二章 俺と嫁と転生と
「…眠いわね。今の時間帯ならプレイヤーはいないし、いつも通り二度寝でも……」
マリアは何やらノソノソと俺の部屋を歩き回る。きっと疲れて俺の目がおかしくなったのだろう。うん。きっとそうに決まっている。
俺が恐る恐る通学カバンを持つと、後ろでマリアが叫び始めた。
「え!?ここどこ!?私確か昨日IPで一人弱小プレイヤーがいたから、
チラリとこちらを向く俺の嫁。
俺はこの時寒気がした。
※
「えーっと…。とりあえず名前聞いてもいいかな?」
結局この状況が怖くなって学校は仮病ということで休むことにした俺は、嫁であるマリアと真正面で正座し向き合っている。
「名前?私のよね??マリアよ。というかなんで私があなたの部屋にいるの?説明してちょうだいよ」
「と言われてもねマリア。俺にもさっぱりわからないんだ。なんかパーティ全滅させられた後に『呪文認証』てボタンが出てきたから呪文を打ち込んで、寝落ちて……」
すると開けていた窓から風が入ってきて、俺のパソコンに置いてあった紙切れをマリアの足元へと運んだ。
「何この紙……てこれ!!何であなたがこの呪文を知っているの!?」
マリアはその紙切れを見るなり俺の目の前に寄ってくる。
やべぇ…。俺の、俺の嫁が目の前に!
しかも元から弱貧乳体質なこともあり首元から膨らんだものが見えている。全体ではないが、素晴らしい!!素晴らしいではないか!!!
「ねぇ?あなた私の話聞いてる?」
「聞いてるよ。微動打にせずに聞いてるよ」
「微動打にしてないといいつつ鼻血出てるじゃない。何考えてたの?」
これもこれで…いい!!
すると流石に心配してくれたのか近くにあったティッシュを手渡してくれた。
優しいね。ほんと優しいよ。夫として誇らしい限りだよ。
するとコホンと可愛らしくわざとらしい咳をして話題を戻した。
「それで?何でこの呪文をあなたが知ってるのよ」
「だいぶ前にどこかから聞こえてきたのを耳コピで書いただけだよ。多分俺がその呪文を途中で打つのをやめたから、変にシステムが動いて三次元に転生してきたんじゃないかな?」
「……ぅ」
「…マリア?」
「あいつのせいよ!!あいつが全部悪いのよ!!絶対あの時にヒソヒソしてたのがそうに違いないわ!!!」
突然立ち上がって怒りをぶちまけるマリア。それを見て呆然とする俺。
「あいつって?」
「バル爺よ!!確信があるもの!!」
「バル爺って、IPのキャラ育成ページに飛んだら出てくる固定キャラの一人じゃねーか。向こうで何があったの?」
そう言うとマリアは少々諦めたように話始めた。
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