再会のおまじない            016

16 立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む

 たちわかれ いなばのやまの みねにおる まつしきかば いまかえりこ


【カテゴリ】旅、別れ

【タグ】男性 貴族 平安初期 古今集


【超訳】飛んで帰るからっ!!

仕事で鳥取に行かなきゃなんないけど、キミが「待つ」って言ってるって聞いたらすぐに帰るから! 飛んで帰るからっ!!


【詠み人】中納言行平ちゅうなごんゆきひら

平安初期の貴族・在原行平ありわらのゆきひら在原業平ありわらのなりひら(17)の兄。


【決まり字】たち(2)


【雑感】これも文献によって「待つ」が恋人説と都の人々説があるようです。どちらにせよ、メールやテレビ通話のできる現代とは違って、親しい人達と離れて見知らぬ土地に赴くのはつらいことだったでしょう。仕事だからとはいえ、後ろ髪を引かれる想いだったことでしょう。戻りたいから「待っている」って言ってくれ、忘れないでくれ、という行平の願いだったのかも。その後中納言三位ちゅうなごんさんみに昇進しているので、都へ帰ってこられたのでしょう。

 これも文献に書いてあったのですが、この歌がのちのち「再会のおまじない」として使われるようになったんですって。飼っていた猫などのペットがいなくなったときにこの歌を書いて部屋に貼っておくとペットが戻ってきたんだとか。興味のある方、お試しになってくださいね。

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