第2話 ボッチと生徒会
生徒会、それは未知。完全なる未知。
≪生徒会に入ってほしいのだが≫
あの担任は本気だろうか?考えてみてほしい。人脈なんてないボッチが生徒会の役割を果たせるとでも思っているのだろうか?
「どうしたもんかね……」
思わず零れる…が、聞く者はいない。
「よし、係の発表をするぞ」
さて、まずは目先の問題だ。
係……それは二人以上でペアを組み、係の仕事をするというあれだ。
「余りは山口、寺川だ」
はぁ…ん?俺が呼ばれてない?まぁいい、やらないに越したことはない。
「せんせー朝長が呼ばれてませんがー」
おい、山口。余計なことをいうんじゃない。
すると
「ん?山口は生徒会だから係はないぞ?」
……今、聞き捨てならないことが聞こえた気がする。いや、正確には聞こえているが、脳が認識をできないのだ
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「どういうことですか?」
この自称早く帰る主義の人間が、5分も学校に残っている。それほど非常事態だ。
「どうもこうもない。お前を生徒会に入れた。それだけだ。」
「」
言葉が出ない。
ああ、あきらめよう
「じゃぁ、明日の放課後、生徒会な。」
ええ、
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「はい、生徒会を始めます。」
ああ、いつもより憂鬱だ。
「では自己紹介から…」
ああ、空気を乱したい。俺に行動力があれば、
≪なんでそんな意味のないことをするのですか?≫
なんて聞けるのに。
「一年の自己紹介お願いします。」
「一年F組、朝長大地です。」
はぁ……
「一年A組……」
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「はい、では説明からさせてもらいます。主に生徒会では体育祭の準備、文化祭の……」
帰りたい。すごく帰りたい。
……帰ればいいんだ。
「ちょっとおなかが痛いんで____」
そのとき俺は気づいてしまった。こちらをすごい視線で睨む
「何でもないです、すみません。」
怖い。泣きそうです。
「では、役割分担をしたいと思います。このくじの中には、生徒会長、会長補佐、書記、準備のくじが入っています。」
なんか、ヤバそうだな。
「司会の生徒、会長は私の推薦でいいか?」
「構いませんよ」
おい、待て。
「じゃぁ、朝長大地な」
やめてください俺がなにしたっていうんですか?
「わかりました。いいですか?」
ああ、司会が天使に見える。確認をとってくれるだけでなんなんだこの安心感は。
俺は笑顔で、
「嫌でs……」
「いいですか?」
改めて問われる。
「えっ?嫌に決まって」
「良し!良いそうだ。では、朝長が生徒会長だ」
最後まで言わせてくださいよ、泣きますよ
「わ、わかりました。では、生徒会長は朝長君で」
「「「「異議なし」」」」
パチパチパチ……嫌味のような拍手が鳴り響く。
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「では、これで生徒会を終わります」
ああ、俺はいまだに後悔の念に包まれていた
そして俺は
「ま、まぁ落ち着け。これはお前のことを思ってだな」
「俺のことを本当に思っているなら、面倒ごとに巻き込まないでください…」
翌日
「へい、生徒会ちょーさんおはよー」
「お、おう」
「おはよー」
「お、おはよう」
なんてことだ。あいさつをされるようになってしまった。そして、
【いつも遅刻前30秒よりも早く席につかない】
というモットーをもとに生きている俺には今日のように早く来ることなど苦痛以外の何でもない。そう、生徒会のメンバーを発表する朝会がある。
「……じゃぁ、こういう感じで、名前、特技、中学のことの部活を」
では、言われたとおりにシュミレートすると、
〈このたび生徒会長になりました朝長大地です。特技はネトゲのヘッドショットで中学の頃は帰宅部やってました。〉
なんて言えるわけねぇ…
「えっと、朝長君?」
女子?テンパるなぁ…
「はい。」
ふぅ、何とか言えた
「あの、私は会長補佐をさせてもらう一年C組の大宮 唯です。」
ああ、補佐か。
「俺は朝長大地です。迷惑かけるかもしれないけどよろしく」
「こちらこそ」
そういえば、こういう時には会話をして、仲良くなったほうがいいんだよな。なんて切り出せば……
「あ、あの」
ん?
「何て呼べばいいですか?」
かわええ。ほっこりするわぁ
「ああ、好きなように呼んでいいよ。お前はどう呼べばいい?」
「いえ、私も好きなように呼んでください」
嗚呼、青春してるなぁ
「では行ってきます」
「おう」
「おはようございます。生徒会会長補佐になりました、大宮唯といいます。特技は暗算で、そろばんやってました。部活はテニス部でした。今もテニス部です」
最後は俺か……
「はーいありがとうございます。最後は、なんと史上初一年の生徒会長です」
は!?やめろよ、おい。って、
「はい。ご紹介にあずかりました生徒会長になります、朝長大地です。特技は特になくて、中学の頃は部活に所属してませんでした。これでお……」
「はーい質問でーす」
だるい。やめろよ、めんどい、だるさの極みここにあり。
「好きな食べ物は何ですかぁー」
わぉ、絶対答えがあるやつじゃん。下手に難しい質問されるよりだるいよ。
「えっと、唐揚げです。」
「先生も大好きですーちなみに手羽先はもっと好きですー」
聞いてねぇーしかもキャラちげぇなこいつ。
「終わります」
何だろう、こう、『だるい』
「おい、朝長ー」
「逃がすと思ったKA☆」
怖い。てか、酒入ってんの?
「なんでそんなにテンション高いんですか?」
「いや、大勢の目に触れるとテンションのパラメータが……」
「わかりました。それで要件は?」
「ああ、メールアドレスを聞いておこうと思ってな。」
嫌だよ。なんでだよ。
「あー実は、生徒会担当になりました☆」
ん?んん?んんん?は?
「え、えっとぉ……」
「だからメアド、はよ」
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ピロリーン☆彡
≪明日、生徒会な≫
〈明日、土曜ですよ〉
≪来い≫
〈嫌ですよ〉
≪来なかったら、まぁ楽しみにしてろ≫
……っという脅迫を受けたことを妹に相談していた。
「どう思う?」
「引きこもりのなりそこない童貞なお兄ちゃんにはちょうどいいと思うよ?」
「」
嗚呼、神様、どうしましょう。唯一の心の癒しに見捨てられました。
というか、学校なんですけど。
俺が忌み嫌う学校なんですけど。
「行ってくる」
ああ、いやだなぁ。
_____________________________
「おい、朝長、お前は司会進行なんだから、資料に目を通せ。午後から生徒会だぞ。」
「俺の貴重な休日……」
「どおせゲームしてるだけだろう。」
う、それ言いますか?で、でも俺だって勉強してますよ。ええ、主に武器の名前とかね。
≪生徒会非行防止キャンペーンについて≫
どおでもええー。自己責任でいいだろ。なんでわざわざ……
「まぁ、見ておけ。帰ったら、次は挨拶キャンペーンとかにして、早く学校に来させて、一人で靴箱であいさつさせるぞ。」
ひぇ、、
「じゃぁ、あとでな。」
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資料には目を通した。が、やる気がわかん。
「きりーつ気を付けーれーい」
「「「「おねがいします」」」」
はぁ……
「では今日は非行防止キャンペーンについてです。大宮さん、資料を配ってください」
「はい」
会長補佐もめんどくさそうだな
「はい、目を通していただけましたか?では、意見をどうぞ。」
「はい、やはりこの……」
「はい、わかりました。次の意見は」
「はい、ここの概要にある……」
「は、はい、わかりました。意見があるひと」
「はい。ここの……」
大体一時間後……
「わかりました。ではここの部分を……」
大体二時間後
「は、はいこういう方向で……」
大体四時間後、
「はい、わかりました。すみません。」
そして、およそ五時間後
「お、終わった。なんでみんなあんなにやる気なんだ。」
「まだ終わってないぞ。その意見をもとに原案を修正しろ」
くそ、居やがったか。
「じゃぁ、私が職員室に残っているから、気兼ねなく、編集していていいぞ。」
「え、はい。ありがとうございます?」
「じゃぁ、出来たらもってこい。」
一時間後
「くそ、この入力がうまくいかねぇ」
二時間後
「おっと、この意見を取り入れ忘れた」
三時間後
「はぁ、終わらねぇ。」
「手伝いましょうか?」
「ありがとう。よろしく頼むよ。」
四時間後
「すみません。用事があるので……」
「ああ、手伝ってくれてありがとうな。」
「はい。頑張ってください。」
五時間後
「ようやくできた!さて、担任のところへ」
時間は夜の九時を回っていた。
「おう、やっと来たか。どれどれ……」
あ、このパターンってひょっとして。
「うん、初めてにしてはなかなかいいが、やり直しだ。」
「」
「また明日来い」
「」
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帰り道、
「くそ、はぁ。」
「辛気臭い顔してるネ、朝長クン。」
「誰だ?」
「ひどいなぁ、山口だよ。隣の席の」
ああ、そういえばいたなそんなの
「どしたの?」
「ちょっと、生徒会があってな。」
「へぇ、暇だからちょっと聞かせてよ」
なんだコイツ。年中暇を持て余してるのかよ。というか帰らせろ。
一時間後
「大変だねぇ。というか意外とあっさーもしゃべるんダネ。」
お前がしゃべらせたんだろ。
「じゃぁ、帰るね。バイばーい」
「じゃぁな。」
帰宅したのは深夜十二時半ごろだった。
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