ハッピーエンドはないのだろうか……   080

80 ながからむ 心も知らず 黒髪の みだれてけさは ものをこそ思へ

 ながから こころもしらず くろかみの みだれてけさは ものをこそおも


【カテゴリ】女子悲恋

【タグ】女性 貴族 平安後期 千載集 恋


【超訳】わかってくださる?

「変わらないよ」なんてあなたはおっしゃるけれど、どうなのかしらね。あなたが帰ってしまったあとは髪も心も乱れてるのよ。逢いに来てくださって嬉しかったけれど、切ないのよ。苦しいのよ。


【詠み人】待賢門院堀河たいけんもんいんのほりかわ

崇徳天皇(77)・後白河天皇の母である待賢門院に仕え、堀河と呼ばれた。待賢門院とともに出家した。


【決まり字】ながか(3)


【雑感】男性が通ってきて夜明けに帰ったあとに女性に贈る「後朝きぬぎぬの歌」に対しての返歌です。

 当時、通ってきてくれるのを待つだけだった女子。「いつまでもオレの気持ちは変わらないから」なぁんて言ってくれたってどこまで信じられるの? 別の人のところにも行くんでしょ? 別の人にもそんなこと言ってるんじゃないの? ほんとに私を愛してくれるの? 

 本当にね、ここまで多くの方々の恋の歌を見てくると、一組くらい相思相愛でお互いだけを愛し続けたハッピーなカップルはいなかったものかと思ってしまいます。結ばれなかった切ないカップルや、駆け引きばかりの恋愛バトルや、あとは許されないのに罪をおかしてしまった恋とか……。

 おとぎ話のようなハッピーエンドのラブストーリーはないものでしょうか。『ふたりはいつまでも幸せに暮らしました』っていう物語。

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