Scene28 青の鏡、金の龍

中華人民共和国・四川省・九寨溝ジウツァイゴウ黄龍ホワァンロン


世界遺産にも登録されている景勝地


九寨溝

山脈の谷間に形成された大小100以上の湖が連なる

湖の水は石灰を大量に含むため微生物が生息しない

故に水が濁ることなく日々の彩りをそのまま鏡に映す

陽の恵みをありのままに彩る

あるときは青く

あるときはオレンジに

新緑の季節は若い黄緑の葉がはしゃぎ映り

紅葉の季節は錦繡の樹々が水鏡を覗き込む


澄んだ青

透ける青

流れる青


湖に沈んでいる倒木はまるで時をとめたかのようにそこに横たわる

姿を変えることなく

朽ちることもなく

青のヴェールに包まれ眠りについている

浅いところの青はみずみずしく

深いところの青は深く優しく


青く

あお

あお


その美しい地球の鏡はその日その日を映し出す

地球が産まれてから今日まで

今日から地球が果てるその日まで


母なる湖水が今日もありのままを受け止める




黄龍

こちらも山脈の谷沿いの湖沼群

まるで棚田のような形状の池がいくつも重なるその姿は龍のうろこに例えられる

うろこの輪郭を形成している部分が乳白色から黄色がかった石灰石だから

黄金の龍と人々は称える

うろこの部分の水はミルキーブルー

淡く白みがかったブルーだ

黄金龍のうろこは3000以上を数える


淡い黄色の湖の淵

淵べりの水は淡い黄緑

深みが増すとそれは淡い水色となり

湖底の白とあいまって乳白青とでも呼びたくなる色となる


金の縁取りの青いうろこが谷間にうねるその情景は

龍が谷底から天へと昇ろうとしている様に見えるのかもしれない


この情景を黄金の龍と最初に例えたのは

天の神

自分のところへと

駆けてくるよう

呼びよせたかったのだ



【描写した場所】

中華人民共和国・四川省・九寨溝/黄龍


 ※参考文献

 365日 世界一周 絶景の旅   いろは出版

 Wikipedia

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