Scene4 まさにオーシャンブルー

 フィリピン・セブ島にて


 ホテルのプライベートビーチ。

 白い砂浜にソーダ水のような、ラムネの瓶の色のような海。淡い海の色。

 ごつごつした岩の小島にはブーゲンビリアが濃いピンク色の花を咲かせている。

 その枝は海面の方に垂れ下がり、岩場をフラワーベースに見立てると、小島そのものがフラワーアレンジメントのようにも見える。


 ホテルマンが砂浜でパンをのせたトレイを持って歩いている。

 子供達が寄って行ってパンをもらう。

 彼らはそのまま海に入ってきて、足元にちぎったパンを撒く。

 子供達の膝ほどの深さの海である。浅い浅い海である。

 そんな浅い海に南の海らしい色とりどりの魚がパンに誘われてやってくる。


 水族館を思い出してほしい。鮮やかな色をした熱帯魚の泳ぐ水槽を見たことはあるだろうか。まさにそんな水族館の水槽に足を入れているような感覚である。


 スキューバダイビングをしなくとも。

 シュノーケリングをしなくとも。

 30センチ程度の深さの海で見ることのできる天然の水族館。


 子供達は何度も"Bread!"と叫びながらホテルマンからパンを受け取っては海に戻ってくる。足元の魚たちのランチタイムは随分と続いた。


 私は世界中を旅したことはない。

 私が出かけたことのある地域など、世界のほんの一部にすぎない。

 けれども私が知りうる範囲の海で、

 

 私の人生で最高に澄んで綺麗な海だった。


 厳密にオーシャンブルーという色の色素の構成とは違うかもしれないけれど、私にとってはまさにあの海が「オーシャンブルー」。



【描写した場所】

 フィリピン・セブ島・マクタンシャングリラホテルビーチにて

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