第3話 ボッチに女子が群がっているようです

頭痛い。

日曜の朝の第一声である。普段寝ている時間なだけあって眠い。

「生徒会休むか……」

〈今日休みます〉

「はぁ、ゲームしよ。」

ピロリーン

≪来いよ。≫

俺は見なかったことにしてゲームを始めた。


一時間後

ピンポーン

チャイムが鳴る

嫌な予感しかしない。

「兄ちゃんちょっと寝るわ」

妹にそう言い残し、布団をかぶる。

さすがの担任悪魔でも、病人を起こすなんてマネは……

≪起きろ、玄関にいる≫


どこの掛けてはいけない番号だよ。なんだ、次は「部屋の前にいる」とかか?


≪いま、リビングにいる≫


怖い。


≪なるほど、お前は仮病を使って、ゲームをしていたと≫


怖い怖い。


≪今出てきたら許してやる≫


嘘だ!嘘だ嘘だ嘘だぁ!!

まぁ、出ていく以外の選択肢は残ってないんですがね。


「わ、わざわざうちまでご苦労様です。どうぞお茶でも……」

「おい、茶番はいい。学校に行くぞ」


嫌だなぁ


「いえ、少々頭が痛くてですね。」

「そうか。だが、頭痛を理由に生徒会長の責務をやらないわけにはいくまい。お前は生徒会長なんだぞ」


生徒会長、嫌だなぁ……

「というわけで行くぞ。妹の、名前は……」

「朝長瑠香です。兄をよろしくお願いします。」

「うん、よくできた妹さんだ。」

俺への当てつけですか?


「はぁ、じゃぁ、行ってくる」

「いってらっしゃい」


玄関を出ると一台の車があった

「学校まで乗せてやる」

「結構です」

断っとこう。義理を作る訳にはいかない。


「お、おいそこは乗ってく流れじゃないのか?」

珍しく担任が動揺している。

「では、失礼します。」


俺は日曜にもかかわらず登校地獄への行進を始める。

はぁ、だるいなぁ


______________________________________


「おはよう、朝長君、おそいね?大丈夫?」

嗚呼、ただの大宮天使か。


「ああ、ちょっと体調が悪くてな。」

「無理しないでね」

嗚呼、神よ今日という日を与えてくれたことを心の底から感謝致します。


「ちょっと今日は仕事多いから……」

そこには小型犬一匹分くらいの紙の山が……


「えっと、この紙の山は?」

「生徒会の会員名簿、部活動の活動資金の承認待ち書類、その他地域からの苦情、学校内アンケートその他もろもろ。」

「」

そのチワワ《書類の山》は、どうやらきょう片づける必要があるらしい。


「ま、まぁがんばっていきましょう!」


およそ六時間後……

「えっと、とりあえず半分になったから、ここにいる皆で持ち帰ってやりましょう。」

宿題かよ。

日曜の宿題

書類、1300枚ほど

……じゃねぇよ。学校の宿題すら終わってねぇのに

「まぁ、一年でも生徒会がかなり忙しい時期だからね。」

「じゃぁ、解散……」

……泣いていいですか?


______________________________________


始業のベルは今日も鳴る

人生で初めて七日連続で学校に行った。

「あっさー、おっはー☆」

「お、はよ、う」


俺はもうすでに満身創痍である。


「元気ないねぇ、なんでか当ててあげようか?」

山口忙しい奴は、「当ててあげようか?」と聞いておきながら、俺に拒否権はないらしい。


「んー、嫌なことがあった!」

抽象的だな、おい。

「当たりだあたり。静かにしてくれ……」

「んーわかった」

はぁ、ようやく休め…

「朝長、寝るな、授業をは決めるぞ」


うう、鬼、悪魔、担任!!!


「というわけで出席番号順に当てるぞ。一番、朝長、二番上……」

俺はいつも問題が巡ってくる。

だが、一番は大抵、基本の応用みたいなものだ。幸い間違えることは少な…い?


問1≪次の問題を解の公式で解け≫

5xの二乗×12x+4


対して問2


問2≪次の問題を解け≫

-4+7


あれ、順番違いません?二次方程式?の解の公式なんて覚えてませんよ。もしかして、教師総出で俺をいじめるんですか?


「どしたの?あっさーわかんないの?」

「ああ。解るのか?」

ダメもとで聞いてみる

「えっとねー、10/-12+-√144-4×4×5になるからー」


は?こいつ、頭よかったの?

「答えはねー、10/-12+-8になるからー」

「あ、ありがとうあとは自分でできるよ」


人は見かけによらない。この言葉は本当だったらしい。


_____________________________________

体育

「サッカーだ。好きな奴3人集まってペアを組め。」

出ましたー恒例ボッチいじめ

と思っていたところ、


「ねぇ、僕たちとチームを組まないかい?」


ASANAGA dictionaly、open


≪竹本 伸介≫

モテ度 ★★★★

学力  ★★★

運動神経 ★★★★

性格 ★★★

特技 サッカー

注意 モテすぎているため、関わると、竹本と話す機会がほしい女子に囲まれる。



≪岩城 高大≫

モテ度 ★

学力 ★★

運動神経 ★★★

性格 ★★

特技 サッカー

注意 特になし



まずい。後者はともかく、前者と関わるのはまずい。彼は他校から女子が見学に来るほどモテているのだ。

俺の、人間観察記ASANAGA dictionalyの最高評価、星三つを破るものを二つも持ち合わせている。これはまずい。隣で体育してる女子の視線が刺さって抜けない。


「じゃぁ、チームはいいな?」

と先生。

「あー竹本、俺たち三人だけ残っちゃったみたい」


なん、だと。またもこの俺が出遅れたというのか……


「朝長君、ごめん。時間とらせたせいでチームになっちゃったみたい。」

「いや、謝ることはない。別に俺は組む相手がいないから断る理由はないしな」

「そっか、よかった」


はぁ、断る理由大ありだよ。



「試合開始!!」


 おっとはやいはやい、さすがに特技をサッカーとしているだけはある。俺の出番なんて欠片もなく、あっさりとゴールを決める。

「おい、朝長も上がれよ」

と岩城が言う、けど、敵のゴール付近(主に竹本の周り)にすごい視線が注がれていて、行くのをためらいそうになる。

「朝長君ッ」

パスが来る。

あまり目立ちたくないので、そのままゴールに……


「ばしゅッ」


蹴ったらなんかすごい動きをしてキーパーの足を抜けて入った


「朝長、お前何者だ?」



______________________________________


「いやー朝長君のあのシュートはすごかったよ、今度教えてよ」

「いや、たまたまだって。」

「またまた冗談を」

「そうだぜ、自分だけの必殺技にはもったいない、今度教えろよ」


なんだか、過大評価されますた


休憩時間

「挨拶遅れてごめんね朝長、私は……」


この休憩だけで、十人くらいに挨拶を遅れてされた。それほどまでに影響力のある人物なのだ、竹本あいつは。


「あっさー人気だねぇ?」

「ああ、竹本のおせいでな」


やばい、コミュ障発揮しそうになった。見知ったやつや、男子なら大丈夫なのだが……

心臓がヤバイ


「朝長君、一緒に帰らない?」


いかん、これ以上公衆の目に触れるわけには


「朝長は生徒会だから今日は帰れんぞ」


嗚呼、担任天使が降臨なさった

「そうですか、じゃあ、またね」

「ああ」


初めて生徒会に入ってよかったと思いました

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