神王VS戦神⑦
―ギフトゲーム名
参加者:魔神バロール
主催者:
開催概要:夕暮れ、或いは朝焼けの時間帯にのみ開催可。
試練概要:対象がヴリトラに類する加護を持つ場合、以下のペナルティを課せる
①試練開催期間に限り、参加者は弱点を晒さなければならない。
②夕暮れの間、参加者はあらゆる加護と防備を失う。
③対象に強姦の罪がある場合、聖仙の呪いにより魔眼・神眼は封される。
参加者側勝利条件
①陽が落ちて夜になるまで耐える。
②〝天蓋の殺害者〟の撃退。
③己が罪を悔い、真実を曝せ。
宣誓:参加条件を満たした者に執行する限り、
〝アルカディア〟はこの試練が正当であることを保証します。
制作代行者 〝オルフェウス〟印
***
輝く羊皮紙が紙吹雪となって降り注ぐ。
神王はその内容に目を見張り驚いた。
「此れは………まさか、
〝主催者権限〟―――神々の権能すら超える最強の強制執行権。
人類に対する試練と化した魔王を、神霊の力で封印する手段として新たに作られた執行権という話だが、神王が己の〝主催者権限〟を目の当たりにするのは初めてのことだった。
何故なら神王である彼には、〝神殺し〟と互角に戦いを成立させる権能がある。
文面に書かれているヴリトラハンとは正にその権能のことだ。
此れはかつて世界を滅ぼしかけた天地一対の災厄
大地から現れ天空を覆い、日中夜の如何なる時間帯に於いても無敵の肉体を誇ったというこの巨龍を打倒した伝説は、神王インドラの最大の功績である。夕暮れ時にのみ開催可能と明記されているのは、神王インドラがこの最大の敵を日中夜の何れでもない夕暮れ時に、唯一の弱点である口内を撃ち抜いて倒したからだだろう。
箱庭の世界に数多の主神は居ても、過去に物質界で世界と人類の両方を救った明確な逸話を持つのは彼しか存在しない。
以来、神王には夕暮れ時に限り〝神殺し〟が相手であっても同等の戦いを行うことが可能となった。
故に今まで〝主催者権限〟を作る必要性を感じていなかったのだ。
スカハサが敗北した後も夕暮れの時間になるまで静観をしていたのはそれが理由だったわけだが―――それでも、単独で魔神バロールの相手をするのは厳しいと考えていた。それ程までに魔神の瞳は強力なのだ
しかし此処に書かれていることが真実なら、話は大きく変わってくる。
(開眼の強制と魔眼封じ………!! バロールの弱点晒し切り札を封じるなんて、そこまで可能なのか………!?)
神王は武者震いを抑えながら、その文面を再度読み直そうとしたとき。
ポロン、という竪琴の音とともに、神王の影がユラリと揺れた。
「………私と弟子が作ったVuritorahanのゲームブック。気に入っていただけましたか?」
「っ、誰だ!?」
「誰だって良いでしょう? それより攻め時ですよ。バロールと云えど所詮は化身。今なら再封印も可能です。さあ、金剛杵を掲げてください」
少し他人を小馬鹿にしたような口調の声。
悪意こそないが、底意地の悪さは感じ取れる。
神王が敵意を強めて周囲をうかがったその時―――地上で、バロールが苦悶の雄たけびを上げた。
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