孤高のボッチ

かに

第1話 ボッチと高校生活

 俺は朝長大地。俗にいう「ボッチ」だ。


「今日から高校かぁ……」


普段あまり口にしない独り言が漏れるが、それを聞くものは誰もいない


「今日から一年F組を担当させてもらう柏原美香だ。よろしく!!」


それをきっかけに自己紹介が始まる。……俺にとって憂鬱な行事だ。


「相瀬月美です。えっと、好きな食べ物は……」


そして俺の順番が来た


「朝長大地です。宜しくお願いします」


クラス内で、少し声が聞こえる


「あいつ、誰?」


「ほら、同じクラスのボッチだよ」


「ああ、なるほどね。存在感皆無っていうか?マジ受けるんですけど」


いや、受けないから(笑)どうして女子はこうも下らないことで笑うのか?


「じゃぁ、皆これから仲良くするように」


そんなありきたりの言葉を残して担任は教室を出た。


「え?君友達いないの?(笑)俺が友達になってやろうか?(笑)」


いるよなーすぐ絡んでくるやつ


「いや、いいよ」


「なんでー友達いいじゃん(笑)」


めんどくせーw


「なんで友達いないの?」


その言葉をきっかけに、小学校四年の忌まわしい記憶が浮かんだ


小学校時代俺にはまだ友達がいた。四年生まではな


小学校時代


「おい、朝長、遊びに行こうぜ」


「おう。」


こんな何気ないやり取りをしているうちに気づいてしまった。


「友達、いっぱい呼んどいたよ」


「お、おう」


群れることは何の意味もなさない


「でさでさーー」


「わかるー」


「あれ?朝長は?」


「知らねwあいつとかもともと補欠の補欠だしw」


「そうだよねww」


その中で人を貶すことによって優越感を得ているのだ。


そんな、自分にとって何の意味も得ない「友達」などというものはその日、捨てた



現在


「大丈夫ー?朝何とか君ww」


先ほどまでの包み隠すような笑いはどうしたのか、DQN丸出しの笑い方をしている


「だから、お前たちと一緒にいても、俺が得れるものは何もないんだ。分かったか?」


「ちっ、白けるな」


そう言って藤谷とかいうDQNは立ち去った。


と思ったが、


「やっぱりお前機に食わねぇわw」


そう言って、俺の横の壁に蹴りを入れてきた。


「お前ら~見とけよぉww」


どうやら見せしめのつもりらしい。これだから何のリサーチもしない頭の悪いDQNわw


「おい、やめろよ」


「遠慮なんていらねぇよwこいつは俺に喧嘩を売ったんだ」


俺のことを知っているのか、同じ中学だった奴が止めにかかる


「くらえ!!」


その拳は俺の顔面を直撃!!……することなく、俺に手をつかまれ、関節技でねじられていた


「痛ぁ!!」


「おい、俺は確かにボッチだ。だが、これは効率を求めた果てになったものだ。お前らの中にあるボッチ=虐められっ子、みたいなイメージはさっさと拭払したほうが身のためだ。」


俺はそう言って関節技を外す


「くっそ、行こうぜ」


「おう」


たむろしていたDQN軍団は教室を出た。



「お前は兄と全然違うな」


そこにいたのは柏原美香といった担任だ


「何か御用ですか?」


「ああ、ちょっとな。お前、部活は決めたのか?」


「いえ、入らないつもりですが。」


「そうか、じゃぁ、気が向いたら話に来てほしい。」


こうして、煩わしい高校生活の一日目が終わった。

______________________________


「おっはよーーーー!!」


「え?お、おう。おはよう」


女子と話したのは何時振りか?そうだ、卒業式で、、


卒業式の日


「あの、朝長?あたしね、ずっと前から朝長のことが好きだったの。」


「え、あ、あっそうなんだ。俺もお前のこと嫌いじゃないよ!!」


俺が動揺しながらも答えを返すと


「「「あはははは( ;∀;)あっはっは!!」」」


と、物陰から数人の女子の笑い声がした。


「ニセ告に決まってんじゃんww」


俺の脳が思考停止した。そのとき、大地トラウマの一角が更新された


その時、俺は心に誓った


いかなる勘違いも恋愛も、二度としない!!と


現在


「あ、私は涼香、山口涼香!!君は朝長君だよね?よろしく!!」


「お、おう。こちらこそ」


俺はそういうと本を読み始める。すると退屈そうに


「私と話さない?暇なの」


自己中ーというか、俺に話しかけるのやめてほしい。女子とまともに話したことがない俺に話しかけると勘違いするだろ


「いいけど、なに話すんだ?」


「うんとねーうーん……そういわれると思いつかないや」


「そうか」


俺は卒業式のあの日以来、まともに女子の目を見て話せない。


「一時限目、始めるぞー」


「あっ、ヤバ、授業道具準備してなかったわ」


いや、暇だったんだろ。準備しとけよ




さて、俺の昼飯タイムがきた。


俺はこの学校を受ける際に昼飯を食うところを仮に決めていた。


海の見えるベンチ……ではなく海がわずかに見える屋上の煙突のうえだ。ここならだれにも邪魔されまい


「卒業式の時に言えなかったけど、俺、お前のことが好きだわ。付き合ってくれないか?」


「私で良ければ!!」


うわー、俺としたことが場所選びミスったかなー?


ここで俺はイヤフォンを耳に当て、素晴らしい曲を聴く


♬リア充死ね☆リア充死ね☆爆発しろ!!


ふぅ、彼女が欲しいわけではないが、なんだかすっきりする


昼飯を食い終えた俺は午後の授業を受けるべく、教室に向かった


「授業を終わります。」


「きりーつきをつけーれーい」


やる気のない挨拶が響く。そして


「HRを始めるー今日は係決めだ!好きなものでペアを組み、やりたい係を報告に来い」


えー嫌だなーせめて男子とがいい。女子は会話が通じない未知の生き物だ


「おーい残ってるものを言うぞ山口ーそして朝長ー」


しまった、出遅れたか!


「じゃぁ、この二人がペアでいいな?」


嫌でーす


「オッケーあっさーよろしくねー」


え?いやだなー……


ここで昔話をしよう。あれは俺が中学二年の頃だ


「じゃぁ、ペアは朝長と鈴木なー」


あの時はまだ、よかったんだ。まだ話せた


「宜しくなー」


俺が声をかけると


「は?何が宜しくだよ。嫌に決まってんだろお前みたいなボッチとペアとか」


その37音は当時の俺を三日間休ませるのには十分な効果を持っていた


……こんなつらい過去があるから女子とのペアは嫌なのだ


俺は小さく


「宜しくな……」


と呟き、本を読む作業に戻った。何やらDQNがこちらを見てひそひそ話している姿を見ると、可哀想 とでも言いたいのだろうか?


憂鬱なのは学校生活一日目より、二日目なきがする。だが、数多のつらい経験をしてきた俺はその程度のことでは傷つきやしない。


なぜならば、家に帰れば、可愛い妹がいるからだ。


俺は、妹へご飯を作るため、買い物をした後家路についた。


______________________________________


「ただいまー」


「おかえりーお兄ちゃん!!今晩は?」


そう急かしてくるのは、中学三年になった妹、瑠香である。


「ハンバーグだぞ!!」


「おお、お兄ちゃんわっかってるぅ!!」


俺が目を見て話せる数少ない女子の一人だ


「じゃぁ、作っといて~」


「おう」


俺はハンバーグを作る際に、高校に入って書く論文的なものの内容を考えた。


               ボッチとは

 皆は、独りでいる人間のことを一概に「ボッチ」と呼ぶが、その表現は適切ではない。まず、世の中で俗に「ボッチ」と夜ばれる人間には種類が二つある。一つはマジョリティーに対応できなくて一人でいる者たちのことだ。この種類は、似たような者たちと群れる傾向にある。そしてもう一つは、自ら孤独を選ぶ者たちのことだ。その理由は実に多様で、過去のトラウマなどから、人と絡むことを苦手とする者など、様々である。そのような人間は「ボッチ」と呼ばれるべきではないのではないかと思う。理由は、自ら求めているからである。なりたくてその状況になっているのであれば、マジョリティーに対応できてないわけではないので、「ボッチ」と罵倒されるのは不適切だからである。

 ボッチというのは、人が効率を求めて、一番最後に行きつく究極の姿だと思う。



っといったところか。そんなことを考えているうちにハンバーグができた。


「おーい瑠香、できたぞー」


「はーい、今行くー」



「おいしいねーだてに主夫志望じゃないね(-_-;)」


「褒めてんのか?貶してんのか?」


「ご想像にお任せしまーす」


じゃぁ、褒めてるというとにしておこう


「じゃぁ、俺は風呂に入って寝る」


「はいはいーいお休みー」


「おう」


翌朝


俺は毎朝、こんなことを考える「ああ、このまま目覚めなければいいのに」心地よい睡眠から現実世界に戻され、俺は今日も学校に行く。


「あ、おっはーあっさー」


なんかのテレビ番組かよ


「おう。」



「おい、朝長ちょっといいか?」


「?」




「……っということで君には生徒会に入ってほしいんだが。」


担任はなんだか俺を過大評価しているようだ


「お断りします。なんで俺が」


「そんなところ、本当に兄に似ないなぁ」


「兄を知っているんですか?」


俺の兄、史也は本当に嫌なやつだ。俺と性格が真反対で、一度たりとも俺と意見が合致したことがない


「ああ、君の兄、朝長文也は非常に優秀だったよ」


「何をもとに優秀だったんですか?」


「ふふ、噂には聞いていたが、ここまで性格が反対だと面白くもあるな」


え、何、コワイ


「まぁ、考えといてくれたまえ。私は君のために言っているんだ。生徒会に入らない限り部活は強制参加だぞ」


この先生、黒い。俺の性格を見通して、集団が苦手なことも利用して、少ない集団で良い生徒会に誘導してきた。


「い、嫌ですよ」


「そうか。じゃぁ、部活は私が決めてもよいか?」


「嫌です」


「そうか。じゃぁ、決まり次第言ってくれ」


なんだか、すごく生徒会になる気がする。この先生、怖い(-"-)

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