第2話 ヒラメ

今日はまちにまった入学式。


この高校は楽な事に私服でokということだった。

だが、俺はやはりはじめての高校気分を味合うため、いちお用意されている学ランを着て登校した。


いよいよながったらしい校長ビンテージジョニーのお話がはじまる。


「どうもフランクビンテージジョニーです。ようこそ、社会の規定におさまりきれないはみだし者みなさん。正座を聞かれればギョウザと答え、皆の前に立てば一発うけをねらう、超能力を使ってみたいと気持ちに羞恥心を感じ、現実と理想のズレに落胆の息をもらしつつ心のすみで使いたいとねがっている。いいんです、ここはそんなドスケベ変態野郎のあなたを受け入れるための学校です。あなたの居場所です学園、え。」


ん、オレは一瞬耳を疑った。


そしてこうつっこみをいれた。


(ながっ、学園名ながっすぎるだろ……。)


—入学式も終わり、一同は決まったクラスに移動することになった。


オレのクラスは一年A組だ。


この学園は基本的に3年で卒業できて、一年ごとにA、B、C、D、Eと5クラスに移動する事になった。


オレのクラスは一年A組だ。


人数全員で5人程少なかった。


(休みか?)


「はい、名前を点呼そのときは一人ずつ自己紹介して下さーい。」


まず一人。


「ゴールドサンダートリプルバーニング君。」


まず一人。


(!?なんだそりゃ!)


そいつが教台にたつ。


「コニチワ、ワタシ"ゴールドバーニング”ネ。ナガイカライツモソウヨバレテルネ。スキナタベモノハ、タコノカタチシタミタイナウィンナーネ。」


ゴールドバーニングは席に戻った。


(タコの形したみたいなウィンナーか…。)


次。


「はい、ホッキョクグマさーん。」


みるとそいつはほんとにホッキョグマのまんまだった。


「どうも、なぜ言葉が喋れるかって?ハハハそんなん聞かないでくださいよ。

なんか北極の突然変異的なやつで変わってしまったんですよ。ハハハ…。」


つづいて…


「黒木ミサさーん。」


(お、やっとまともなやつ……。)


「ボソボソッ。」


女は貞子のように長い髪で、顔をも下をむいて分からない。


おまけに何言ってるかも分からない。


「はい、どうもー。」


またまた次。


「しげやまシゲル君。」


そいつは金髪に耳にピアスをしていた。

そしてなおかつガムを噛みながらガムを噛みながら足を組んで机にのせている!


「しげるでーす、はい終わり。」


(おっ、こいつは典型的な不良じゃないか!不良だがこいつが一番まともそうだ!)


そして最後、オレの出番。


「あのー、ヒライです。ヒライヒライっていいますwちょっと難しいかな…w。

あの、平平って書いてこう読むんすよw。趣味は……。」


オレがしどろもどろに顔を赤くしながらいっていると、半ば無理矢理断ち切られる。


そんなこんな先生の自己紹介。


「私の名前は……っと。」


と言いながらおきまりの自分の名前を殴り書きする。


「私は鬼瓦蔵之介といいます。ちょっと難しいけど頑張って覚えって下さい。趣味は覗きとか、放課後女子生徒の制服とかでオナニーすることですかね。」


その日の行事も終わり、外は夕焼け。


帰り、靴箱に立っていると、


「おい。」


背後で声がしたので振り向くと、あの不良がいた。


「つらかせよ。」


—オレと不良は河川敷の土手を歩いていた。


「お前ついてねぇな。」


「え?」


不良は石を川に投げ込みながら言い出した。


「あの高校はクズだぜ、クズ。ほんとゴミみたいなやつらしかいないところだ。お前、ついてねぇよ。」


不良はガムを噛みつつ石をなおかつ笑いながら投げ入れる。


「な、なんでそう言いきれるのかな。」


「オレのアニキが行ってたんだ。卒業する頃にはもうイってたよ、目が。」


オレの家が近づいてくる。


「なぁ、お前ヒライとか言ったな。へんな名前だな、よし面白いからヒラメ!ヒラメって命名してやろう。」


「勝手に命名するなよ!」


「お前部活何入るつもりだ?」


「は?」


不良は僕をみつめてこう言った。


「よく考えておいたいいぜ。」


不良はニヤリと笑いながらそして去って行った。


どういう意味だからか……。


まぁ、いいや、とオレは家に帰ったのだった。


家につくと、テーブルを囲んで家族達が黙々と食べていた。


説明すると、中二の妹と水江、そして母と父がガツガツと食っている。


母「お、おかえりなさい。」


オレはおおっと頷きながら腰をおろす。


「お兄ちゃん学校どうだった?」


と妹の水江が口からぐちゃぐちゃこぼしつつ聞いてきた。


「うん、まぁ普通。」


そうして、夜は更けていった。



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