第17話 春風の魔法使いvs氷雪の魔女

 それから程なくして私たちは頂上までやってきた。

 山頂であることを示す小さな看板が突っ立っている以外は特に何もない。この辺りは木がそれ程多くないので、響ノ町が一望できる。

 風が木の葉を揺らしていく。さわさわと、穏やかに優しく。昼間の街の喧騒もここには届かない。

 不思議とセンチメンタルな気分になってしまう。だからこそ、私は気づくことができなかった。


 背中に忍び寄る何者かの気配に。


「動くな」

 声の主はつぶやいた。背中に冷たい金属質の物が押し付けられているように感じる。視線を移すと、ネルがこれまで見たこともないような目つきで私の後ろにいる人物を睨みつけている。

「……ドロシー……」

「また会えたわね。いや、よく来たと言った方が正しいかしら? ネル・G・フレイリィ。又の名を、春風のネル」

 ネルは全く変わらない表情のまま、声の主を睨み付けつぶやく。

「……麗華を離せ」

「この貧乳女が心配なのか? フン、そんな怖い顔をしなくてもいいじゃないか。別に殺そうってわけじゃない」

 そう言うと、ドロシーはいきなり私を突き飛ばした。

「麗華さん!」

 無様に転んでしまった私を心配してアリアが駆け寄ってきてくれた。

 私は傍らのアリアに耳打ちする。

「ありがとうアリア。それにしても……ネルの二つ名、春風……ってずいぶん可愛らしい二つ名ね」

「いいえ。春風とは気まぐれ。そよ風のように爽やかな時もあれば、春一番のごとく突風被害をもたらすこともある。あの二つ名は、そんなネルの気まぐれを表したものなんです」

 私はアリアに手を貸してもらいながら立ち上がり、ネルの方に視線を戻す。

 ネルは相変わらず怖い顔でドロシーを睨み続ける。ネルがこんな表情をするなんて私は思いもしなかった。


「麗華はボクの大切な友達だ。麗華を傷つけるつもりなら、許さないよ……!」

「何をそんなに熱くなってる? それが久しぶりに再会した同僚への態度か?」


 アリアに支えられてようやく立ち上がり、先程まで私の身動きを封じていた人物の顔を目にする。


 透き通る程に蒼い、腰に届く程の長髪。人形めいた精緻な顔立ち。瞳は暗い紫色。そして……私など及びも付かない程にふくよかな胸。その美しすぎる容姿はまるで世界中で彼女一人だけに天からスポットライトが当てられているよう。だが、輝くような美しさと同時に、冷たく暗い何かを放っていた。不安で危なげな匂いのする何かを。


 ネルは鋭利な目つきのままつぶやく。

「ドロシー……きみに……何があったんだ?」

 ネルの言葉に、ドロシーがほくそ笑む。

「人の心配している暇あるの? 甘さは相変わらずのようね、ネル!」


 途端、ドロシーが手にしていたクリスタルのタクトが怪しく光を帯びる。

 ドロシーはタクトの先端をネルに向けた。


「―― 遍く水よ 我の下に集いて 闇を屠る剣となれ ――【レイシア】!」


 彼女がつぶやくと、タクトが強い輝きを放って、水晶の剣へとその姿を変えた。

 ドロシーが水晶剣を携え、ネルに斬りかかる。


「くっ……箒よ!」


 ネルの叫びに応じて箒が飛来し、水晶剣とかち合った。二人は鍔迫り合いになって動かない。


「やるじゃないネル。力が衰えているわけではなさそうね」

「きみこそ……剣の腕は衰えていないらしいね……むしろ」

 両者の均衡が崩れる。ドロシーは一瞬身をかがめ、それに乗じて剣を薙ぎ払い、ネルの箒を叩き落とす。


 ドロシーは再び剣を構えた。

「……早く本気を出しなさいよ。武道で私に敵わないことは知ってるはずよ」

「……ボクは今のきみとは戦いたくない。今の仮面をかぶっているきみとはね」

「……ッ! 私をからかうのもいい加減にしろォ!」


 ドロシーの叫びに呼応して、水晶剣の剣先から巨大な氷柱が飛び出した。氷柱はまっすぐネルを目指して飛び出す。

 氷柱がネルを貫通すると思った刹那、ネルの周りで小さな塵旋風が巻き起こった。

 旋風は飛来した氷柱をことごとく破砕してしまった。


 眉一つ動かさずにネルは言った。

「からかっているのはきみの方だ、ドロシー。この程度でボクがやられるとでも? 落ちたものだな、ボクも……」


 ネルが右手をすっとドロシーに向けた。その瞬間塵旋風によって砕かれた氷の破片が、まるで意志を持ったかのようにドロシーへ向かって飛んでいく。


「っ!」


 ドロシーも負けていない。飛んできた破片を鮮やかなステップでかわしたかと思うと、次の瞬間、凄まじい回転切りを繰り出す。彼女の放った常軌を逸した剣圧によって、飛んできた氷の破片はすべて粉々になってしまった。

 粉塵となった氷が夕日を浴びて、空中でキラキラと輝く。

 ネルも、ドロシーも、お互いを睨みあったまま動かない。


 私は二人の戦いを見ていて思った。これは……とても自分が介入できるようなものでは無い。アニメや小説とは違う、本物の戦いが私の目の前で繰り広げられている。

 小さな竜巻や風の弾丸など。次々と凄まじい魔法を放つネル。それらを鮮やかな身のこなしでかわし、肉薄するドロシー。

 両者の戦いは明らかに常軌を逸していた。


 世界に六人しかいないというGの称号を持つ魔法使い同士の戦い。私は柄にもすっかり黙り込んで両者の戦いに集中していた。アリアは両手を握りしめ、固唾を飲んでネルを見つめている。


 ネルとドロシーの実力はほぼ互角。戦いは長引くかと思われたが、徐々にネルの魔法がドロシーを圧倒し始めた。そして……ついにネルの放った風の弾丸が、水晶剣を撃ち落す。


 丸腰となったドロシーを見て、風の弾丸の銃口――人差し指を向けてネルはつぶやく。

「……ボクの勝ちだ。さあ、いい加減教えてもらおうか。きみに一体何があった、ドロシー?」

「くッ! 私が……負けた……だと?」

 ドロシーは悔しそうに唇を噛み締めながら言う。


「……言いだろう。正直に話そうじゃないか。ただし……貴様が本当に勝ってからな!」

 すると、ドロシーは隠し持っていた投げナイフを私に向けて放つ。

「っ!」

 すかさずネルが風の弾丸で投げナイフを撃ち落す。


 しかし、そこに一瞬の隙が生じてしまった。その隙をドロシーが逃すはずもない。

 ドロシーは地面に落ちた水晶剣を蹴りあげてキャッチ。そのままネルの喉元にあてがった。

 形勢が逆転した。今や、ネルの命はドロシーの手に委ねられている。……ていうか、そんなの卑怯だろ! ドロシーには決闘へのプライドが無いのか、こんちきしょう!


 しかし、私の心の叫びが届くはずもなく、ドロシーは高笑いしながらつぶやいた。

「アッハハハ! 無様だねえ、ネル! 大体、決闘の場に部外者を連れてくるのが間違ってるのさ。結局はあんたの甘さが身を滅ぼすことになるのさ!」

 そう言う彼女の言動からは、アリアが言っていたようなフェアポリシーは微塵も感じられない。

「くっ……!」

 ネルは一歩でも動こうものならその瞬間首が飛ぶような状況だ。迂闊には動けない。


 その時、アリアが叫んだ。

「あなたは……あなたは誰なんですか! 正体を表しなさい! あなたが……こんな卑怯な手を使うあなたが、ドロシー様なはずありません!」


 叫ぶアリアの顔は涙にぬれていた。アリアはドロシーを知っていたからこそ、目の前にいる、卑怯な手を使ってネルを陥れたドロシーが本物だとはどうしても思えなかったのだろう。

 しかし、殊もあろうにドロシーは醜く舌なめずりをして言い放つ。

「小娘が何を言い出すかと思えば、世迷いごとを! 私はドロシー・G・クリスティーナ。それ以外の何者でもない!」


 私にはわかった。アリアは怒っている。それも、かつてないほどに。

 尊敬していた人が、裏切り、嘲り、自分を罵っている。そればかりか、大好きなネルを、彼女にとってもしかしたら最も大切な存在であるネルを痛ぶり、殺そうとしている。


 アリアが動くのは当然だった。彼女は心のうちに湧き上がる怒りのままに飛び出し、ドロシーに渾身のビンタをぶちかました。


 まさか、温厚なアリアがそんな行動に出るとは予想もしなかったのか、ドロシーはビンタに反応できずにクリーンヒット。彼女の頬がアリアの手の形に赤く腫れる。

 しかし、それがドロシーの闘争心に火をつけた。

「ッ! 小娘の分際でこの私に張り手を食らわすとは生意気な!」

 ドロシーが水晶剣の先から氷の矢を放つ。

 氷の矢がみるみるアリアに迫る。しかし、アリアは焦り一つ見せず、むしろ不敵に微笑んでいた。


 ついに矢が彼女の体を貫通する! ……というグロテスクな光景を想像して、私は思わず目を覆った。


 しかし、アリアの悲鳴は聞こえない。

 目を開けると、アリアは傷一つない状態で平然と立っていた。

 氷の矢は彼女の後ろにあった木に突き刺さっている。


「……ふん。私の【アイスアロー】避けるとはなかなかやる。だが、次は無い!」


 ネルがアリアに向けて叫ぶ。

「逃げろアリア! ドロシーは本気だよ!」

「心配ご無用よ、ネル。私は……大丈夫だから」

「戯言を!」


 ドロシーの言葉と共に無数の氷の矢が放たれる。あの数の矢をかわすなんていくらなんでも不可能だ。だが、アリアはその場から動こうとせず、漫然とした顔で迫り来る氷の矢を見つめていた。


「アリア!」

 たまらず私も叫ぶ。

 すると、アリアは私の方を振り返り、小さくニコリと微笑した。


 次の瞬間、無数の氷の矢が流星群のごとく彼女に襲いかかる。

 山が揺れたのではないかと思う程の凄まじい衝撃。辺りにはいくつも氷の矢が突き刺さっている。


 と、突き刺さった氷の矢の影で、アリアがすっくと立ちあがった。

「う、嘘でしょ!? 何故あれを受けて無事でいられるの? あなた……一体……」


 アリアはふっ、と笑ってドロシーに歩み寄る。

「私は修行の末……特別な魔法を使えるようになったのですよ」

「特別な……魔法ですって?」

 明らかに狼狽えているドロシー。彼女にとっても、こんな事態は想定外だったのだろう。

 アリアはドロシーの問いを冷たく切って捨てた。

「……私が質問に答える義理はありません。ネルを離して。さもなければ……私、ほんとに怒っちゃいますよ」


 声に凄みがある。大人しいアリアとのギャップに、私は驚いていた。色んな意味で、居間のアリアは怖い。普段怒らない人が怒ると、これほどまでに怖いものなのか。


 しかし、ドロシーはそう甘くはなかった。

「……調子に乗らないことね。―― 母なる大地よ 暴徒を鎮めんがため 我にその力を―― 【マホシール】」


 ドロシーがつぶやき終わると、辺りが一瞬まばゆい光に包まれた。

「こ、これは!?」

「一切の魔力を封じる結界魔法、【マホシール】。ネルに使おうと思っていたとっておきの魔法だけど、まさか、あんた相手に発動することになるとはね……。あんたの妙な術も魔法には変わりない。魔力を封じてしまえば効力は失われる!」


 魔力を封じる魔法なんて……そんなの反則級の強さじゃないか!


 アリアは地面に手をついて、息をぜえぜえ言わせている。

「ふん。手こずらせてくれたわね。でも、これでお終いよ!」

 ドロシーは再度出現させた氷の矢をアリアに放つ!


 何もかも、全ての挙動がゆっくりになる。本で読んだことがある。交通事故に遭う瞬間は時間の進みがとてもゆっくりになるのだという。今の感覚はそれに似ていた。


 アリアに氷の矢が迫っている。このままでは、矢は彼女の胸を抉り、大量の血しぶきを飛散させ、何もかもを悲しい結末へと持って行ってしまう。そんな結末は嫌だ。私はバッドエンドが嫌いなんだ!


 体が勝手に動いていた。私は鞄から銃を取り出し、発砲。銀色の弾丸がドロシーへと一直線。見事に命中した。


「何!?」

 ドロシーが一瞬集中力を失ったおかげで、氷の矢はアリアの頬をかすめるだけにとどまった。

「くっ! 邪魔してくれるじゃないの。まさかあんたがガンナーだった持ってるなんてね……」


 私はにやりと不敵に微笑む。

 やはり、思った通りだ。ネルもアリアもこちらの世界に関してはほとんど知識が無い。それは恐らくドロシーも同じだと予想したのだが、案の定カンが当たった。彼女はただの銀玉でっぽう(駄菓子屋で百円で買ったお古)を恐れている。


 私は鉄砲を構え、強気に前に出た。

「動くと撃つわよ。死にたくなかったら、ネルを離しなさい。さあ、早く!」

「く……だが、どの道、今は私が展開した結界によって、私以外の魔法は発動できない。こいつを解放したところで、私の優位は変わりはしない」


 ドロシーの言うことは間違っていない。魔法が使えないネルは戦力外だし、アリアも今は碌に動くことも出来ない状況だ。このハッタリもいつまで持つか……。


「ネル、あなたはアリアを見てなさい。こいつは私が何とかする!」

「れ、麗華……」


 私は立て続けに五発撃った。しかし、その全てをドロシーは水晶剣で切り伏せてしまう。


「……所詮はこんなものか」

 ハッタリは所詮ハッタリ。威力の貧弱さは誤魔化しようがない。デコピン程度の威力しか出せない銀玉でっぽうではこれまでか……。


 ドロシーは私の目の前に大きな氷の矢を出現させた。さらに抜け目ないことに、私の両足を氷でがっちりと固め、絶望的な状況を作り出した。手にした銀玉でっぽうは滑り落ちてしまった。


 冷や汗が頬を伝う。一介の高校生である私はもう、頭の中が真っ白になっていた。


 このまま死んでしまうのだろうか……。なんともあっけない人生だったなあ。せめて……寿司、食べたかったなぁ……。

 と、私がよっぽどのアホ面をしていたのか、急にドロシーが笑い出した。


「あっはは! Gの称号持つ私に対して、体一つで立ち向かってくるとは面白い。だが邪魔者は排除しなければならない。己の無鉄砲を悔いて死に逝け!」


 ドロシーが手を振り落とす。するとまるで死神の鎌のように、頭上に浮かんだ氷が落下し始めた。逃げようにも足が氷で固定されていて逃げられない。


 鎌はゆっくり、ゆっくりと、だが確実に迫ってくる。全身が有刺鉄線で雁字搦めにされているみたいだ。


 氷の矢はもう目と鼻の先まで迫っていた。




 私の十六年の人生はこれで儚く終わりを迎えるのか。死の直前になってみると、後悔しかない。勉強だって、本当はもっとやらないといけないのに。大学だって行ってみたかったのに。人並みに恋だってしてみたかった。広い世界、貧乳だって愛してくれる人はきっといるはずだ。友達とも、もっとたくさん遊びたかったなぁ。沙織とも、もっと話したかった。バイトももうちょっとしっかりやればよかったな。そう言えば、結局、回らない寿司の味もわからず終いだ。


 それに……夢、叶えられなかったな。誰にも話してなかったけど、私は小説家になりたかった。趣味で小説を書き続けているうちに、いつしかそう思うようになった。


 小さいころから本を読むのが大好きだった。魔法だとか、そういうファンタジーの本が大好きだった。そんな本ばっかり読んでいたから、寝ている時に見る夢で私はよく魔法使いになって空を飛んだ。吹きすさぶ風がとっても気持ちよくって、いつもお母さんが、すごく楽しそうな夢見てるんだね、って言ってくれてた。


 だから、嬉しかったんだ。ネルに――本当の魔法使いに出会えて。ネルは私に夢を見せてくれたんだ。箒が優雅に空を飛んでいく姿がありありと思い出される。一度きりだけど、箒に乗って、必死にしがみつきながらも感じた、あの風を切り裂きながら飛んでいく感覚は忘れようもない。


 そんな肌で感じた思いっていうのを、誰かに伝えたくて。私は絵も下手だし、歌も音痴だ。でも、文章なら人並みに書ける。私が今まで感じたこと、夢に思い描いたこと、それら全てを一冊の本にして残したかった。


 そうしてできた一冊の本は、この世に存在する数えきれないくらいのたくさんの本の中のちっぽけな一冊に過ぎない。でも、そのちっぽけな一冊の本は、この世界に家達麗華という人間が存在したことを克明に表す一冊の本なんだ。自分がこの世界に生まれて生きていたんだという証。そういうものを残したかった。

 



 氷の矢が空気を切る音が間近に聞こえてきて思わず目を瞑る。氷の矢が深々と胸につき刺さる……そう思った寸前。


「―― 箒よ 今こそ全てを解き放ち 彼の者の力を我に与えん ――【ゼロフレア】!」


 氷の矢が胸に到達する刹那小さな爆発が起こる。ネルが持っていた箒を起点に、巨大な横薙ぎの竜巻が発生した。竜巻は氷の矢を遥か彼方へと吹き飛ばし、それと同時にドロシーをも凄まじい風圧でふっとばす。


 ドロシーは木の幹に思いきりぶつかり、よろよろと息も絶え絶えに立ち上がる。

「バカな……結界の中でなぜ魔法を使うことが発動する!?」

「魔法は万能じゃあない。きみはこの世界の人間の力を侮ったのさ」

「な、何を言っている?」

「……ボクが使ったのは魔法じゃない。この世界の人間が生み出した力、科学の力だ」

「科学……だと?」

「……きみは、風がどうして吹くのか知っているかい?」


 ――風とは空気の流れ。風は温度の違いによって生じる高気圧・低気圧によって発生する……らしい。物理の授業で先生が話していたが、結局私にはちんぷんかんぷんだった。


「簡単に説明すると、風は温度の違い、すなわち気圧の違いによって生じるんだ。ドロシーの魔法によって、何度も空気中で氷が生成され、ここら一帯の空気は他の場所と比べ、ずいぶんと冷えていた。この冷たい空気がボクの風魔法によって撃ち出される。すると空気の流れが生じて、温度バランスが崩れてしまうんだ。これが何を意味するかわかる?」


 ドロシーは沈黙したまま答えない。


「崩れてしまった温度バランスは、非常に不安定な空気の層を形成する。そこにボクの箒に仕込んだ火薬による爆発で一瞬風を起こすことで、不安定な空気の層に断裂が生じ、乱気流が発生するんだ。結果はこの通り。横薙ぎに発生した空気の渦がきみを吹き飛ばした」

「これが……科学の力だというのか……」

「そうさ。科学の力ってすごいんだよ。魔法にだって全然負けてないんだ」


 ドロシーは上を見上げて一瞬笑うと、がっくりと首を垂れる。

「……私の完敗、だな」

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