自分が得するために相手を許すのだと考える
この考え方は、怒りの予防法でもあり、今ここにある怒りを静める方法でもあります。
予防法としても非常に優れた考え方なので、本書では、予防法のところにいれました。
私は、かなり昔の出来事や相当前に出合った人物に関しても、「なんと理不尽な出来事だろうか」「あいつだけは許さん」といった類いの怒りが湧いてくる場合がよくありました。
「もしかしたら自分が変なのかなあ」と思って心配になり、友人などに聞いてみるとどうも自分だけではなく、そういう人は意外と多いようです。
そんなことを気にするのは全然生産性がなく、思い出す必要はまったくないと思うのですが、どうも時々思い出し、怒りが湧いてきてしまいます。
そんなある時、ネットでアマゾンのページをいろいろと見ていって見つけたのが、有名な精神医学者ジャンポルスキー博士の書いた『ゆるすということ』という本です。
「ゆるしとは過去の傷を喜んで手放すことです」「ゆるしとは、同情、優しさ、親切、思いやりを感じることです」等々、「ゆるし」についていろいろといいことが書いてありました。
私自身は、少し宗教がかったお説教のような内容だと思い最初はあまりなじめなかったのですが、よくよく読んでみると非常に実用的なことが書いてあると思いました。
一通り読んでみて、「自分が得するためにあいつのことは許すのだ」「許すことで自分が自由になれるのだ」と考えることに決めました。
実際、不愉快な人物のことを考えて不愉快な時間を過ごすのは当然のことながらそれ自体不愉快なことであり、また、ある意味馬鹿馬鹿しいことでもあります。
相手のために許すのではなく、「自分のため」というのが納得できるところです。
この考え方をよく味わい、怒りが湧いてきた時以外でも時々思い出すようにしていたところ、だんだんと過去の出来事や過去に出合った人物に対する怒り湧いてくる機会が減ってきました。本1冊読んで、自分だけで「こうしよう」と決めただけなのにすごく簡単にできてしまいます。
本当に実用的・生産的ないい考え方だと思います。
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