤコブには十二人の息子がいた。そのうちのヨセフを特にかわいがった。そのことで兄たちはヨセフを憎んだ。兄たちはヨセフを殺そうとしたが、ユダが隊商に売りつけることを提案した。その間にミディアン人がヨセフをイシュマエル人の隊商に売ってしまった。

 ヤコブは悲しんだ。ヨセフはエジプトに連れられ、宮廷の役人に売られた。神がヨセフと同行していたので、家の主人はヨセフを信用し、家は富んだ。

 しかし、主人の妻の誘いを断り、ヨセフは牢獄に入れられた。それでも神のはからいでヨセフは看守長に信頼された。ヨセフはファラオの夢をとき、エジプトで成功した。一方、兄たちは、ヤコブの指示で、エジプトに穀物の買い付けに来た。両者は偶然遭遇し、ヨセフは一族をエジプトに呼び寄せた。ヤコブはエジプトの地で亡くなり、創世記は終わる。


 イサクはともかく、ヤコブの話を読者の方々はどう思われるだろうか。もちろん当事者には重要なことだったのだろうが、人類全体にとってはどうでもいいことのような気がする。

しかも、これだけ長い文章を記述しながら、神の関与があまり見られない。叔父のもとに向かう途中で祝福を受けた他には、夢の中で故郷に帰れと言われたことと、神らしき相手と喧嘩して勝ち、名前を改名しろと言われたことくらいだ。それに、偶像崇拝を徹底的に禁じる一神教の正典の冒頭にラバンの家の守り神の像が出てくるのに、批判しないのはどうしてだろうか。


 そもそもヤコブに啓示を下す必要はあったのか。あれだけラバンにひどい仕打ちをされたのだから、啓示がなくても故郷に帰るだろう。ヤコブからイスラエルに改名することは、それほど重要なことなのか。はっきりいってヤコブはただの一般人にしか思えない。

 それでは何故、天地創造の十倍を越える長さを、預言者でもない一般人のヤコブに費やしたのか。神にとって天地創造よりもヤコブの行く末のほうが関心が高かったということなのか。


 一般人ヤコブの物語は不必要に詳しいが、その祖父アブラハムの召命は意外なほど淡々としている。

 創世記十一章では、

「テラはその子アブラムと、ハランの子である孫ロトと、子アブラムの妻である嫁サライとを連れて、カナンの地へ行こうとカルデヤのウルを出たが、ハランに着いてそこに住んだ(創11:31)」とある。


 ここからわかるのは、ウルを出発したときは、アブラハムではなく、その父テラが一家の主人だったということだ。ウルからハランまではユーフラテス川を船で移動すればよいので比較的簡単だが、ハランからカナンは陸地での移動なので大変だ。

 加えて、自身の老齢や子供たちがハランでいいなどと主張したので、テラは、カナンまで行く予定をハランに留まることにしたのだろう。テラはカナンに着くことなく、ハランで死んだ。


 主が啓示を行った場所は、

「あなたは国を出て、親族に別れ、父の家を離れ、わたしが示す地に行きなさい(創世記12:1)」とあり、一見するとウルを思わせる記述になっているが、啓示のすぐ次の節で、

「アブラムは主が言われたようにいで立った。ロトも彼と共に行った。アブラムはハランを出たとき七十五歳であった(創12:4)」とあるので、啓示はウルではなく、ハランで下ったと思われる。


これが、「アブラムは主が言われたように“ウルを”いで立った。ロトも彼と共に行った。アブラムは、ハランを出たとき七十五歳であった」とするなら、一続きの文章としてはおかしく、ハランではなくウルを出たときの年齢を記すはずだ。


 その次の節も、「アブラムは妻サライと、弟の子ロトと、集めたすべての財産と、ハランで獲た人々とを携えてカナンに行こうとしていで立ち、カナンの地にきた(創12:5)」なので、明らかにハランでの出来事だ。

 財産やハランで獲た人々という記述から、アブラハムはハランである程度の成功を収めていたことがわかる。加えて、啓示が下った場所がウルだとしたら、啓示は当主テラに下るのが妥当で、アブラハムに下ったとしても、アブラハムは(家族を説得して)父と妻、甥と一緒にウルを出発したなどという表現になり、途中のハランに長期滞在するとは思えない。


 テラの死とアブラハムへの啓示の前後関係が記されていないが、啓示の記述は、テラがハランで亡くなった後に出てきており、当主テラが生きていれば啓示はテラに下ると思われるので、啓示の時期はテラの死後だろう。アブラハムは、神の啓示により、カナンの地に行くよう指示される。


 啓示を受けたのはハランでテラの死後。それ以前にアブラハムが啓示を受けたという形跡はない。本当にそれは神なのか。コロンブスは、「神の栄光と支援により、大洋にあるいくつかの大陸は見つかると期待する」と述べているが、神はアメリカ大陸発見にさえ啓示を下さなかった。

 肥沃な三日月地帯での数百キロの一家族の引っ越し程度のことに、神がいちいち指示するだろうか。


 啓示は声だけの簡単なもので、現代人なら悪戯と疑い、スピーカーが隠されていないか部屋を探し回るだろう。古代でも壁に穴が開いていて、筒を通して声を出せば、隣の部屋からでもできそうだ。

 一介の預言者にすぎないエゼキエルは、主によって空中に引き揚げられ、エルサレムまで空の旅をした。アブラハムの宗教というくらいだから、アブラハムといえば、一神教における重要人物であることは誰もが口を挟まないはずだ。特にカナンへの移住を告げたことは、一神教の歴史の中でも最重要の啓示なのに、あまりにも素っ気ないのはどうしてだろう。

 エゼキエルをエルサレムまで空中旅行させる能力のある主なら、わざわざ啓示を授ける必要などなく、関係者と必要物資を残らず、強制的に動かせばいいではないか。


 もうひとつ疑問がある。

 ヤコブの叔父ラバンはハランにいた。ヤコブはカナンからハランに逃げ、またカナンに戻った。ヤコブの父イサクはアブラハムとサラの子供で、ヤコブの母リベカはラバンの妹でアラム・ナハライムのナホルの町、つまりハラン地方の人間である。

 ヤコブの妻はリベカの兄ラバンの二人の娘と召使いである。ということは、ヤコブの一族は最初からハランにいたままで全員勢揃いし、ヤコブの次の世代を誕生させるのに、アブラハムがハランからカナンに行く必要などないことになる。

 イスラエル一族の将来のために、どうしてもカナンに行く必要があるなら、ヤコブの代になってカナンに行けばよいではないか。そのヤコブ一家も全員エジプトに移住している。ヤコブの子孫であるイスラエル人がカナンに定着するのは、モーセの出エジプトからだ。神はどうして、アブラハムをハランからカナンに移したのだろうか。


 ウルガタ訳聖書の英訳ノックス聖書で知られる神学者ロナルド・ノックスは、探偵小説にフェアプレイ精神を求め、探偵小説十戒を定めた。最初の戒律では、犯人は物語の初期段階から登場する必要があるそうなので、十戒の本家聖書ならば、最初の書創世記に神の正体が登場しているはずである。


 そこで読者に質問です。神は誰でしょう? 


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 それでは、いくつかのヒント。


 創世記の五章と、十章から十一章にかけては、ほとんどが一人数百歳も生きてきた家系の記述で、天地創造からアブラハム登場までの歴史をつないでいる。神が六日で世界を造った天地創造、土から人を造ったエデンの園、木の箱舟で全動物が生き延びたノアの箱舟、全人類が同じ言葉を話したバベルの塔。アブラハム以前の出来事は、文章がとても短く、内容も現実にあったこととは思えない。


 そういった理由もあって、十一章までが歴史としては扱われない神話の世界「原初史」、アブラハムへの啓示から始まる十二章以降が「族長物語」として大別されている。

 それを裏付けるかのように、創世記の登場人物はどれも高齢だが、アブラハム以降は二百歳を越えることはなく、二で割ると納得がいく数字になっている。当時の年齢カウントがそうなのか、何らかの理由で年齢を二倍に記述する必要があったのだろう。


 アブラハム以降が妥当な年齢ということは、アブラハムより前の時代について作者は実際のことを知っておらず、アブラハム一族の物語に権威を与えるために、古代の神話などが後世に追加されたのだろう。つまり、事実として記録に残る主の活動は、アブラハムへのハランにおける啓示からだ。


 主は、自らアブラハムに「あなたをカルデヤのウルから導き出した主です(創15:7)」と語っている。アブラハムに啓示が下ったのはハランなのに、主は何故ウルから導き出したと語り、「父の家を離れ」と、ウルを思わせる表現をしているのか。

 ウルでアブラハムに主から啓示があったとは記されておらず、ハランで同じ内容を繰り返すとは考えにくいことから、主がウルでアブラハムを導いた方法は、声による啓示ではなかったということになる。ハランでの啓示は、ウルから導き出したのに、途中で止まっていたから、目的地に進むように催促したにすぎない。


 アブラハムがハランを離れた理由は主の啓示で、エジプトに下った理由は飢饉で、エジプトを離れた理由はファラオによる追放だ。ロトとの別れは家畜に関するもめ事。その他、イサクやヤコブの移住についてもいちいちその理由が説明されているのに、アブラハムの家族がウルを離れカナンに向かった理由は、どうして記されていないのだろうか。全能の主はその理由を知らなかったのか、それとも言えない理由でもあるのか。


 創世記の次の出エジプト記以降の書では、主はアブラハムの孫のひとりヤコブの子孫だけに目をかけ、エサウやロトの子孫とは敵対することを避け、それ以外の他民族を敵とした。宇宙の創造主が、どうして特定の民族、アブラハムの血縁だけをえこひいきするのだろう。


 ここまでの話を整理する。

 アブラハムより前の創世記の物語は、ただの伝説にすぎない。

 父テラを当主とするアブラハムの家族は、何らかの事情でウルを出てカナンに旅だった。

 移住の理由は、聖書に残すにはふさわしくないと判断されるものだった。

 途中のハランに滞在し、そこでテラが死んだ。

 ハランにいたアブラハムに、主はカナンに行くよう命じた。

 ハランで告げたにもかかわらず、主の意識の上では、アブラハムを導いたのはウルからだった。

 主は、ウルでは啓示以外の方法を用いてアブラハムを旅出させ、アブラハムとその甥ロトの子孫を特別扱いした。


 勘のいい方はもうおわかりだろう。犯人を当てるには、必ず動機を調べるはずだ。主と同じように、アブラハムがカナンに行くことを望んだ人物はいないだろうか。その人物は、ハランに留まるアブラハムに当初の目的地カナンに行くように促した。その者こそ、神を名乗った存在だ。


 もう一度質問します。神は誰でしょう?

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