影武者がいないか考える

 どうも自分は苦手なタイプがいる。特定のタイプの人に怒りを感じる。特定のタイプの人のことが不必要に気になる。

 という場合は心理学で言うところの影武者がいないか考えてみましょう。

 心理学で「影武者がいる」と言った場合は、過去の対人関係の歴史が現在の人間関係に反映する現象のことを言います。

 少し難しい言葉になるかもしれませんが、正式な心理学用語では「パラタクシス(並列的)な影武者」といいます。アメリカの精神科医ハリ・スタック・サリヴァンという人が作った言葉です。

 他人に対してなんとなく接しづらいと感じるときや、初対面なのに親しみを感じる時は、そこに過去の対人履歴が反映されている場合が多いものです。例えば、かつて父親に可愛がられた人や、父親を幼くして失い父親というものに憧れを抱いていた女性は、年上の男性に理想の父親像を投影しやすい傾向があります。

 初めて会ってからあまり期間が経ってないのに妙に馴れ馴れしくする。そして、ちょっと幻滅することがあると異常な怒りを感じ、その相手に批難や攻撃を浴びせる。という場合、目の前の人を相手にしながら、それと並行して過去においてその人の関わった人物を相手にしている可能性があります。

 心理学用語では投影性同一視と言います。

 自分自身にこうした傾向がないかどうか考え、思い至ることがあったら、過去の亡霊のことを、それはそれとして存在することをきちんと認めながら、しかし、それにしばられる必要はないことを意識しながら人と接していきましょう。

 例えば、年上の人に対し過剰な怒りを抱く時は、「もしかして自分は、相手を親のように勘違いしていないか」と一度疑ってみることも大切です。そして、「目の前にいるのは親じゃなくて単なる○○さんだ」と当たり前のことを再確認しましょう。そうすると、過剰な怒りがどうってことない普通の感情に収まっていくことが多いものです。

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