76　わたの原　漕ぎ出でてみれば　ひさかたの　雲居にまがふ　沖つ白波

　わたのはら　こぎいでてみれば　ひさかたの　くもゐ（い）にまがふ　おきつしらなみ

【カテゴリ】人生、時代

【タグ】男性　貴族　平安後期　詞花集

【超訳】気持ちいいよね～！

クルージングなんかしちゃってるとさ、水平線のところらへんなんて波なんだか雲なんだか見分けがつかないじゃんね。綺麗じゃね？

【詠み人】法性寺入道前関白太政大臣（ほっしょうじのにゅうどうさきのかんぱくだじょうだいじん）

藤原忠道。天皇四代に仕える。保元の乱では後白河天皇側につき、崇徳上皇(77)側に勝利した。

【決まり字】わたのはら　こ（６）

【雑感】崇徳天皇(77)の御前で「海上遠望（海の上で遠くを望む）」というお題で詠まれた歌です。

　広々とした海、その向こうの雲と見分けがつかない遥か彼方の沖の白波。季節はいつなんだろう。キラキラと太陽がきらめく夏？　コバルトブルーの海、純白の雲や波とスカイブルーの空？　それともパステルトーンの春？　縹色の海に生成り色の雲に象牙色の波、白藍色の空。

　海を吹き渡る風も、船に降り注ぐ陽ざしも想像できる。目に浮かぶ。

　わたのはら～といえば、１１番の「わたのはら　やそしまかけて～」もありますが、あちらの歌にはない爽やかで伸びやかな歌です。

　サザンの歌なんか似合いそう。『希望の轍』とか。

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